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ウル寅な年明け! 新春☆初夢フェア2022! ~富士編~
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空の青と、
遠い海の青と、
砂浜に波よせる海の青とは、
けっして同じ青ではない。
ゼロ・シーアールシー
は知っている。まとめればいずれも『青』の一文字になってしまうのだけれど、本当はまったくちがう『青』なのだ。同じ母猫から生まれた子猫三匹それぞれが、まったくちがう猫であるように。
見上げれば透明な青、夏空の色はまばゆいコバルトブルー。
手をかざし眺めれば濃厚な青、遠くの海はひやっとした群青。
そして爪先をくすぐる青は、もっとずっと薄くて光をふくんだ水色だろう。
「青のむこうに別の青、それを見ているお空もやっぱり、またまた別の青なのですー」
目を閉じて潮鳴りを聴く。息を大きく吸い込めば、豊穣な海の香りがおなかを満たす。
そういえばとゼロは思った。
「ここはどこなのですー?」
照りつける真夏の太陽、絹のようになめらかな白い砂浜、生ぬるい波がすうっと手を伸ばし、ゼロの足首を洗いながす。
ゼロの問いにこたえてくれる人はいない。
という以前に、ゼロ以外には誰の姿もない。
お気に入りの白い水着とサンダル履きで、ゼロはひとり波打ちぎわにいるのだった。明け方の雲のような色の髪は解かれた状態で、ふわっと膝下までひろがっている。
見覚えのある地形だ。寝子島のビーチによく似ている。でも寝子島だとすれば静かすぎはしないか。このシーズンの寝子島ならきっと、そこらじゅうビーチパラソルだらけで、あちらにもこちらにも水着姿の海水浴客が見られることだろう。海の家からは焼きそばの香りがして、アイスクリーム売りが声を枯らしているだろう。追いかけっこしている子どもたち、浮かぶボートに亀のような浮き輪、今年こそは彼女つくるんだとか勢いこんで、結局なにもできない少年たち――うんとにぎわっているはずだろう。わいわいがやがやというオノマトペがきっと、カタカナかつ大きめフォントの太字で、表現されるに似つかわしいほどに。
でも、無人なのだ。
街がある方向にも建物の姿はない。
目を凝らそうと船はただのひとつも見かけない。
もちろん空だって、飛行機が飛んでいたりはしないのだ。海鳥が数羽、ゆったりと飛びかっているだけだった。
「カモメさん、ここはどこなのですー?」
こころみにゼロは呼びかけてみた。でもなんの返事も返ってこない。カモメは翼をはためかせる。
「ヤドカリさん、ここはどこなのですー?」
しゃがんで声をかけた。白い巻き貝を背負って、ちまちまとヤドカリが歩いていたのだ。ヤドカリは止まって黒い目でゼロを見たものの、特にアンサーは用意していない模様だ。ちまちま歩きを再開する。
「サンマさん、ここはどこなのですー?」
背後から呼びかけると、ギャッと声上げサンマさんは、そのままロケットになって月まで飛んでいきそうな勢いで垂直ジャンプした。
……サンマさん?
そう、サンマさん。寝子島の観光大使にしてゆるキャラ、ミスター
寝子 サンマ
がそこにいたのである。
なぜ突然あらわれたのかはわからない。強いて言えばゼロが、なんとなく会いたいと思ったからだろうか。
サンマさんはトールなボディに比べるといささか頼りない細腕を曲げ、ぐっとサムズアップのポーズをした。
「驚いた! 『いつのまにか後ろにいる白い少女』は健在のようだな。また背後を取られてしまったか。さすがだ」
「こんにちはなのですー」
「うむ、グーテンターク」
「どうしてドイツ語なのですー?」
「勉強中なんだ。俺は国際派なんでな。Der perfekte Begleiter zum deutschen Bier - gegrillter Saurier ! これは、『ドイツビールのお供にもぴったり、サンマの蒲焼き!』って意味だ」
「それドイツの人に通じるんですー?」
「わからん! 辞書引いて丸暗記しただけだからな」
わからんと言いながら、なぜか自信ありげにサンマさんは腕組みするのだ。チリチリ焼けるような陽射しを浴びて、その背中は青い金属みたいな光沢をおびている。まさかここで立ったまま、蒲焼きになってしまったりはしないのだろうか。
まあ座ろうとサンマさんは提案する。砂浜ににゼロが体育座りすると、サンマさんも長い体を曲げて同じ姿勢になった。
「ところでサンマさんは、ここがどこかわかるのですー?」
「寝子島だな」
サンマさんは即答した。でも、とゼロが言いかけたのをさえぎって、
「皆まで言うな先刻承知だ。ここは確かに寝子島だが、ざっと十万年から二十万年ほど過去の寝子島なんだぜ。現生人類はあるがまだうんと数が少なくて、島どころか日本列島にいるかどうかすら怪しい」
とうとうと語るのである。確信に満ちた口調で。
「え? そんな昔なのですー?」
「そうとも。ということはだなお嬢ちゃん、あんたは寝子島に初上陸した人間ってことになるな」
「にゃーん、それはびっくりなのですー。でもサンマさんはどうなのですー?」
「俺はアレだ。寝子島の精霊っていうか守護神? なんだろな、まあそんな感じの存在だからノーカウントで」
言っている意味が自分でもよくわかっていない様子のサンマさんだが、ゼロは直感的に意図を理解した。
「サンマさんが守護神でも、ゼロはゼロなのですー♪」
禅問答のように告げる。しかし通じたようで、サンマさんは深くうなずいてみせたのである。
「上から見てみるのですー」
ゼロが告げたとき、すでにその言葉は実現していた。
オフホワイトの水着は同じ、ひろがる長い髪も同じ。けれど縮尺のほうがおかしい。砂浜の端から端までは、左右のサンダルの間隔とほぼ一致している。入江がまるで水たまりだ。
寝子島がミニチュアになったのではなく、ゼロのほうが巨大になったのだった。その証拠にゼロの手のひらには、元サイズのままのサンマさんが乗っている。今のゼロからすれば米粒ほどだ。
「どうだ? 人の姿、見えるか?」
顔立ちすら判然とせぬミニミニサイズながら、ちゃんとサンマさんの声はゼロの耳に届いた。
「えっとね、見えないのですー」
「だろう? 無人島時代の寝子島ということになるな。おっと、この頃はまだ『寝子島』って名前もないはずなんだぜ」
「あっ、でも気がついたことがあるのです-」
「どうした?」
「大きくなって眺めても、やっぱり青は三種類あるのですー」
空の青さと遠海の青、そして、島の周囲の青い色!
