《灰色猫テオの事件簿》誰がおにぎりを殺したか｜リアクション

《灰色猫テオの事件簿》誰がおにぎりを殺したか

●解決編・その１

「うーん、僕にはイマイチわかってないんだけど……野々さんはわかった？」
「ううん、全然」
　佐藤英二が首をかしげると、ののこも同じ角度で首を傾げる。
　ひとりファンタジーなルイセ・ミュレーズが吼える。
「ここまで痕跡を残していないなんて……まさか、痕跡を残すまでもなく、オウガキラーを倒せる実力だと言うの！？」
「いや、あの……」
「そんなことができるなんて……きっと、犯人は大魔王なんですよ！！！」
　ルイセはキリリと眦を釣り上げて、探偵一同にびしっと人差し指を突き付ける。
「いいことを教えてあげましょう……大魔王からは逃げられない！　……あいたっ！　傘で叩かないで！」
　日傘で頭をぽかりんとしたのは桜月だ。胸のたわわさは負けてませんよ云々と捲し立てるルイセを無視して、月は話を先に進める。

「大魔王はともかく――皆は分かったんだろう、犯人が」
　それに頷き、静かに口火を切ったのは、恵御納夏夜であった。

「犯人は……君だよ、ウォルター先生」

「僕？」
　ウォルターは片眉を吊り上げ問い返す。
「僕は事件があった時刻は、北校舎にいたんだよぉ？」
「それはもう解決している」
　ウォルターに対峙したのはサキリ・デイジーカッターであった。

「殺害方法は北校舎からの投擲だからね」
「投擲？　たしかに僕は白い魔弾の異名で呼ばれることがあるけれどねぇ、チョークでも投げたって？　でも見たよねぇ、僕のチョークケースの中身は１本も減ってなかったでしょ～」
　それについては夏夜が反論する。
「先生のチョークが減っていなかったのは、犯行に使ったのがチョークではないからだ」
　そう。と水守流も顎を手で擦る。