らっかみ子供電話相談室！｜リアクション

らっかみ子供電話相談室！

「――『子供の作り方』･･････」
　
　すっと立ち上がるのは、檜扇舞華。
　舞台女優のように毅然と立ち上がると、暗いブースに、さっとスポットが当てられた。

「何故大人たちはこの回答を避けようとするのか――」

　ラジオの前の聴衆者は、そのときひとしなみに、憂悶とも哀惜ともつかぬ表情をうかべ天に手をさしだすメイドの姿を幻視したそうだ。

「純粋な子供たちの為に――私は歌う」

　真実の伝道者、檜扇舞華。
　この世のはじめから隠されている真実を、白日のもとに晒さんと、いま詩編を歌に乗せる。

「大人になっていくにつれて、子供を作る為のパワァが溜まっていきます」
「パワァですか」
「パワァです」ツッコミにもたじろがず、舞華は毅然と続ける。「素敵な恋愛を果たし、父母は――『儀式』を行います」
「儀式っすか」
「儀式」

　舞華は間を取って、
「お父さんはお母さんに、パワァを託します。
　パワァをもらったお母さんは、やがて妊婦になるでしょう･･････。
　
　――ええ、お腹の中に貴方が育つのです。

　十分に育った貴方は、やがてお母さんから出て行くのです」

　連綿と受け継がれてきた生命の、その末端。

「辛くて苦しいものです――命を落とすこともあります」
　
　ぐっと拳を握り、舞華は感情を解き放った。

「この世に生まれた事を――奇跡とよびましょう！！」

　歓喜の絶頂で、舞華は叫ぶ。

「愛ある奇跡に祝福を！　お誕生日、おめでとうございます――！」

　深く一揖。
　万雷の拍手が、彼女を包んだ。

　――それで、具体的にはどうするの？

「儀式の内容は、いずれ学校の保健体育で学びます」
　そっけなく答える舞華。
「勉強しましょうね」

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