理事長宅（？）でテスト勉強！｜リアクション

理事長宅（？）でテスト勉強！

〇集中力が切れるころ

「今の声、誰だろ？　何があったのかな？」
　大きな声がしてウォルター先生が出て行った後、ののこは気になって仕方ない様子で英二に話しかけました。
「さあ、なんだろうね……わからないけど、見に行ったらウォルター先生のウォーターガンが待ってるのは確かかな」
「ほえー。そりゃ困るね。勉強に集中しなきゃね」
　頷きながら英二は思います。
（でも野々さんの集中力はそうそう続かないし、適度にコンビニで買ってきたおやつタイムをはさむ必要があるかなぁ）

　そんなことを気にせず難問に集中していた修は、一区切りついて、あくびをしているののこに気づきました。
（頃合かな）
　そっと立ち上がると、部屋の一角のテーブルにあった紙コップを並べ始めました。
　すぐにあおいが後を追ってきました。
「修君、お茶を入れるの？　私もやるよ」
「ありがとう。この前の勉強会もそうだったね」
　修はあおいに微笑みを向けます。
「心配りが優しいね。そういうとこも好きなとこだ」
　修の言葉に、あおいが笑顔になります。
「修君こそ」　
「えっ？」
　言われたことがなかったので虚を突かれ、一瞬驚いた後修は破顔しました。
「有難う」

　あおいが紙コップを並べ始めたのを見た彰尋は、理事長の言葉を思い出しました。
（そういえば台所にお茶があるって言ってたっけ）
　何か手伝えることがあれば、と思ってそっと立ち上がると、理事長に声をかけて台所からお茶の入ったポットを持ってきました。
「お茶をもらってきたよ」
「ありがとう、彰尋君」
「居間にも届けてくるよ」
　彰尋は、お茶を持って居間へ向かったのでした。
　
　修はお茶を紙コップに注ぎ、テーブルへと運びます。
「ありがとう修くん、ちょうどお茶が欲しかったんだ～」
　ののこは屈託なくコンビニで買ってきたおやつを食べています。

（おやつを持ってくるのを忘れるなんて……）
　人一倍大食漢の遠海は後悔していました。
「よかったらこれもどうかね？」　
　理事長がすかさず持ってきたおやつを、ののこは機嫌よく食べています。
「おいしいよ、みんなも食べなよ」
　勧められるまま遠海も口にしましたが。
（足りない……これじゃ、かえってお腹がすいちゃう）
　空腹を忘れようと、必死に勉強に集中しようとする遠海。
　
　けれど根を詰めて勉強しているとやがて……お腹がむやみやたらに空き始めたのでした。
　こうなると頭の中は完全に夜食のことでいっぱいです。
（ああもう、勉強に集中できない。こんなことじゃダメだ！）
　段々と遠海の体は前後に揺れ、目もうつろになっていくのでした。
「お腹空いた」
　余りの空腹にそう口にしたとたん。
　プシューッツ！
　部屋に戻ってきていたウォルター先生の水鉄砲攻撃が見事に炸裂。
「おや、てっきり眠いのかと思ったよぉ」
「なんでこうなるの……？」
　幸い一発だけだったので服が濡れることはありまでんでしたが。

「お腹がすいたのかい？　それじゃ夜食の時間にしようか」
　理事長の一声で、どこに控えていたのかスタッフがケータリングの夜食を部屋に運び込み始めました。
「助かった……」
　幸い夜食の量は十分で、遠海は途端に元気が出て、その後は良い感じで勉強できたのでした。

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