魔界からの試練　――深海よりの導き手マモルソラ――｜リアクション

魔界からの試練　――深海よりの導き手マモルソラ――

　夢乃の言葉に「うっっっし！！」と胸の前で両拳を付き合わせるポーズをとって登場した戌貝二一が勇ましい笑みを浮かべる。事実行動速度は重戦士メンバーの中で一番遅いが、反対に一番頑丈である。
「これだけいるなら、連携とってヘイトを持ち回りで受けられないかな？」
「それはいいアイデアだと思います」
　彼女の提案にReiがぽん、と手を打って頷けば他の面々も賛成らしい。５人はこの戦いを生き抜こう、と顔を見合わせて頷いた。

「もしかして、治癒士は僕一人……？」
　恵御納夏朝が少し困惑していると、片割れである恵御納夏夜がぽん、と肩を叩いた。
「大丈夫。フォローするから。それに、各々対策を取っているかもしれない」
　夏夜の言葉どおりなのか、夢乃がいくつかのアイテムを購入するのを見ながら頷く。
　この２人もそれぞれアイテムを準備していたりする。……が、それよりも気になるのは装備である。夏夜は『星と月のクロース』という盗賊を意識した防具、夏朝は『橙猫のローブ』という優しい雰囲気のローブだ。
「海中ステージはトリッキーな動きができて面白いんだよね～♪　楽しみ～♪」
　こんなことを言うのは白真白。彼女はなんと！！　大胆な水着……に見える『白鯨の水着』を装備しての参戦だ。これは、下半身を魚の尾びれのようにする効果もある。

↑こんな姿をイメージして下さい（下半身は魚の尾びれっぽいが）。↑

「治癒士は一人だけど、当たらなければどうということはないのだっ」（どやっ）
　と堂々としているがどうも一か所に目が行く気がする一部面々。
　その綺麗な尾びれをひらひらさせる真白の前に現れたのは元気いっぱいな少女。ふわふわとした金の髪を揺らすトワ・E・ライトフェロゥだ。
「Waterworld！？　トワは泳げないのでウキワをショモウするのデス！！」
「いや、さすがにゲームの世界だからどうにかなりそうだぞ」
　慌てるトワにツッコミを入れるのは夜海霧楓。彼はトワと共に再びここを訪れたことに少しだけ頭痛がする気がした。
　それでも、やらねばならない事がある。
「今回のパーティ編成、兎に角サポートが少ない。治癒士は戦士側にかかりっきりになるだろうし可能なら自己でバフと回復はつけれるようにしねぇと……」
　なにかいわんとした楓の目に入った、うさぎの姿。旅鴉月詠こと『着ぐるみさん』である。

/) /)
( 'ㅅ')━☆゜.*＜なんとかかんとかぱとろなーむ！

（深く考えるのは良そう）
　少し視線をずらす楓。
　ちなみに、そのうさぎの着ぐるみにはタコがついている。過去のレイドで入手したものだ。おまけに武器もたこ足っぽい鞭『混沌姫フレイル』だったりする。

/) /)
( 'ㅅ')＜ま・さ・に・タコ！

（なんでか、見た目タコなんだよな……。ツッコミ待ちなのか……？）
　楓が内心考察しつつ明後日の方向を見ると……ほんわりした雰囲気の少年が辺りを見渡していた。
「うーん、此処は何処やろ？」
　多分この中では最年少、八代拓哉はこてっ、と首を傾げた。
　目深にかぶった帽子にはゴーグル、首から口元まで隠す緑のロングマフラーといういで立ちの小さな魔導士はもう一度こてり、と首を傾げる。
「……参加者……だよな？」
　楓が問えば、拓哉はあたりの様子や周りの人々の服装から気付いたのか、ぽん、と手を叩いた。
「もしかしてこれはゲームってやつやろか？　そやったら思いっきり楽しまな損やねぇ～」
「お、おう……。順応早くて助かる」
　拓哉はいつの間にか持っていた武器を手にニコニコとしたオーラを放ち（と、周りは感じた）、楓はちょっとだけほっ、とするのだった。

このページにイラストを設定する