【新入生歓迎会】情熱のイッサイガッサイ新歓祭｜リアクション

【新入生歓迎会】情熱のイッサイガッサイ新歓祭

　講堂の中ではあるが人の姿は見えない。そのような奥まった一角に穂現まうの姿があった。探し物をするように目を動かす。
「……あれを使う」
　奥の方に押し込まれていた段ボール箱を引っ張り出した。自前のハンカチで上の埃を払う。綺麗な状態を目で確かめてビニール袋を置いた。おにぎりやサンドイッチを盛った紙皿も加える。
　深呼吸のあと、口にした。
「……まうまう」
　まうのろっこん、『まうまう只今増殖中』が発動。まうにそっくりな人物を召喚した。
「今日は新歓祭。まうまうも参加」
　まうは段ボールを前にして座る。召喚されたまうまうも腰を下ろす。二人は向かい合う形で飲食を楽しむ。
　拍手が聞こえる。小さいながらも声援も届いた。
　まうは先程のパフォーマンスを思い出したのか。両手を丸めた。宙を掻くような動きを始める。
「パフォーマンスで見た猫ダンス」
　まうまうも両手を丸めた。同じような動きを見せる。二人はゆっくりと立ち上がった。
「まうは、こう。まうまうは、そう、そんな感じ……」
　まうとまうまうは猫ダンスを始める。まるで双子のように息の合った姿を見せた。
　まうはにっこりと笑う。
「まうとまうまうの二人だけの新歓祭」
　目配せで最後を伝え、二人は可愛らしい猫ポーズを決めた。
「こういうのも、良い、よね……」
　その時、大きな拍手が奥まった、ここまで届いた。まうとまうまうのパフォーマンスに沸いているようだった。
「……まうまうも、みんなと、参加できたよ」
　まうは優しい笑みを浮かべた。