第二回！　にくきゅうスタンプラリー☆｜リアクション

第二回！　にくきゅうスタンプラリー☆

★猫缶の誘惑

　マイペースな万条幸次は、楽勝気分でスタンプラリーに参加しました。
　昼過ぎ、真っ先に狙っていた海浜公園へ移動します。
「ここは野良猫が集まるスポットのはずだ」
　芝生の上で一匹の猫があくびをしていました。
「１匹しかいないや」
　でもそれは想定済みです。
　準備してきた高級猫缶をすこしだけ開けると、あくびをしていた猫は鼻をひくひくさせて寄ってきました。
　そこで幸次が目を閉じて念じると、ろっこん『猫チェンジ』が発動します。
『こんにちは。　あと５匹知り合いを集めてくれないかな？　６匹以上集まれたらこの猫缶はあげるからさ、ほらすごくいい匂いだよぉ』
　ろっこんの進化能力でネコと話せる幸次は、1匹いた野良猫に話しかけて勧誘するのでした。
『ほんと？　すぐ集めるよ』
「ニャーン！」
　その言葉通り、あっという間に猫たちが集まってきました。
『猫缶くれるってほんと？』
　近くにいた猫から肉球にインクをつけて、カードにぺたり。
「あっさりコンプリート出来ちゃった。はい、約束の猫缶だよ」
　幸次は気前よく５缶を全部開けて、さっきの１つと並べて置きました。
「うにゃにゃん！」
　猫たちは夢中で食べ始めます。
「これで受付にもっていけばにゃんコンプまで景品総ゲット、やったね！」
　すぐ持って行ってもいってもよかったのですが、美味しそうに平らげた猫たちの空き缶を回収しながら、幸次は鼻をひくつかせました。
「美味しそうだなあ、あの猫缶結構高かったんだよねぇ」
　もう一缶、とっておきの猫缶がとってあります。
　そう、幸次の本来のろっこんは猫に変身する能力です。
　あたりに人影がないのを確認し、幸次はもう一つの猫缶を開けて。
「まだ時間もあるしちょっとぐらい食べてみてもいいよね、ろっこん猫チェンジ！」
　耳が生え尻尾が生え、みるみるうちに幸次は猫の姿になりました。
　さっそく猫缶に鼻面を突っ込み、食べ始めます。
（う、うまい！　猫の味覚にばっちり！　飼い猫って結構いいモノ食べてるのか……）
　あっという間に平らげて。
（あー食べたら眠くなってきたにゃ）
　気持ちのいい陽だまりの中、いつしかうとうと……

　時間はあっという間に過ぎていき。
「うーんよく寝た……」
　いつの間にかろっこんが解除されて、幸次は人の姿に戻っていました。
「あれ？　今、何時だっけ」
　時計を見た幸次は青ざめました。
「……まずい、駅まで急げ！」
　急いで荷物を持ち、走り出します。
「そんなに足早くないけど！　４時に間に合えええええ！！！」

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