【星幽塔】第？階層　不死概論｜リアクション

【星幽塔】第？階層　不死概論

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　修とラッセルと美野梨の三人が階段を降りた先にあったのは、壁がぶち抜かれた一室だった。
「そりゃそうか。いちいち入ってこねーだけで、入れねーわけじゃねえよなあいつら」
　怪物を振り切れなければ、逃げ込んだところでこうなるのだ。壁にぶちまけられた血痕が、その結末をありありと表していた。
「これで怪物の目を……目、ないのよね。とにかく、ごまかせるかしら」
　美野梨が星の力で霧を作り出し、失われた壁に代わって部屋を包むように展開する。
　その矢先である。
　霧の向こうに巨大な影が映った。
　三人はその場で硬直するように息を殺し、ただ影が去っていくのを待つ。
　怪物が無造作に振るった右腕が、頭上の霧を裂く。しかし感覚の鈍い怪物は、そこから覗く三人の姿には気づくことはなかった。
　やがて足音も影も消えたのを確認し、美野梨が霧を再度展開。三人は手早く探索を済ませることにした。
「これ鎮静剤とかじゃね？」
　ラッセルが見つけたのは、開けっ放しで床に転がっていた小箱だ。
　中には小型のボウガン状器具と空き瓶――より正確には「空き弾丸」とでも言うべき形状だ――がいくつかと、一つだけ充填された瓶が収められている。
　フタの裏には注意書きが書かれていて、その内容からもこれが鎮静剤の類であることがうかがい知れた。
「やっぱり弱点を完全に克服はできなかったのね。それでもあくまで鎮静剤だけということは、毒への耐性自体はかなり高いと考えた方が良いかしら」
　他には何かないかと部屋を探す美野梨が見つけたのは、物置で真白が見つけたのと同じ星の力を使った迷彩ケープだった。
「これは……星の力を利用した迷彩？」
　幸い人数分あったので、ありがたくもらっていくこととする。
「それにしても星幽塔の技術は中世レベルかと思ってたんだけど、星の力由来で進んでる部分も多いのね……」
　雷撃フェンスなどもそうだし、それこそ怪物を作った技術も使い方はともかく進んだ技術ではあるだろう。

　一方、部屋の奥へ踏み込んだ修が見つけたのは、壁に貼り付けられた見取り図だった。
　血痕がついた際に被ってしまっていたようで、一部が汚れて見えなくなってしまっている。しかしそれでも充分に有用で、修はわかる限りの構造を頭の中に叩き込む。
　おそらく存在する怪物たちを管理・監視する部屋の目星をつけると、現在地からのルートを素早く構築。
　それから修は件の部屋の東側、通路をまっすぐいった先と思われる場所に目を向けた。
　血で汚れてしまっているが、ぐるぐるとまるで刻み込むような印がつけられているのがわかる。
「……扉か？」

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