ハッピーバースデー！　５月☆｜リアクション

ハッピーバースデー！　５月☆

　倉前七瀬は、寮の自室の机に向かって、青色の包装紙でラッピングしたプレゼントを眺めていた。
　その表情は決意に溢れている。
「今年はばっちりです」
　去年は選ぶどころの騒ぎではなかった。急遽、当日に用意したプレゼントを慌てて渡してしまった覚えがある。
「じっくり考えられましたし。当たって砕けろ、おーですね。あ、いや」
　自分で考えておいて砕けるのはどうかと思う。
　それはそれとして、
「問題は……」
　スマホでカレンダーを確認する。今日、ウォルター先生の誕生日は祝日なのである。
「これはもう先生の家を訪ねんといかんのでは」
　そう考えるも、さすがに止めることにした。
　自然な感じで、その流れで渡したい。そこで思いついたのがブラブラ作戦だ。ウォルター先生の住む星ヶ丘付近を歩いていればいずれ出会うのではないかと。
　そう決めた七瀬はさっそく向かうことにした。
　星ヶ丘付近。午前中は会えず、近くのカフェで休憩。
　紅茶を飲みながらガラス張りの窓からぼんやり外を眺める。
「今日は会えんかもしれんとです」
　連絡を取るのは簡単だが、なんだか、寂しくなってきてしまった。
「はぁ、大人しく後で学校で」　　　
　そう言った瞬間、窓の外に見慣れた金髪が見えた。
「！！」
　慌ててお会計を済ませ、外へ飛び出す。
「ウォルター先生っ」
　呼び止めて振り返った先生は笑顔になった。
「倉前？　こんなところで偶然だねぇ」
　実は探してたと言おうとしたが、止めておいた。しかし、ようやく会えたのだ。
「ふふー、やっと会えました。これどうぞ」
「え？　何かな」
「よかったら開けて下さい」
「あ、これ」
「幸運が訪れますようにって、プレゼント用意したとですよ。お誕生日おめでとうございます」
「うん、ありがとうねぇ〜。あれ、もしかして名前入り？」
　『w.B』とあった。
「少し前から用意していたとですよ」
「そっか〜。嬉しいなぁ。教え子に真剣に選んでもらえるなんて幸せなことだよねぇ」
「先生は大事な友達ですよ」
「……少し、散歩でもする？」
「お供します」
　学校では生徒に囲まれていることが多いが、今日はまったり過ごせそうだ。
「他に、誕生日プレゼントもらいましたか？」
「うーん、今日は休みだからねぇ。唯一、倉前におめでとう言ってもらえてよかったよ」
　きっと休み明けは生徒に囲まれているのだろう。
　しかし、今日会えたことは特別だ。何せ、誕生日は今日でしか有り得ないのだから。

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あとがき

担当マスター：高城ヒト
ファンレターはマスターページから！

今回、五月のバースディシナリオを担当させていただきました！
皆さんの特別な一日、楽しく過ごせましたでしょうか？　友人や仲間達との一時がずっと思い出に残りますように。

ご参加ありがとうございました！

（運営部より）
誕生日を迎えた方の年齢は、らっかみ！タイムが「６月」に移行する時に加算されます。
近日移行する予定ですので、もうしばらくお待ちくださいませ。

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