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ウル寅な年明け! 新春☆初夢フェア2022! ~富士編~
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これは夢だ、と自覚している夢がある。
明晰夢というのだそうだ。
水差しを手にする。ガラスの水差しだ。どこからあらわれたのかはわからないが、ひやりとした感触をいだきつつ握る。
かたむけると青い水が足元にしたたり落ちていった。水晶のような丸い粒が跳ねてひろがる。止まれ、と思うと水の流れは止まる。水差しの中に逆流すらする。だが気がつけば、水も水差しも消えている。
なるほど夢だな。間違いない。
そういえばうすぼんやりと眠いようにも思う。眠っているのに眠いとは奇妙な感覚だが、ありえる話だろう。
八神 修
はあくびをした。夢の中で。背伸びして腕もかさねて頭上に思いっきり伸ばす。関節がパキパキと音を立てた。
周囲を見回すと白い世界だ。背景は真っ白、足元も真っ白、見上げても白いものしか見えない。しかしどれだけ走っても、どれだけ飛び上がっても、壁ないし天井には届かないと修は理解していた。
殺風景だな。
まあ、暑くも寒くもないのはありがたいが。
ふり向くと、何もなかったはずの空間に、縁のない全身鏡がさりげなく用意されていた。空中に浮いている。
鏡の中の自分は、綿の白Tシャツに北米ブランドのネルシャツを重ね着しただけ、洗いざらしのブラックジーンズに、黒のエスパドリーユをあわせただけのシンプルな姿だ。半袖だし、夏なのだろう。
鏡に向かって不敵な笑みを浮かべてみる。困り顔をしてみたり、真剣に考えているような表情も作ってみた。
うん、調子はいいな。
そう思ったと同時に鏡は消えた。
修は歩き出す。直感的に北だと思った方角に進むが、真っ白な世界に北も南もあるのかどうか。
にしてもあまりに何もなさすぎる――と考えたところで気がついた。
何もないなら創造(つく)ればいいじゃないか。今いる場所そのものを。
たとえばヨーロッパの古都……そうだな時間は、明け方ごろがいいかな。ほの昏(ぐら)さが薄まって、しらじら明けゆく時間帯とか。
意識する間すら必要なかった。
すでに修はその場所にいるのだった。明け方の空は油絵調のペールブルーで、右手から白い光がさしてくる。石造りの町並みは黒みがあり荘厳、歴史を伝えるレンガ道は、コツコツと小気味のいい足音をうみだす。
ところがいけない。季節は真冬だった。凍てつく風が吹きつけてくるではないか。半袖はもちろん、靴下のない足首を冷えがギュッと締め付ける。たちまち寒さで歯が鳴った。
失敗、失敗。
方向転換といこう。
だったらうんと暑い夏! 南国の海というのはどうかな。かたわらにはトロピカルドリンクのグラスもあって。
瞬間で光景は一変した。頭上には広大無辺の青い空、マンゴーフルーツの香りがする。潮風にまじってスチールギターの音色が聞こえてきたのは、我ながら凡庸すぎるイメージだと苦笑した。エメラルドグリーンの海には、赤や黄色の熱帯魚も泳いでいる。
それはいいのだが。
修は海に浮いているのだった。大の字で。やっぱり同じ服装で。
トロピカルドリンクが載った盆が、頭の横を流れていく。手を伸ばしたら盆はくるりと反転し、グラスを海に沈めてしまった。
わっと熱帯魚が逃げ散る。口に海水がしとど流れ込んできて、塩辛いことこのうえない。
……また失敗といわけか。
なかなかどうして、夢をコントロールするのも容易ではない。
明け方の欧州古都だの南国の海だの、日常の延長線上にないところばかり思い浮かべたせいだろうか。行ったことがないわけではないが、寝子島からすれば地の果てのように遠い場所ばかりだ。
待てよ、いっそのこと極端に遠い場所というのはどうだ? とんでもない場面での冒険――と一瞬思いかけてやめた。
