ネコジマ・イン・カオス！　―ゲームの世界と溶け合いました―｜リアクション

ネコジマ・イン・カオス！　―ゲームの世界と溶け合いました―

＞街の人々を助けよう。
　変容した街に複数の人が戸惑っている。
　これらは全て異世界と融合してしまったが為である。その様子に戌貝二一と羽生碧南は顔を見合わせた。
「今回はゲームってはしゃいでいられないわ。困る一般人を放置はできないね」
「うーん、今は驚いて不思議そうにしているけど、そのうちこれが現実だと知ったらパニックを起こしかねないわよね？」
　碧南また、SOCのアバターと同じ格好になったことにきょとん、となっていた。だが、テオの言葉で我に返ったようだ。
「テオが切り分けたんじゃないの？　そこがちょっと気になっているんだけど……」
「テオ自身もわからないようね。一先ずは、避難をやっちゃいましょう！」
　碧南と二一は少し話し合うと、二手に分かれ、一般人の避難を開始した。

　二一は推しているニンジャヒーローキャラに似たニンジャ装飾と『風姫のローブ』を纏う。そして高下駄を装備する事で敏捷性を高めたスピードタイプの軽戦士だ。
「やや！　貴方様は姫様のご客人では…！？拙者が安全なところまで護衛するでござる！」
　そんな彼女は、崩れかけた建物から少女を風のように救出！　ちょっと古めかしい口調も相まって、助けた少女の緊張を解きほぐす。
　時折魔物と思わしき影が見えたとしても、触手を召喚し壁にして見えないようにすることで余計な心配をさせないようにしたようだ。
　身軽なニンジャによって町の人たちが次々安全な建物内へ案内されていく。
「今参上するでござるよ～！」
　二一は変容した街を、風のように駆けていく。その声の先に助けを求める人がいる限り。

　一方、碧南は……。
「みなさん、驚きましたか？」
　声を上げ、注目を集めていた。衣服も変わっていた人々は未だ混乱しているようだったが、同じようにファンタジーな雰囲気の衣服となった彼女を見、ちょっと落ち着く。
　人々の意識を己に引き付ける事が出来たのを確認した彼女はにこやかに言った。
「これはオンラインゲーム『ソング・オブ・ケイオス』の宣伝です！　世界的なイリュージョニストが仕掛けたサプライズとなります！」
　半信半疑の者、すぐに信じた者と半々のような気がした彼女だが、ここで押し切るしかない。碧南は笑顔をキープして言葉を続ける。
「こちら、時間が来ますととけてしまうのでご安心ください！」
　休憩所に案内します、と手を上げ下見で見つけた安全そうな建物へと人を誘導していく。
　すると、安心した人々はその建物の中へと話しながら入っていった。その様子に安堵すると、碧南は戸惑っているであろう人がいる場所を探しに行った。

　そうしているうちに、二人は合流。情報を交換し二一が避難させた場所へと碧南が説明に向かう。
「説明たのむでござるよ！」
「わかりました！　皆さん、驚いたでしょう？」
　二一が安全な場所に集めた人々に、碧南が説明を施す。二人を『ソング・オブ・ケイオス』の制作会社の関係者だと口ぶりなどで判断した人々は少しずつこの現象を『イリュージョニストによるサプライズ』だと信じ始める。そのおかげで無茶な行動をする人はいなかったようだ。
　避難した人々はそれぞれ建物の中で話しながら、変容したアイテムに驚きつつ過ごす。その様子を見ながら二人は他に迷っている人がいないかチェックするべく再び外へ向かうのだった。

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