第二回！　にくきゅうスタンプラリー☆｜リアクション

第二回！　にくきゅうスタンプラリー☆

★初めてのろっこん

　小学５年生の光村千恵は、大好きなお兄ちゃんの誕生日プレゼントを買いにシーサイドタウンに出かけました。
　いろいろ迷って選んだのは、シックな猫がプリントされた、モノトーンのリストバンド。
「お兄ちゃん、気に入ってくれるかな」
　プレゼントを手提げポーチにしまい、大事そうに抱えて帰る途中。
「あれ、何だろう？」
　人が集まる賑やかな一画に気づきました。
「猫の肉球スタンプラリーしてるの！？　何それ、楽しそう……！」
（賞品も豪華だし……お刺身やマリンパラダイスの券とか、あって困るものじゃないし、家族のみんな喜んでくれるよね）
「よし、私もやっちゃおう！」　

　スタンプラリーのシートを首にかけ、千恵は猫を探し始めました。
　家ではコトラという雄猫を飼っている千恵は、近所の猫のみんなにも散歩のときにかつお節やにゅーるをあげています。
　今日も手提げポーチに猫にあげるおやつの小袋が入っていました。
「あ、いた。おいで～怖くないよ～」
　ブチ猫を見つけた千恵は路地裏にしゃがみこんで、声をかけます。
（まずは仲良くならなくちゃ）
　猫をなでなでして餌をさしだし、
「仲良くしようよ。あなたのこと知りたいな」
　と目を見て笑いかけました。
「ニャー」
「あれ……？」
　千恵の頭に、急にかつお節が浮かびました。
「え、もしかしてこれが欲しいの？」
「ニャー！」
　かつお節をあげると、猫は喜んで食べました。
「今見えたのって、あなたの欲しいものだよね……これって」　
　戸惑いつつ、千恵は気づきました。
（これってもしかして……クラスの噂で聞いたことある超能力者？　「もれいび」になれたのかな）
　ぼんやり思った千恵の中で、じわじわと嬉しさが高まってくるのでした。

「よーしこの調子で猫を探そう！」
　とはいえ、シーサイドタウンに詳しくはない千恵。
「猫ってどこにいるんだろ？　誰かに聞いてみようかな？」
　そこへ、ポニーテールの女の子が通りかかりました。
「すみません、この辺で猫が集まる場所ってわかりますか？」
　聞かれた響タルトはドヤ顔で答えます。
「猫のことなら任せてよ！　君もスタンプラリーに参加してるの？　一緒に行こうよ」
「え……参加者の人？　負けないよ!」
「まあまあ、別に競争じゃないから。協力しようよ」
「それもそうか……猫の居場所、教えてもらえますか」
　ついライバル意識が湧いた千恵ですが、考えてみればこちらは教えてもらう立場です。
　素直についていくことにしました。

「ここだよ。静かに近づこう」
　タルトが教えてくれた場所は人目につかない植込みの陰でした。
　猫が３匹丸まっていました。
「旧市街じゃない猫たちってこんなところにいるんだー。こっちも居心地よさそうでいいね。あれ？」
　そこに、ひょいともう一匹猫が顔を出しました。
「あっ、コトラ！　きてたんだ？」
「ニャー」　
　散歩好きなコトラは、こんなところまで遠征していたようです。
「な～に？　みんなの間で噂にでもなってるの？　野次馬にきたのかな。一緒にいく？」
「コトラくんって言うんだ。君んちの猫なのかな」
　タルトが何か思い出そうとするようにコトラを見ました。
「あ、そうだ、コトラなら押させてくれそう。いい？」
「ニャー？」
　コトラと会話はできないけれど、嫌がっていないのはわかります。
　ペタリ。
　千恵がコトラのスタンプを押している間に、タルトは猫じゃらしで他の猫たちを集めます。
「よーし、スタンプ押させてね」
　こうして二人はスタンプをゲットしたのでした。
「コトラ、他にも猫さんを見つけてくれる？」
「ミャー」
　通じているのかどうか、歩き出すコトラと共に千恵のスタンプラリーは続くのでした。