第二回！　にくきゅうスタンプラリー☆｜リアクション

第二回！　にくきゅうスタンプラリー☆

★夢のモフモフ企画

「参加するぜ！」
　この日を楽しみにしていた鈴木弥次郎は、早々と受付に向かい名簿に名前を書きました。
　シーサイドタウンで猫ちゃんが集まりそうな場所はすでに下見済みです。
　けれど。
「そういった場所に行く奴も多いだろうし、うろついた先で偶然出会うってのもいいってもんよ」
　という訳であえて外した場所を気楽に探してみることにしたのでした。

　『ねこみゅ（猫さん大好きコミュ）』の一員である響タルトも、ねこったーで噂を聞いて参加しました。
「狙うのは当然にゃんコンプ賞！」　
　サザエのつぼ焼き・焼きハマグリ・生シラス丼、豪華海の幸三点セットです。
「いいなあ、美味しそう☆」
　実はタルトには切り札がありました。
　タルトのろっこんは、水やお湯をかぶって念じれば猫になれるというものなのです。
（日頃猫になってるから、猫のいる場所はよく知ってるし♪奥の手でろっこんで猫になってスタンプ押せるしね）
　タルトが手にしているのは、この前ニャオンピックに参加して賞品にもらったねこじゃらし。
「これを使って、猫たちを集めるよ～。でもスタンプ押すのは一人じゃ大変だから、誰かと協力したいなあ」

　余裕をかまして人気のない裏道を歩いていく弥次郎でしたが。
「……一向に出会えねぇな！　まあ出会いとはそういうもんだ」
　あくまで弥次郎はポジティブです。
　豪華な景品には惹かれるけど、猫と触れ合えるチャンスがあることが何より嬉しいのでした。
　とはいえけっこう時間も経ちました。
「そろそろ昼だし、休めそうなとこで弁当を食おう」
　腰を落ち着け、長丁場を覚悟して持参した弁当を広げると。
「うにゃー」
「みゃー」
「なーお！」
　突然草むらから猫たちが現れ、弥次郎はびっくり。
「おう、弁当を開けた途端にねだりに姿を現すとは、さてはお前らは出来る猫ちゃんだな？」
　そして、やってきたのは猫だけではありませんでした。
「おっ、みんな集まってるねー」
　タルトがひょっこり顔を出したのです。
「あっ、君もラリーに参加してるの？」
　弥次郎のシートを見て、タルトは気さくに声をかけてきました。
「……そうだけど、姉さんもかい？」
　そう言いつつ弥次郎は鞄から紙皿を取り出し、
「よし、お前らにはこれをやろう！」
　猫用のかつおぶしやキャットフードを取り出し、紙皿に乗せて地面に置きます。
　あっという間に野良猫たちはキャットフードに群がり、一心不乱に食べ始めました。
「んー、食べる姿も、はぐはぐという咀嚼音もかわいいな！」
「そうだねー、それじゃスタンプ押そうよ」
　ちゃっかり準備を始めるタルト。
「そうだなー、でも猫ちゃんの気持ちが優先だな。猫と遊べれば十分満足だし」
「じゃあ君の分まで押してあげるからシート貸して。遊んでていいよ」
　食べる姿を存分に眺めた後、弥次郎は猫じゃらしを取り出します。
「猫じゃらしもあるぞ、遊ぶか？」
「うにゃー」
　関心を示した猫に猫じゃらしを振るったり。
「みゃー」
　撫でて欲しそうならごろんとお腹を見せた猫をモフりまくり。
　様子を見ながら猫たちが満足するまで相手をするのは、至福のひと時でした。
　ぺたり。ぺたん。
　その間にタルトは二人分の肉球スタンプをゲット。
「はい、できたよー」
「おお、サンキュ」
「こちらこそー、遊んでもらってて助かったよ。これで３個集まったけど、のんびりしてられないよ？　手伝おうか？」
「んー、俺はあんまり急いでないから。他の奴手伝ってやったら？　それより気づいたか、肉球の形にも個性があるんだぜ」
　スタンプされた猫たちの肉球の形を見比べて、にんまりする弥次郎でした。
「それじゃ僕は行くね。またねー」
　タルトは手を振って去っていきました。

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