輝くような、普通の日｜リアクション

輝くような、普通の日

　◆第二章「水着ガールズバー、それを支える副店長」

　とある日の午前１１時半。カーテンから差し込む陽の光に、真境名アリサは目を覚ます。
　ベッドから降りた彼女はカーテンを開き、目一杯溢れこむ太陽の光を浴びて伸びをする。

「……ふぅ。今日もいい天気ね」

　気分の朗らかになる太陽の光を浴びた後は、スマホでSNSやニュースをチェック。
　これと思った見出しはチェックを入れて、後々に確認出来るようにページメモ機能を活用する。

　それからお店の常連の方々に御礼のメールやNYAINEを送り、スタッフ達にも今日の連絡事項を伝えておいた。
　水着ガールズバーはその性質上、スタッフの体調面に気を使う必要がある。そのため、スタッフから声をかけづらい場合に備え、先に声をかけることで返答をもらいやすくしているのだ。

「これでよし、と。ご飯は……うん、今日は少し軽めでいいか」

　材料は何があったかなと冷蔵庫を確認して、カロリーを少し抑えた食事を準備するアリサ。
　水着ガールズバーではその身体のラインがくっきりとわかってしまうため、どんな時でも体型を崩す行為は出来ない。故に綿密な計算をしたうえでの食事を行うのだ。

　食事を終えて、１４時頃。
　アリサは胃の調子を確認し、寝子島スポーツセンターへ向かう準備を整えた。

　食事コントロールをしているだけでは絶対的なプロポーションは維持出来ない。
　普段からの不断の努力が求められるもので、今回のスポーツセンターも当然プロポーション維持のために必要なことだ。

「今日はいい感じのトレーニングが出来そうね。……と、お店にも連絡入れておかなくちゃ」

　スポーツセンターへ向かう旨をスタッフ達と共有するNYAINEに入れて、荷物を持っていざ寝子島スポーツセンターへ。

　陽は暖かく、少しぬるい風がアリサの身体を包み込む。
　もうすぐ季節が夏へと切り替わるからか、太陽の光も少しずつ夏の太陽へと近づいている。
　そんな太陽の光を浴びると、うっすらと雲がかかっていた心も晴れやかになるものだ。

「～……♪」

　晴れやかになった心の様子を表すように、鼻歌交じりに歩くアリサ。
　この後のトレーニングメニューを頭に思い浮かべながら、スポーツセンターの更衣室へ。

　競泳水着に着替え、温水プールへと向かうと……既に幾人かの人々がプールを利用していた。
　空いている２５ｍプールへと身体を沈め、いざトレーニング開始。

　まずはゆるやかにクロールで端まで泳ぎ、身体を水に慣らさせて。
　端まで到達したら水中でくるりと一回転。そこから更に平泳ぎを駆使して軽やかに泳ぐ。
　再びスタート地点に戻って、また同じように一回転。次に使うのは背泳ぎで、背筋をピンと伸ばして優雅に泳ぐ。
　端までまた到達したら、一回転してバタフライ。腕を大きく回して、美しく泳ぐ。

　基礎的な四泳法を中心に様々な泳ぎでプールを泳ぐアリサは、着実に自分で課したメニューをこなしていた。
　時には休憩を入れて身体を休めつつ、鍛え上げることに専念し続けた。

「ふぅ……。今日はこのくらいでいいかな？」

　各種メニューをこなしていたら、気づけば既に夕方になりつつあった。
　アリサは温水プールから上がって汗を流すためにシャワーを浴びる。

　もうすぐ、仕事の時間。
　鍛え終えたその身体のまま水着ガールズバー『ジュエル』へと向かい、事務仕事を終わらせて。
　メイクを整え、水着に着替え、開店前にNYAINEで伝えておいた業務上の指示を復唱。

　そうして、水着ガールズバーは今日も綺羅びやかに開店する――。

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