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ウル寅な年明け! 新春☆初夢フェア2022! ~富士編~
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あれっ、とつぶやいて
錦織 彩
はまばたきした。
……ここはどこでしょう。
私どうして……高校のときの制服を着てるのでしょう。
しかも抱っこしているのは猫ちゃん……のぬいぐるみ?
変だとは気がついている。鏡越しでもないのに、どうして自分を第三者視点で観察できるのか。
彩は彩を見おろしているのだ。斜め上方の視点から、彩は自分自身を見ている。
幽体離脱でもしたのでしょうか……?
あまりに現実味にとぼしい状況ゆえか、怖さよりも興味がわいて、彩はしげしげと彩を眺めた。
高校時代の自分だ。
ほんの数ヶ月前の背格好なのに、どこか遠い存在のような気がする。
アンダーリムの赤い眼鏡をしている。一時期は毎日かけていた眼鏡だ。
制服シャツの上に羽織っているのは冬物のカーディガン、自分が編んだのだからよく覚えている。カーディガン左のポケットには猫ドーナツのアップリケがあって、添えられた花とともにワンポイントを形成していた。このアップリケも一生懸命さがして選んで、自分で縫いつけたものだ。
両足を肩幅にひらいて立って、胸元に猫のぬいぐるみを、生きている猫のように抱いている。
ぬいぐるみは首回りを、ドーナツ玉を組み合わせたリングで飾られていた。黒猫という人もいるかもしれないが色調はグレーに近い。猫は今にもにゃあと鳴きそうな顔立ちで、両手を彩の袖にかけ、ちいさなあんよの裏を見せている。肉球はあざやかなピンクだ。ちょこんと立った耳の内側も、同じくあざやかなピンク。
彩は彩の表情が気になった。ぬいぐるみとは対称的な表情だったのだ。
おどおどとして不安げで、背後から呼びかけられようものなら、振り返りもせず走って逃げ出してしまいそうな。
私……ずっとこんな顔をしてたんですね……。
そんな自分が嫌だった。
……今もそう、かも……。
でも。
そんな自分も、少しずつ変わることができた、あるいは、変わっている途上にあると思いたい。
彩の視点がさらに彩に近づいた。
すうっと降りていく。
幽体離脱が終わるのですか……?
こう思ったときにはすでに、彩の視界は寝子島高校へと移っている。
廊下を歩いているのだ。たぶん、朝の光景だ。
教室のドアが開く。見覚えがある。昨年度三年二組の教室だ。自分で手をかけたイメージはないのに、からりと自動ドアみたいにスライドした。
「おはよう」
今では懐かしいクラスメイトが声をかけてくる。なかには、
「チョリ~ッス」
彩からすればちょっと苦手な、
南波 太陽
の姿もあった。
「お、おはよう……ございます……」
自分が返事をするのが聞こえた。
……えっ?
また不可解なことになっている。彩はまだ返事をしたつもりはないのに、彩の体が声を発したのだ。
理由を考えるより先に、太陽が意外な行動を見せた。
「おっ、そのぬいぐるみチャン、カテーカ同好会で作ったんスか?」
席を立ってこちらに近づいてきたのだ。その名のごとく太陽は、自身光源であるかのように光をともない前に立つ。
南波さんと間近で話すなんて……。
家庭科ときちんと発音せず『カテーカ』になっているあたりとか、彩にとって彼は対極の世界そのものの存在だ。できるのなら今すぐ、煙になって消えてしまいたいくらいだった。
けれど彩が意識するより早く、彩の口からは言葉が出ている。
「そ、そうです……」
たちまち太陽は目尻を下げた。
「かーいいッスね」
ニコッと笑う。太陽の声を聞いて、
「ほんとほんと」
前の席のクラスメイトが振り返った。こちらは女子、彩は彼女と話した記憶があまりない。
「か~わいいっ」
と彼女も目を細める。
おかしいですね……?
