ハッピーバースデー！　４月☆｜リアクション

ハッピーバースデー！　４月☆

☆２０日　ガールズバー『ジュエル』にて

　真境名アリサは寝子島の旧市街に住んでいるが、勤め先は島外の水着ガールズバー『ジュエル』だ。
　そこで彼女は副店長を務める。
　基本的にガールズバーはカウンターの中で仕事をするので、キャバクラとは違い席について接客はしない。
　気さくで無駄に陽気なアリサも、カウンターの中でカクテルや水割りを作ったりしている。
　普通のバーと違うのは、バーテン服でなく水着姿なことだ。
　それも紐と布で構成された際どいデザインのものだ。
　うっかりすると見えそうだが、意外と高性能でズレないのがポイントである。

　フロア中央にはポールダンスができるスペースがある。
　ダンスが得意なアリサは、リクエストされて披露することもあれば、気が向いた時に自分からステージに立つこともある。
　今夜は気の向いた夜だった。
　激しいダンスビートに乗って、アクロバティックで妖艶なダンスを披露するアリサ。
　豊かな胸が揺れ、磨き抜かれたプロポーションに客の目は釘付けだ。
　その肢体は汗でしっとり濡れてライトに照り映える。
　曲も客もヒートアップし、それに煽られる形で身体の動きもますます煽情的になっていく。
　そこに恥じらいや浮世の悩み事はない。一種トランス状態にも見える。
　ついにフィニッシュ。
　事切れたように身体をのけ反らせ、万雷の拍手を受ける。

　とても心地いい疲れで、アリサはドリンクを手にしばしその余韻に浸っていた。
　その時、思いがけない歌が聞こえてきた。
「ハッピーバースデー、トゥーユー♪」
　店長が、仲間たちが、そしてお客さんたちも歌う。
　その視線はアリサに集中していた。踊っていたさっきまでならともかく……
「……えっ？」
　きょとんとしていたアリサが、ややあって歌が向けられたのは自分であることに気付いた。
「あたしの誕生日だったんだ……ありがとう、みんな！」
　感謝を告げたアリサの中には、再び興奮の火が灯っていた。
　高まった気持ちは消えそうにない。
「嬉しいから、もう一回踊るわ！」
　口笛と拍手が巻き起こり、新たな音楽が流れる。
　一つ大人になったアリサは、また妖艶に踊り狂うのだった。