ほっと寝子島　放課後倶楽部｜リアクション

ほっと寝子島　放課後倶楽部

●活動その１・さくらんぼたい焼きを食べよう

「さくらんぼたい焼き、楽しみですっ」
　皆に気を遣わせてしまった負い目もあるが、吉住志桜里は、さくらんぼたい焼きがどんなものか気になる。
「噂には聞いていますが、食べたことはないです」
　古苗木美姫も、大人っぽくてクールな印象がある志桜里が、にこやかで、鯛焼きに興味津々な一面を見て可愛らしいと思いつつたい焼きが気になる様子。
「さくらんぼたい焼き……季節限定だから、こういうタイミングで味わえるのは嬉しいな。実が丸ごと入っているのかな？」
　鴻上彰尋も気になっている。
「さくらんぼのたい焼き！？　レアだなあ。中はどんなだろ」
　形は普通のたい焼きかもしれないが、中身は普通のたい焼きと少し違うだろうと期待する八神修。
　
　話をしていたり、想像したりしているうちにお目当てのたい焼き屋さんに到着した。
「さくらんぼたい焼き、くださーい！」
　お店の人に頼むののこに続き、付き合うメンバー達も頼み始めた。
　期間限定ということもあり、一番の人気商品だと焼いているお店の人から聞いた。
　焼かれている最中のさくらんぼたい焼きは、見た目は普通のたい焼きだが、生地の色はうっすらとしたピンク色だ。
　中はあんこではなく、さくらんぼのクリーム。クリームの中には、細かくしたさくらんぼが入っている。
　あおいが早く食べたそうにしているので、そんな一面も可愛い……と修は見惚れた。

　皆、買い終わったところでさっそく一口。
「たい焼きでも珍しい色合いで、可愛らしいくもありますが味のほうはいかがでしょうか？」
　全体をじっくり見てから、美姫は頭から食べ始める。
「美味しいです……」
「さくらんぼも美味しいですね…！　たい焼きなのにとってもフルーティーで生地と喧嘩しない甘さで……旬が終わってしまうのさえ惜しいです」
　実は毎回、期間限定の商品が出る度にそんなことを思っている志桜里。旬だからこ、その美味しさというものもある。
「ふふふ、吉住さんがさくらんぼたいやきを食べてる時の幸せそうな表情、ほんと可愛らしいです」
「そして、なによりっ。美姫さん、清楚な雰囲気とたい焼きの組み合わせ、それにさくらんぼの香りがとてもお似合いです……！」
　さくらんぼたい焼きを味わいながら、清らかなお姉さんとフルーツたい焼きのマリアージュがこんなにも絵になるなんて思ってもみなかったと目をキラキラさせて志桜里は褒めちぎる。
「私なんか褒めてもなにもでませんよ？　……もひとついかがです？　私がおごりますから」
「いいんですか？」
　ええ、と微笑む美姫に甘え、それじゃ……と志桜里はさくらんぼたい焼きをもうひとつ食べることにした。
（とっても素敵な機会に感謝感激、です……！）

「さくらんぼの果肉とクリーム、たい焼きの生地が絶妙なバランスでいい感じだ」
　修は一口食べては食リポっぽい感想を言いつつ、あおいと楽しみながら、どこから食べるか派をワイワイしながら話している。
「俺は尻尾か、割ってお腹からだ。あおいは？」
「私は……」
　
　彰尋は、物珍しそうにさくらんぼたい焼きをじっと見てから頭から一口。
「意外と美味しいな。生地とクリームがいい感じに合っているのがいいな」
「本当に美味しいわね。クリームもいいけど、いちご大福みたいに、さくらんぼをあんこの中に入れてもいいと思うわ」
　さくらんぼたい焼きを一口食べた後、青山絢はお茶で口直し。

「高校生に戻ったような気分になりますね。なにはともあれ、学生時代の買い食いは特別ですからね」
　楽しそうな寝子高生達を見ていると、そんな気分になり、ちょっと嬉しくなる美姫だった。

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