ハッピーバースデー！　４月☆｜リアクション

ハッピーバースデー！　４月☆

☆２８日、２９日　大好きなきみにおめでとう

　２８日、曖浜瑠樹は、学校帰りにシーサイドタウンをお散歩していた。
「会えるかなぁ？」
　きょろきょろ誰かを探している様子だ。
　ほどなく、瑠樹は遠目にも目立つ銀色のとがったフォルムを発見した。
「あ、サンマさんだぁ！　今日もかっこよくて和む……ってろっこん使っちゃだめだオレー！」
　瑠樹はゆるキャラや着ぐるみ、縫いぐるみが大好きなのだが、周囲の人の顔がなんだか緩くなっているのに気づき、慌てて気を引き締める。
　ろっこん『ゆるゆる和みと恩恵の輪』は、周囲の精神を著しく和ませる（脱力させる）のだ。
「あ？　なんだ、呼んだか？」
　寝子島の観光大使のゆるキャラ、寝子サンマさんが瑠樹に気づいて近づいてきた。
「サンマさん、お誕生日おめでとうなぁー！」
　瑠樹は元気に、用意していたプレゼントと、クッキーも一緒に手渡した。
「オレ様に？　いやー、人気者はつらいぜ」
　表情はいつも通りだが、まんざらでもなさそうなサンマさん。
「プレゼントはねぇ、サンマさんに似合いそうなスカーフだよぉ」
「おおそうか、ありがとな！」　
「首に巻いても腕に巻いても使えるから、気が向いたら身に着けてみてくれると嬉しいねぇ！」
「よし、さっそく巻いてみるぜ！」
　スカーフを首に巻こうとしたサンマさんだが、首と思しきエラ部分は太くなっており、ちょっと巻きにくかった。
「よし、腕に巻くぜ」
「うわぁ、似合うよぉサンマさん！」
　瑠樹は嬉しくなって飛び跳ねた。

　家に帰った瑠樹には、次の準備があった。
　気になるクラスメイト、桃井かんなへのプレゼントだ。
「桃井さんの誕生日ー！　が近いから、プレゼントを箱に入れて、ラッピングして……」
　実はサンマさんと桃井さんへのプレゼント分だけで、お小遣い１か月分以上を奮発しているけど内緒だ！

　そして当日。寝子小へ向かった。
　学校ではついわくわくしてしまう。
（どのタイミングで渡すのが良いかなぁ。休み時間か、放課後か……）
　様子を見ているうちに休み時間は過ぎ、結局放課後になってしまった。
　教室を出たかんなにそっと声をかける。
「桃井さん、ちょっと待って」
「何？」
　手提げからプレゼントを取り出し、瑠樹は言った。
「桃井さん、お誕生日おめでとうなぁー！」
「えっ……ありがとう」
　驚いた顔をしたかんなに、説明する。
「プレゼントは、小さな猫のブローチと、可愛いシュシュだよぉ。猫ピンだとホワイトデーの時と被っちゃうし、シュシュだけだと寂しいかなぁって……どうかなぁ？」
　それにクッキーも一緒だ。
「かわいいじゃん！　ありがとう」
　かんなの笑顔を見られて、瑠樹は嬉しくなって聞いてみた。
「よかったらこれから校庭で遊ばない？」
「……いいよ」
　一緒に校庭に向かいながら、瑠樹は思う。
（桃井さんも、サンマさんも、楽しい１年を過ごせますようにー！）

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