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泡沫の揺籠
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脳裏に浮かぶのは、弥逢の家のこと。家族のこと。
己の死がきっと家族への最大の復讐になるのだろうと考えて、けれどそれは望まなかった。その代わりに眠りを選んだ。
ふつり、と世界から消えてしまうことを選んだ。
(考え直してくれるかな)
家族に考え直させたかった。
(僕は、彼らから僕を取り上げる)
彼らが望む何かにいつでもなり得る『弥逢遊琳』を。
彼らが望む『弥逢遊琳』は、家族の夢を全て叶える理想の跡取りだ。
そうして姉を愛した幼馴染の最安定かつ幸福な結婚先だ。
──けれど。
高校を卒業するまでの期限つきでこの島に来て、自由を得た。
さまざまの出会いを得た。さまざまの感情を覚えた。たくさん遊んで、たくさん冒険をした。友達と笑いあうことがこんなにも胸を弾ませるのだと知った。だからこそ瞳を伏せてしまうほどに切なくなることも知った。
そのことに微塵も後悔はないけれど、知ってしまった。
だから、
(……今の僕には)
成りたいものも行きたい場所も答えられない。
それがいつからなのかは、何がきっかけなのかはもう分からない。
(分からない)
気付いたらそうなっていた。そうとしか、遊琳には言えない。
(けれどこれだけは言える)
脳裏を占める家族たちに向け、遊琳は顔を上げる。真っすぐに見据え、
(もう自分がやりたくないことは何一つやりたくない)
きっぱりと宣言する。
この島に過ごして、その結論を得た。
姉の身代わりとなることも。
家と店の跡を継ぎぐことも。
幼馴染の夫になることも。
それらの一切を拒絶する己を改めて家族に理解されるためにせねばならないだろう行為すら、もうしたくなかった。
瞼の裏の家族たちの顔が歪む。それではダメだと口々に遊琳へ告げてくる。自分たちの望むものにならぬ『弥逢遊琳』でない『弥逢遊琳』ではダメだと。
揃えた膝に置いた両手が拳になる。
(知っている)
建前を以て稼ぐことすら出来ぬなら、世で生きる大人としてはきっと許されないだろうことを。結果何処かで死ぬだろうことを。
(だから)
『ただ静かに眠りたい』という望みを告げて尚、否定も詰問も狂乱もしない彼に──ノエルに、頼った。
己の望みを肯定し、『弥逢遊琳』を尊重してくれた彼に視線を向ける。この部屋を、この寝台を作ってくれたノエルに渡す言葉はひとつしかない。
「有難う」
そのたったひとつで、きっとノエルは分かってくれる。
お礼ばかりを口にする遊琳に、ノエルは静謐な笑みを返す。
「最後に私からも贈り物を」
鳩羽色の長い髪を肩から一筋垂らしてお礼に応じるように会釈して、藤色のまなざしを部屋に一巡り。最後に行き着いた【睡蓮】に──『まどろみの君』に、祈るが如く瞬きひとつ。その仕草ひとつで、魔法具の製作者は部屋と【睡蓮】に小さな魔法を仕掛ける。
「……?」
「ささやかな『お呪い(おまじない)』を」
小首を傾げる遊琳には唇に人差し指を立てる所作だけを返し、ノエルは胸の内に微かに笑った。
(この不変の身も、こういった時には役に立つのかもしれませんね)
ノエルを仰ぎ見たまま、遊琳は胸に抱いた【睡蓮】をもう一度優しく撫でる。
(……僕は)
家族が望むままの何かにはなりたくなかった。
誰かの望む自分にはなりたくなかった。
自分の望むままの自分で在るということが、それはもしかしたら誰の役にも立たない、無用の命に成り果てることだったとしても。
世界に有用な命には成れずとも、惨い死の姿を残して無為に朽ちるのではなくいつかどこかの誰かのために、
(それこそ僕にとっての【睡蓮】の様に)
優しく在れる自分となることを他ならぬ自分に望みたくて、だからこそ、ノエルに頼った。
この体に宿る思いを石にする魔法を持つ彼に。
この思いをいつか魔法具に──【睡蓮】と同じものに造り替えることが叶う彼に。
「本当に有難う、ノエルさん」
礼の言葉を繰り返し声にする。
「もう一つの約束も、どうか」
もし目覚められなかった時の約束を、交わしている。
(僕というイシは貴方の手に)
それは己が身を捧ぐ悲愴な約束に似て、遊琳にとっては違う。
たとえかたちを変えたとしても、己が心が己のまま、いつか誰かの心に優しく寄り添える何かになれる。それを希望と呼ばずして何と呼ぼう。
蜜色の瞳に最早何者にも揺らがせられぬ色を湛えて微笑む遊琳に、ノエルは了承を示して静かに頷いた。そうしてから、ほんの少し思案して睫毛を伏せる。けれども、と息を零す。
「その願いが叶うのは少し先になりそうな気もします」
小さな吐息の意味が安堵であるのか落胆であるのか、もしくはその両方であるのか。遊琳には分からなかった。
胸に抱いていた【睡蓮】を浮かぶがままにそっと宙に放つ。
寝台に身を横たえた途端、堪えきれぬ眠気が体の全てをやわやわと包み込んだ。逆らわず、目を閉じる。
「おやすみなさい、狭間の君」
暗くも眩しくもない瞼の闇の中、ノエルの穏やかな声が子守唄じみて聞こえて、思わず頬が緩んだ。
「ああ、おやすみ……」
涼やかな草木の香りを胸に満たし、どこまでも沈み込むかのような寝台の優しさに、どこまでも澄んで青い海の温かさに身を委ね、目覚めを知らぬ眠りにふわふわと、ゆらゆらと沈んでゆく。
摩り切れた心の奥に、眩しい記憶は残したまま──
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
2人
参加キャラクター数
2人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年07月16日
参加申し込みの期限
2021年07月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年07月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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