火星に宇宙船で着陸、赤い嵐に巻き込まれるなかエイリアンの攻撃を受けるのはあまり愉快な経験にはならないだろう。
室町武士のひとりとして馬を駆りやぶさめに興じるのなら楽しげではあるが、落馬しそうな気もするのでやめておく。
やっぱり普通(フツウ)、かな。いつもの生活がいい。
なぜって俺にとっては、日々の繰り返し、毎日の生活だって、発見の連続であり冒険なのだから。
気がつくと修は寝子島高校の、無人の教室に座っていた。
チョークの匂い、机の傷の手ざわり、どこかから聞こえてくる蝉の声、ありありと感じられる。
窓の外は明るい。朝だろうと修は思った。
いつ頃なのだろうか。
数日前かもしれないし、一年か二年前かもしれない。自分が在籍していないくらい前だとか、ひょっとしたら卒業後の未来なのかという予測も立てたが、それは『フツウ』じゃないだろうと考え直す。
黒板脇のボードには見覚えがあった。ロッカー脇の花瓶にも。三年四組。なんだ、今年の教室だ。
良かった、と心から安堵する。
なぜって今年のクラスには、君がいるから。
ガラッと扉が開いた。
「おはよー!」
入ってきた。彼女が。
七夜 あおい
が。
ツインテールにした栗色の髪。大きくて蒼くて澄み切った瞳。夏の制服姿だ。今朝は急いで巻いたのか、胸リボンの左右が均一ではない。
「あっ、八神くん」
八神くん?
扉は元に戻った。あおいの姿も消えている。
ガラッと扉が開いた。
ああ、やり直しということか。
「おはよー!」
入ってきた。彼女が。
七夜 あおい
が。
「あっ、修くん!」
そうでなくっちゃな。
「明けましておめでとうございます」
突然あおいは頓珍漢なあいさつをした。両手を揃えてぺこっと頭を下げる。
……今、夏だよな?
まあいいかと修は思った。こだわってまたリテイクとなったら困る。やはりこの夢はコントロールしきれるものではないらしい。今度ドアが開いたとき、あおいが出てくるという保証はないではないか。
なので修も席を立ち、
「明けましておめでとう。今年もよろしく」
と頭を下げたのである。
それはそうとしてとあおいは言う。
「今日、誰もいないの? ひょっとして私、登校日まちがえた?」
「そんなことはないぞ。ほら」
と修が片手を振ったとたん、教室じゅうに生徒があふれた。全部クラスメートのはずだが……多すぎる! 一瞬にして教室が満員電車のようになったのだ。大量の生徒でぎゅうぎゅう詰めだ。息苦しい。こんなにこのクラス、生徒がいただろうか。同じ生徒が何人もいるような気がする。
「お、修くん……修くん、いる!?」
団子みたいになったかたまりのなかから、あおいが手を出しているのだけわかった。
「いるぞ! あおいこそ無事か!?」
「無事……! でもまた増えそうっ!」
プシューと音がしてドアが開いたのは、電車と教室のイメージがごっちゃになってしまったせいだろうか。ドドドと生徒たちが詰めこまれてくる。当然もみくちゃとなる。海流ならぬ人流が生じているようだ。寒流と暖流のぶつかるような渦ができ、修はあおいと引き離された。
「修くん……!」
「あおい……!」
必死に手を伸ばしても、修とあおいの距離は遠のくばかりだ。空気はますます薄くなり、視界は秒ごとに曇りゆく。
「流されちゃう……!」
「待ってろ今助けに……!」
しかしもう、あおいの姿は見えなくなっていた。
駄目だ駄目だ。これはおかしい。
と、強く思ったとたんに圧迫が消えた。
また教室は、修とあおいのふたりきりとなったのだった。
やれやれ。
修はとっさに告げた。
「登校日は合ってる。今日は……ええと、遠足の日なんだ。自由参加の」
苦しい説明なのは百も承知だ。でも少なくとも体裁は整っているだろう。
ここで十分の一秒ほど修は身構えた。遠足の一言でまた生徒を呼び込んでしまったかもしれない。再度教室が破裂寸前の風船みたいにパンパンになったとしたら、人流の波濤(?)に飲みこまれようと今度こそあおいを護りきろうと心に誓っている。
