(し、死んでる……だと!?)
俺、
テオドロス・バルツァは驚愕した。
何があったか説明しよう。
ある日の昼のことだった。
俺と、
ののこ(
野々 ののこ)と、
サンマさん(
寝子 サンマ)は、寝子高の中庭にある噴水の傍でののことサンマさんが七輪を囲んでいて、俺は焼けたサンマをかっさらおうと狙っていたところだった。すでに二度、チャンスを逃しているのだ。最初に焼いた一尾は、ののこがおにぎりの具にしちまった。次に焼いた一尾は俺が近づく前にサンマさんがぺろっと食べちまって、今追加の一尾を焼いている。
「あれ~? サンマ、もう一尾なかったっけ?」
「そういや全部で四尾買って来たはずだったが」
なんだよ。俺に一尾も寄越さないうちに、サンマが一尾足りないってか?
ののことサンマさんがきょろきょろしていたそのとき、視界の端でなにかが光ったような気がした。
そして次の瞬間、おにぎりが――ののこが握って、噴水の向こう側の縁に置いてあったでっかい
おにぎりが、水の中にぷかりと浮かんでいたのだ!
「ふぎゃあッ!」
俺がビックリして鋭く鳴くと、ののこがまず振り返った。
「どうしたのテオ……って、ああああっ! おにぎりーーー!!」
「ダメだ、死んでる……あれじゃあ食べられねェ」
サンマさんが力なく首(頭?)を横に振る。
そうするうち、ののこの叫び声を聞いて、先生たちも集まって来た。
一人目は近くのベンチで本を読んでいた
五十嵐(
五十嵐 尚輝)先生。
二人目は渡り廊下から、華麗な宙返りで飛び出してきた
フジコ(
富士山 権蔵)先生。
三人目は北校舎の出入り口から走って来た
ウォルター(
ウォルター・B)先生。
「大丈夫ッ? 何があったの?」
ハリケーンの如き勢いで迫ってくるフジコ。
サンマさんが無言でおにぎりを指さすと、それで皆、大方の事情は察したらしい。
「これは……ひどい」
ウォルターが悲痛そうに眉根を寄せる。
「……おや? 何故サンマも一緒に浮いているのでしょう?」
五十嵐が指さした先、噴水の中には、焼く前の生のサンマが一尾、ぷかーと横たわるように浮いていた。
俺は五十嵐の頭を見た。
なぜそうしたのかというと、無自覚らしいがこいつにはろっこんがあって、怪現象を察知したとき小鳥が出てきて囀るのだ。五十嵐の頭は普段通りのぼさぼさ頭で、小鳥の気配はまるでない。ろっこんだったら俺が気づきそうなもの。
怪現象やろっこんによる遠隔殺おにぎりではない、ということか。
しかも、先生たちはそれぞれ次のように証言した。
「ベンチに座って本を読んでいましたが、私の前を通った人はいないと思います。僕の位置からは南校舎が一望できましたが廊下や窓に人影はありませんでした」
「バレエステップの練習をしながら窓の外を見ていたけれど、渡り廊下にも誰もいなかったわ。噴水の周りには、ののこちゃんとサンマさん、テオくんしかいなかったわよねぇ」
「僕も窓から噴水は見えたけど、君たち以外には誰も見かけなかったなぁ。声をきいてすぐ北校舎側の出入り口を通って来たけど、誰にも会わなかったよぉ」
「南校舎から中庭に直接出る出入り口はねェ。噴水の周りは俺らがいたから、中庭から校門の方へ出る道から誰か来たら絶対にわかるはずだが誰も来てねェ。おにぎりが噴水に自殺するとは思えねぇし……」
サンマさんが腕組みして唸る。
そのときだ。ののこが思いがけないことを言い出したのは。
「犯人はテオに違いないよ! 猫なら忍び足でおにぎりに近づけたはずだよ! 私たちの目を盗んでおにぎりを食べようとして落しちゃったんだよ!」
「フギャッ!?(何ッ!?)」
それは断じて違う!!
俺はおにぎりに近づいてはいない!
それに俺が狙っていたのは焼きサンマだ!