彩は不思議でならない。太陽も彼女も、ぬいぐるみのことを話題にしながら、ぬいぐるみではなく彩を正面から見ているのだ。太陽はしゃがんでいるし、クラスメイト女子にいたっては椅子に座ったままだ。自分の背は縮んだのだろうか。
しかもやっぱり、
「あ、ありがとうございます……」
彩が話そうとするより先に、彩の体のほうが、勝手に返事をしている。
「ぬいぐるみチャンさわっていいッスか?」
「ど……どうぞ……」
彩は、彩が返事する前に言葉を発した。奇妙だが、そう表現するほかはない。
――あっ。
やっとわかった。
太陽の手が乗っているのは自分の頭だ。あたたかい感触がある。
私……私の体に戻ったんじゃなくて、ぬいぐるみの体に入ってしまってます……。
現在どうやら彩の魂(?)は、高校三年のときの彩ではなくて、彩が抱いているぬいぐるみに宿っているらしい。手をふれもせずドアが開いたのも、背が低くなったように感じたのもこれが原因だ。
太陽たちが呼び水となったか、高三の彩は複数のクラスメイトに囲まれていた。
みんなぬいぐるみのできばえを褒め、頭をなでたりしてくれる。ぬいぐるみになったおかげか、さわられても嫌な気はしない。むしろいい気持ちだ。
「このドーナツリング上手だね。本物みたい。どうやって作ったの?」
「え、ええと……ウォッシャブルフェルト製なんです……お手玉みたいにして手芸綿を詰めて……」
「ウォッシャブルフェルト? 普通のフェルトとちがうの?」
「はい、えっと……ウォッシャブルフェルトは洗濯できるフェルトなんです。縮みにくいし、しわができにくいので……なんというか、かっ、加工しやすいんです」
「耳の部分ってどう作るんスか?」
「……ま、まず型紙を用意して……その通りに布を裁断して……」
驚いたことに彩は、クラスメイトたちの質問に的確に応答していた。もちろん大きな声ではない。むしろ小声である。言い間違えたり、つっかえたりもよくする。
でも、ちゃんとコミュニケーションが取れている。
……私、思ったよりずっと、ちゃんとしてたんですね……。
夢想して現実をゆがめた我が身ではない。この光景が現実にあったかどうかは別にして、高三当時の自分なら実際、これくらいの受け答えならできていたと思う。今でもたぶん、手芸や服飾のことであればすらすら――とまではいかずとも少なくとも、話が通じるように話すことができるだろう。
高二春ごろの自分だったらどうだろう。
あの頃の彩は超がつくほどの人見知りだった。オリンピック競技に『人見知り』があったとしたら、軽く銀メダルくらい取れそうなくらいの。当時この状況になったとしたら、話しかけられただけで赤面して、一時停止ボタンが押されたみたいにフリーズしたあげく「そそそそそそそそれは……」と言いかけたまま二の句が継げずになっていたかもしれない。
やっぱり、私……私も……。
いくらか成長……しているのでしょう。
あっという間に放課後になり、高三当時の彩は家庭科準備室の戸をくぐっていた。寝子島高校家庭科同好会の活動拠点だ。
もちろんぬいぐるみも一緒に入った。
猫ぬいぐるみ化にもすっかり慣れた彩だった。ちゃんと彩の体が、顔を前にするように抱っこしてくれるのであれこれ観察もしやすい。
うわあ、懐かしいです……。
ため息が漏れそうだ。
布地の匂い、壁を飾る完成品のパッチワーク、戸棚におさまる裁縫道具の色合い――全部記憶のままだった。
胸がいっぱいになる。もう味わえない感覚だと思っていたのに。
もちろん現在の彩であっても、文化祭などで家庭科同好会を訪れることはできるだろう。OGとして遊びにきても、きっと歓迎してもらえる。
でも現役の寝子高生として、元ではなく現部員として、この場所に存在することは二度とできない。
それだけに喜びもひとしおだ。
だけど高三の彩は、
「まだ誰も来ていませんね……」
残念そうにつぶやくと、壁際の席にカバンを置き、裁縫台を積んだデスクに頬杖をついたのだった。ぬいぐるみはカバンの隣に座らせた。
あの、当時の私……もうちょっと私に部屋を見せてくれませんか……。
抱っこしてうろうろしてくれませんか……? ねえ。
ほんの少しでいいんですけど……。
現在の彩には貴重なひとときだが、高三の彩にとってはそうではないらしい。横目に見える彩は、頬杖の姿勢のまましばらく編み物の本をパラパラとやっていたが、いつの間にか寝息を立てていた。
起きてください、私……それで準備室を見せてください……。
でも念は通じない。しずかな寝息が聞こえてくる。
ああもう……せっかくの機会なのに……。
と思ったときに彩は気がついた。
ぬいぐるみは動けないって、誰が決めたんでしょう……?
