ほっと寝子島　放課後倶楽部｜リアクション

ほっと寝子島　放課後倶楽部

●お洋服選びはまだ続く

「野々さん、これもどうかな？」
　あまり着ないかもしれないけれど、と思いつつ鴻上彰尋はデニムのシンプルなノースリーブワンピースと中にカットソーを合わせたものを勧めた。
「ショルダーバックを付けて、靴はローファーでもスニーカーでもお好みで。こういう服で遊びに行くのも、いいと思うよ」
　活発なののこに似合いそうだと思いながら、どうかな？　とアドバイス。
　こういう服で遊びに行くのも、いいと思うよと言った時、女子の誰かを見て言ったが誰かは秘密。
「彰尋君、お洋服選び手伝ってくれてありがとー！　女の子のお付き合いで選んだりしているのかな？」
　勧めたのは個人的な好みの服装なので、深く突っ込まれると恥ずかしい。
　妹の洋服選びを付き合っているから……かな？　と誤魔化した。

　ののこと彰尋の会話を聞いていた八神修は、洋服をじっと見ているあおいを見つめる。
　北海道に星とオーロラを見に行った時、あおいと過ごせて嬉しかった。
　あの時の言葉は忘れられない。
　親睦ピクニックでは、食事の後に広い景色の中でまったりしていた時に聞こえてきた「好き」というフレーズに思わず反応してしまった。
「私、修君も……」
　そう聞こえたのは気のせいではないと思いたい。
　バレンタインの前日や寝子島にピンクの風が吹いた時に縮まった距離感であおいへの思いは強くなり、関係は次第に深いものに。
　それがいつまでも続けば……と思っていたら。
「修君、これ、持ってくれるかな？」
　大量の服を持ったあおいが声をかけた。
「あ、ああ。大変だろうから俺が持つよ」
　買い物の際、大量の荷物持ちは男の役目だと試着室の前で服を持つ係を拝命。
　試着したいという服をカーテンの隙間から手渡し、着替えが終わるまで聞こえる衣擦れの音にちょっとドキドキするが紳士として表には出さない。
　ののことあおいは、タイミングを合わせたかのように同時に試着が終わった。
「どう、似合うー？」
　ノースリーブワンピースと中にカットソーを合わせたもの着たののこは、放課後倶楽部メンバーに聞く。
「修君、似合うかな？」
　色違いのノースリーブワンピースを着たあおいは、少し恥ずかしそうだ。
「良く似合っているよ、２人とも。気に入ったならこのまま買ってしまうか？」
　どうしようかと悩んだが、青山絢が予算が大丈夫ならというので買うことに。

　ののこのお洋服選びは終わったが、お洋服物色はまだ続いている。
　その間、修はあおいにお洋服を選ばないかと勧められたので、それなら……とあれこれ見て回る。
　あおいの意見を聞きながら、様々な洋服を試着。
「ちーっす★」
　従来のイメージを変えるならこれという洋服を着てやってみた決めポーズだったが、恥ずかしい。
　意外な一面を見れたとあおいは楽しんでいたので、たまにはこういうのもいいかという気分になった。

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