せんせいといっしょ：相原先生編｜リアクション

せんせいといっしょ：相原先生編

結：清々しい朝を共に……？

＊午前６時　３０分
――寝子島神社

「おっ、ちょうどいい頃だな」
　宇佐見望月が色々準備を整えていると、先頭集団が寝子島神社の石段を登ってきたのが見えた。結局ランニングに間に合わなかった望月は、ここで差し入れに特製のおにぎりやら、樽型水筒たっぷりの麦茶やら用意して待っていたのだ。……が、しかし。
「あっるぇー？　望月くんさぼりかーっ？」
「げはぁっ？！」
「わーい到着なのだーっ♪　あれ？　もっちゃん先輩ふっとんでるのだ？！」
　飛び込んできた武道からのラリアットを喰らい、派手に倒れこむ望月。その後ろからやって来た真央達は突然の出来事に目を丸くした。

　そうこうしている間にも、修を除く全員がぞろぞろと帰ってくる。まゆは少しずつ走ってくる修の姿を確認しつつゴールした面々にきりっ、とした笑顔を向ける。
「クールダウンと水分補給も忘れずにね！　今日は腕によりをかけてドリンクを作ってきたわよっ！」

　――なっ？！

　先日の一夜漬け勉強会で猛威を振るったまゆお手製のドリンク。それで色々とおみまいされた面々には、その時の衝撃が蘇る！
「ま、まゆ先生それはちょっと……（ってアカン、アカン！　まゆセンセー、アウトだからーっ？！）」
「その前にクールダウンが先よ」
　突っ込もうとした武道にまゆがびしっ、と言い渡す。その傍らで「こんな時にスポーツドリンク忘れた……」と項垂れる正也だった。
　各々クールダウンの為に動く中、円は先日顧問の先生とやったミット打ちを意識しつつシャドーボクシングを３分間行う。
　全員がクールダウンを終えた所で、まゆは早速水筒を取り出して紙コップにドリンクを注いでいった。見た目はごく普通の栄養ドリンク剤っぽい色合いなのだが立ち上る香りは微妙に生姜の香りに混じって漢方っぽい。それに思わず戦く数名。そして、まゆのレシピに則ってドリンクを作った事がある櫻は思わず顔を顰め、明後日の方向を見た。
「今日のは自信作なのよ！　正也くん、飲んでみない？」
「えっ？！　いや、俺ハ遠慮シテオキマス……」
　何故かぎこちない表情で首を振る正也。
「竜司、男を上げるチャンスだ。担任の愛情こもったドリンク、飲んでこい」
「勿論！　まゆちゃん先生の手作りドリンク、喜んで飲ませていただきますっ！」
　ぽん、と肩を叩いて竜司を唆す望月。竜司は最初からそのつもりか、早速向かおうとしたが既にまゆ先生の前には数名が……！円は「先生、ドリンク頂戴っ！」と自ら貰いに行き、刀も素直にお礼を言って一気にぐいっ、と呷る。そして寿美礼と北斗もこれまた素直に受け取って飲んでいた。勉強会で被害にあった筈の昌也も笑顔で受け取っている！！
「せ、先生……そのドリンク、何が入っているのだ？」
　友人からお手製ドリンクの危険性について聞かされていた小麗は震える声で問いかける。が、その傍から刀が膝をついてガタガタ震え、円がコップを落として固まっていた。その上寿美礼が笑顔をキープしたまま大量の汗を額に浮かべ、どこか遠くを見たまま「飲んだことのない味ですね」とつぶやいている。

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