……そんなことはなかった。やはり教室の空間をシェアするのは、あおいと自分のふたりきりだ。
「どうやら俺たちだけみたいだな。遠足の参加者は」
ここで授業開始の本鈴がリンゴンと鳴った。授業開始のベルというよりは、丘の上に建つ白いチャペルから流れ出しそうな音色だ。
鐘が鳴り終わるまでの時間はせいぜい十数秒だが、ひどく長い十数秒に感じられた。テレビのクイズ番組で『回答はCMのあと!』とテロップが流れてから、そのCMがいつまでも終わらないときの感覚に似ている。
不安だった。
鐘が鳴り終わるなりあおいが、「だったら帰るね」と屈託なく告げるのではないかと。悪意のない笑みすら浮かべて。
そうなったら俺は……途方に暮れるだろう。
けれども違った。むしろ正反対だ。
「じゃあ行こっ」
修の手を取り、スキップするような足取りであおいは出口へと歩みだしたのである。
ああ、そうだった。
これは夢だったな、俺の。
でも。
あおい、たとえ夢の中でも俺が、一番恐れているのは君を失うことだ。
出発と宣言して横開きのドアを開け教室の外に踏み出すと、あに図らんやそこは廊下ではなく、海を見おろす緑の丘のふもとだった。わずかな雲しかない好天だ。気持ちのいい風が吹いている。背の短い草がさやさやと揺れていた。
「絶好の遠足びよりじゃない? 今日って」
あおいは今、若草色のワンピース、白い靴といういでたちだ。髪を束ねるゴムにも、本物と見まがうほどのあざやかな花が、オレンジ、白、青、と見事に咲いていた。
「気持ちいい!」
言うなりあおいは駆け出していた。
「待ってくれ」
「待たないよっ」
あおいはアハハと笑う。
「丘の上まで競争!」
「そういうことなら」
負けないぞと修は追う。もちろんふたりとも全力ではない。抜きつ抜かれつ息を弾ませる。
駆けながらあおいは両腕をひろげた。向かい風をすべて受け止めるかのように。
陽光を浴びるあおいの背はまばゆいほどだ。髪の左右のふさが、吹き流しのようにはたはたとたなびく。
不思議だな、と修は思う。
夢の中だというのに、この光景を見た記憶があった。
いつかどこかで見たはずだ。それともこれは、いつか訪れる未来の記憶なのだろうか。
頂上までたどりつくと、はあはあと肩を上下しながらもあおいは大きな目を輝かせていた。
「綺麗な景色!」
見て、と行く手を指さす。凪いだ海はあおいの目とよく似た色をしていた。おもちゃみたいなサイズの汽船が、ぽんぽんと煙をはきながら遠ざかっていく。
「この場所もね」
丘の上は花畑になっているのだった。マーガレットだろうか。数え切れないほどの水色の花が、修とあおいを囲んでいる。
突風が吹いた。
足元から頭上に向けて。夢だからこそ起こりうる現象だろう。
きゃっとあおいはスカートを押さえるが、風はわずか一瞬だった。
すぐにあおいは我を忘れたように周囲を見回す。
「きれい……」
「ああ」
修も自然な笑みを見せた。
まるで雪のように、風に吹き上げられた水色の花が降ってくるのだった。
「少し花を摘んで帰ろうか」
修が呼びかけるとあおいは、
「いいね! でもその前に」
と言って大きな大きな、それこそ子どもくらいなら入ってしまいそうなサイズの籐編みのバスケットを取りだしたのである。
「お弁当っ!」
あおいがバスケットの金具に手をかけたところで、修の夢は終わった。
……せっかくなら、中身まで見せてくれたらいいのに。
ほんの少しだけ、残念だった。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年01月01日
参加申し込みの期限
2022年01月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年01月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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