「悪い猫ちゃんは、おしおきだよ!」
ののこは俺を睨んでいる。
このままでは俺が犯人(犯猫?)にされてしまう。
だが、それは絶対に濡れ衣なのだ。
「にゃごにゃご!(違うと言っているだろう!)」
否定するが悲しいかな、俺はののこの前では(にゃごにゃご)としか喋れない。
もれいびとならテレパシーで話すことが出来るのだが現状では自力で濡れ衣を晴らすことができない。
状況から察するにこの中の誰かが犯人に違いないが……
いったい誰が、どうやって、何のために!?
仕方なく俺は、力になってくれそうなやつらの心に直接話しかけた。
(誰がおにぎりを殺したか? そして一緒に浮いていたサンマは一体? ――誰かこの謎を解いてくれ!)
こんにちは! ゲームマスターを務めさせていただきます笈地行(おいち あん)です。
このシナリオは、おそらく史上初の『殺おにぎりミステリー』です。
何を言っているか分からないと思いますが、私もわかりません!
ともかく、みなさんは「テオの声を心で聞いて」or「偶然通りかかって」事件を解く探偵役です。
※このシナリオの中ではPCもNPCも「おにぎりくん」ではなく、ふつうの人です。
※このシナリオはIFのため高校生以外の島民やほしびとさんも
校内に入って事件に関われます。そのあたりはコメディなのでゆる~くお考えいただけましたら!
シナリオの流れ
このリアクションは「調査編」「解決編」に分かれて公開されます。
このガイドではまだ情報が足りません。
調査をし、真犯人を導き出し、テオをおしおきから救ってください。
1.まずは「調査編」のアクションを送ってください。
1PCにつき、気になる事を調べたり誰かに話を聞いたりなど
3つまで 行動することができます。(0~2個でもOK)
<調査例>
・おにぎりの○○を調べる
・サンマの○○を調べる
・事件の前にどんな行動をしていたか聞く
・思い出のおにぎりは?と質問する 等
調査できる範囲は基本は学校内。関連あれば多少は外でもOK。
ののこを誤魔化せるのであれば、ろっこんの使用はOKです。
ぜんぜん調査せずに好きなことをしたり登場NPCと絡むだけでも構いません。
<アクション記入例>
1.○○に話を聞く(話を聞く相手、何を知りたいか)
2.○○を調べる。(調べる方法、何を知りたいか)
3.急に三回転宙返りをしたくなってする(調査と関係ないこともOK)
※ほかのPCさんと調査内容をばらけさせたい場合は、
このシナリオのコメントページで知らせ合うのもひとつの手です。
2.アクション投稿期限後、1~2週間程度で「調査編」が公開されます。
「調査編」公開後、3日間の間に
犯人だと思う人や推理をキャラメでテオ宛に投稿することができます。
キャラメの内容は「解決編」のリアクションに反映されます。
(キャラメはしなくても構いません。その場合もアクションとプロフィールを元に登場します)
3.キャラメ締め切り後、1週間程度で「解決編」が公開されます。
登場人(?)物
テオ……………俺。灰色猫。すごいらっかみのはずだが、
殺おにぎり事件を前に、ふつうの猫並みに無力。
事件発生時、噴水の近くにいた。
ののこ…………らっかみだが、ほぼ人間と同じ。
事件発生時、サンマさんといっしょに七輪でサンマを焼いていた。
サンマさん……サンマの体に手足が生えた寝子島観光大使。
サンマを普及しようとしている。
事件発生時、ののこといっしょに七輪でサンマを焼いていた。
五十嵐…………ちょっとぼんやり気味な化学教師。
事件発生時、噴水が見えるベンチで本を読んでいた。
ウォルター……チョークを投げる腕はピカイチ。白い魔弾で知られる英語教師。
事件発生時、北校舎にいた。
フジコ…………フジコ以外の名前はありません! ドSでおねえな演劇教師。
事件発生時、渡り廊下にいた。
おにぎり………ただのおにぎりです。(人格とか感情が芽生えたりはしていません)
なお、このシナリオはフィクションです。
実在の寝子島高校やNPCと直接の関係はありません。
このシナリオの中だけのスペシャル殺おにぎり事件をお楽しみください。
それでは、皆さんのご参加をお待ちしております!