正しくは三種に限られない。それぞれ中間色があり、中間色と中間色のあいだにも中間がある。青と青はまじりあって別の青となり、光の加減で薄まり濃くなりたくさんの青へと変貌する。無限のバリエーションだ。ゼロは青い色につつまれる。
気がつくとゼロは寝子島と一体化していた。島の立場で島の気持ちで、寝子島の歴史を飛び飛びに、しかも早回しで体験する。
いつ頃だろう? 対岸からいくつかの小舟が渡ってきた。船というよりほとんど筏(いかだ)、ただ丸太にまたがっているような頼りないものもある。オールがわりに木の板を掻(か)く人々は、男性はひげぼうぼうだし女性も蓬髪だ。服だって麻布を縛っただけの、たいそう粗末なものだった。けれど好奇心と、なにより希望に満ちた目をしているとゼロは――寝子島は思った。
母親のような気持ちで、ゼロは最初の島民を見守る。移り住んだ人々にとって、しばらく島は楽園だった。気候はおだやかで自然災害も少なく、動植物は豊かで食料に困ることはない。住民の数は多くなかったが、それだけに仲良く生活していた。暮らしに余裕があるせいか、まだはっきりとそう呼ばれてはいないものの、絵画や音楽の始祖みたいなものも発生しつつあった。小さい島ながら現在にいたるまで、寝子島で芸術文化活動がさかんな理由はこのころに源流があるのかもしれない。
ところが安寧はいつまでも続かなかった。島に暗雲がたれこめる。
ゼロは胸の中央に、熱い光が落ちてきたのを感じた。真上の空から。
なんなのですー?
つまみ上げて調べたいところだが、寝子島に同化したゼロには手足がない。
したがって凝視するしかなかった。
落ちてきたのは、神だった。
少なくとも、そう表現するほかない存在だ。
ひょっとしたらこれが落神(らくがみ)……転じて『らっかみ』の伝説なのですー?
神はじんじんと熱い。たき火から取りだした真っ赤な炭、熾(おき)みたいだ。
神は怪現象をつぎつぎと起こした。川は逆流し死者は土中からよみがえり、異形なる者たちが山野を闊歩して厄(わざわい)を振りまいた。真昼は夜となり夜は明けるを忘れ、真夏に硬い雹が降った。
楽園から魔界へ、突如として島は渾沌の世界へと姿を変えたのである。
寝子島はこぼす涙をもたない。けれど大いに心を痛めた。
島の人々は神に請い願う。どうか世界を救ってくださいと。元の世界に戻してくださいと。けれど神は無情だ。まるで聞く耳を持たない。
ゼロはここを早送りしようかと思った。島民、いまのゼロからすれば自分の子どもたちが、苦しむ姿はもう見たくなかった。
しかしまもなく変化が起こった。
島民は神に求めることをやめ、逆に神に与えたのだ。
神があらわにしたささやかな、現代の視点でゼロが考えても本当にささやかな、たったひとつの願い、これを島民は叶えた。
効果は絶大だった。島は平和な姿を取り戻したのである。赤黒い空はこれまで通りの青……『フツウ』へと復した。
このとき一条の光とともに、神もまた天に帰っていった。
ゼロの心も軽くなる。
そこから先は日本の歴史とだいたい同じだ。幾たびも戦争があり、寝子島も巻き込まれてしまった。乱開発や公害もあった。
悲しいこと目を背けたいこともたくさんだが、それでも心なごむことも数多い。
あっという間に現代となる。ほんの二年前のことだ。
また光がゼロの上に落ちてきた。つまり二度目の『らっかみ』だ。
しかし今度は熱い神ではなかった。
いやもちろん強い熱をおびてはいただろう、最初は。
でも神は、落ちるときにおびていた火をぜんぶ手放してしまった。ガラスのコップを落としたときのように、着地と同時に自分の熱を、無数の小さな火にしてばら撒いたのだ。
きらきらとした火――神魂は、寝子島を埋め尽くした島民たちにわかたれた。
一方でこの新しい神は、ただの人間として寝子島で暮らしている。今も。
……なるほどなのですー。
ゼロはため息をついた。すでに人の子の姿に戻っている。
潮が満ちてきたらしい。砂浜に体育座りしていたはずなのに、もう海面はゼロは腰のあたりまであった。
「寝子島になって、駆け足で寝子島の歴史を体験したのですー」
サンマさん、と呼びかけたが魚類のナイスガイは姿を消している。
ゼロが見上げる空は、やはり青いままだ。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年01月01日
参加申し込みの期限
2022年01月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年01月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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