せんせいといっしょ：相原先生編｜リアクション

せんせいといっしょ：相原先生編

「せ、先生……ホント、何を入れたんだ……？」
　あまりにも『凄い』としか言い様のない味に北斗がぎこちない動きでまゆを見、担任はおかしいわねぇ、と首をひねる。
「うーんと、レモンとはちみつとスポーツドリンクに生薬を混ぜたものだけど……分量間違えたかしら？」
「お、遅かった……。女の子や後輩が犠牲になっていた……」
　武道はうーん、と首を傾げるまゆから容器を受け取り、まるで水杯をやるような雰囲気で残ったドリンクを自分と竜司で半分ずつに分ける。その量、一人当たり３００ｍｌ（推測）である。
「それじゃあ」
「頂きます」
　意を決して飲み干す武道と竜司。そして……二人はまもなく白目を向いて倒れ込んだのだった。ドリンクを飲まなかった面々は「飲まなくてよかった」と心から思うのだった。

　まゆお手製ドリンクでのあれこれはさて置き、望月が用意した朝ごはんで口直し。彼が用意したのは美味しそうなごまおかかおにぎりとキャベツの塩昆布浅漬けである。嬉しさあまりにがっついてのどに詰まらせようとした真央を望月が麦茶で介抱したり、唐辛子がたっぷりかかったおにぎりに武道が嬉しそうにぱくついたり、ドリンクの悪夢を振り切ろうと被害者たちが心で感涙を流しながら食事をとったり、といった具合だった。
　皆が食事を始めた頃には修もゴールしており、クールダウンの後、ゆっくりと朝ごはんを口にした。

　みんなで楽しく朝ごはんを食べた後、気がつけば朝の７時を回っていた。それに気づいた千代は真央と共に席を立つ。
「それじゃ、僕たちは部活にいってきまーす♪」
「真央ちゃんもいってきます、なのだ！　竜司ちゃん先輩にまーちゃん先輩、もっちゃん先輩、先に行ってるのだ」
　千代と真央は気合十分、といった様子で神社を後にする。その姿に優しい笑顔になりつつも円もまた一礼した。ジョギングの次はにゃーくんのお散歩なのだとか。しかし、修になついていたにゃーくんは少し名残惜しそうにしていた。
「また、遊ぼうな？」
　修がそういって頭をなでるとにゃーくんは嬉しそうに一声ないた。
「おー、大丈夫かー？　大丈夫なら後片付けを手伝ってくれないか？」
「まゆちゃん先生の頼みなら喜んでーっ！！」
　望月の声に、先ほど白目むいた筈の竜司が、妙なテンションで動き始める。なんか、望月ではなくまゆに頼まれた、という夢を見たらしい。それを見た望月はとりあえず彼の他、武道や正也、北斗にも手伝いを頼んで後片付けをする事にした。
「相変わらず担任ラブだねー、竜司くん」
「てか、冴木……大丈夫なのか？」
「頑張れ、竜司。生きろ……」
　武道、正也、北斗の３人は、妙なテンションのままの竜司を見て内心でため息をついたのだった。
　そして、他のメンバーもまゆや仲間たちにお礼をいって立ち去っていく。その背中を見送りながら、まゆもまた片付けの手伝いをするのだった。
（また、みんなと走りたいわね。でも、ドリンクはどこをどうして間違ったかしら？）

　いや、まゆ先生。危険物制作はおやめください……？

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