裏山サバイバルバトル～右手には水鉄砲を、左手には勝利を～｜リアクション

裏山サバイバルバトル～右手には水鉄砲を、左手には勝利を～

【ゴーグルは着用しましょうね？】
　
　綾瀬エルミルは、これから始まるであろうサバイバルバトルの情景に心を躍らせていた。
エルミルら寝子島高校野外行動研究会の面々は、教師側から頼まれて、ゴーグルやら水鉄砲などの道具を支給するのを手伝っていたのだが、皆一様に楽しそうに動いている。
　ついに、待ちに待ったこの日がやって来たのだから、それも当然であろう。
「安全のためにゴーグルを付けてくださいね」
　そう言いつつも、顔が緩むのは止められない。まるで芋ケンピを目にした時のようだ。
「普通科の安全チェック、終わったわ。判定員の方にも、しっかりとルールは伝わったようね」
　自身の装備もしっかりと付けて、神薙焔が報告をする。
「部長殿！　こちら体育科・芸術科も準備万端であります！　」
　そう言って走ってくるのは、小倉杏子。チャームポイントとの軍帽も心なしか弾んでいるように見える。
「ご苦労様です。では、先生方へ報告をして私たちも配置に付きましょう」
　焔と杏子はそれぞれ了承の言葉を残し、自分たちの陣地へ走っていく。
「このサバゲーが終わったらもっとメンバー集めをがんばろうと思います。あと、芋ケンピも絶対に流行らせます」
　そう、エルミルは強く決意をすると、準備完了を告げに行ったのであった。

【開戦！　クヤサンノボレ、一三〇〇】

「さん、に、いち、いま！　作戦開始です！」
　１３時になると、その時計合わせとともに判定員の空砲が放たれて、裏山一体に響いた。
「みんなにお任せするわ」
　体育科・芸術科の陣地は、そう言った剣崎エレナを守備しつつ、攻勢も出来る分隊を早々と組み上げ、攻守の連携を組み上げることに成功した。
「みんな、頑張ろうね！　って、あれ？」
「集団戦術とかをしてみたいのですよっ！　って、防御が固めれないっ！」
　同時刻、普通科では、それぞれに行動する生徒が現れたため、一時混乱に陥ったものの、エルミル、上泉睡蓮らの呼びかけによって、野々ののこを撃たせないためのなんとか攻勢に出ることが決定された。
　普通科チームVS体育科・芸術科チーム、それぞれ緊急人数合わせて二十二VS二十二という数字である。
　かくして、空砲と共に各々の戦いが始まったのであった。

このページにイラストを設定する