もしかしたらと気がついたときにはもう、ぬいぐるみ姿のまま彩は立ち上がっていた。
「あっ!」
声がでてしまい手で口をおさえる。動いているところを第三者に見られたら魔法が解ける――そんな気がした。
慎重に慎重に。
ひょこひょと足を前後する。ちゃんと二足で歩けるではないか。それどころか走れるし、なんならジャンプもできるではないか。軽々とデスクから飛び降り、なんと空中一回転して着地する。
さすが猫さんです……!
体操選手みたいに両手をひろげ、観客がいないので自分で拍手する。布のハンドのはずなのに、ちゃんとパチパチと音がした。
では、懐かしの家庭科準備室を探索してみましょう。
約一年前の自分(寝ている)を放置して、彩はとてとてと探索をはじめた。
三年すごした憩いの場所だ。すべてが懐かしく愛おしい。使い古した道具すら輝いて見える。家庭科同好会に入っていなければ、服飾の専門学校という進路を選ぶことはなかったかもしれない。
戸棚をひらくと、みんなで共同制作したタペストリーが出てきた。題材は、夕陽を浴びる寝子高の校舎だ。制作者には新人も混じっていたのだが見事な完成度だった。この年の文化祭にも展示したものだ。自分が手がけた部分の編み目に手をはわせる。なめらかな感触が伝わってきた。
嬉しくなって他の戸も調べてみる。
たしかここに……ありました!
取り出したるはアンティークドール用の衣装だ。文化祭やバザーでの販売を想定したもので、熱心に作っていたのは後輩だったが、指導がてら彩も数点作成している。
『せっかくだから他にないものを作りませんか?』
その後輩は提案したのだ。
『コスプレ衣装です。人形用の!』
彩が賛成したことは言うまでもない。
口元がほころぶ。
「一度着てみたかったんですよね……」
サイズなら記憶にある。現在のぬいぐるみ姿であれば着られることはまちがいない。
まずは自分のドーナツリングを外す。ちゃんと外せるようにボタン留めだったのだ。猫の丸い手だというのに、想いが通じたかするりと外せた。
あまりのんびりはしていられない。他の部員が訪れればこの時間は終わるだろう。
自作衣装は数点、どれを着るか迷ったが、一番派手なものを選ぶことにした。
女騎士の正装、ブラウザゲームのキャラクターが着用しているものだ。パールレッドのきりりとした軍装で、胸元の紋章が格好いい。シャープな作りながら、タイトなスカートにはお洒落心もある。
彩は友人に頼まれ、れっきとした人間用のコスプレ衣装を作成した経験が何度かあった。でもこのキャラクターの衣装を作ったのは人形サイズが唯一だ。無論、このキャラに扮するのがはじめてであることは言うまでもない。
「そうだ眼鏡……」
このキャラクターは大ぶりの眼鏡をかけているのだった。しかし心配は無用、胸ポケットにミニチュアの眼鏡も挿してあった。
袖を通しチャックを下ろす。あつらえたようにぴったりではないか。眼鏡もちゃんと着用できた。
「ああ……」
彩はわが胸をギュッと両腕で抱く。
まさかの過去探訪にぬいぐるみ化体験、そしてまさかのコスプレ体験!
幸せすぎてこのまま空に舞い上がってしまいそうだ。
まるで夢みたい……。
これが夢ならもう少し見ていたい。
夢なら……。
夢なら……。
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桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年01月01日
参加申し込みの期限
2022年01月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年01月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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