魔界からの試練　――深海よりの導き手マモルソラ――｜リアクション

魔界からの試練　――深海よりの導き手マモルソラ――

起： La battaglia è sotto il mare

　――とある海の中……。

（リアルではアイドル研の裏方の私ですけど、ゲームの中では楽器を奏でたり歌ったりしてみたいです。魔導士もいいですし、人魚にもなってみたいですわ。そうそう、属性の「金」はなじみがないですけど、どんな感じなんでしょう？）
　ゲーム初心者と思われる花咲夢乃がうっとりわくわく。期待に胸を膨らませていたようだが、ログインした途端……きょとん、となる。というのも重戦士になっていたからだ。
（……え？）
　驚いたものの、彼女はすぐさま気を取り直す。大きな剣を手に、胸あたりと手足を覆う部分鎧を確かめると「なるほど、これがゲームの面白さかもしれませんね」と呟き、気合を入れた。
「今回はよろしくお願いします！　皆さまを守ることができるよう頑張りますね！」
「ええ、よろしく！」
　同じく重戦士の羽生碧南がにこっ、と挨拶。
（水中で重戦士……ハッキリ言って、これほど相性の悪いジョブもない……）
　内心で悩むも、そこは顔にも出さない。そもそも彼女は敏捷性を活かしたジョブ（例えば軽戦士や拳闘士など）に適性がある、と思っているようだ。
（だけど、嘆いていても仕方ないわ。その分装備とスキルで！）
　碧南は気を取り直し、装備を整える。今回は防御を最低限にし、敏捷性を高める作戦で行くようだ。真珠の髪飾りを髪の付け、大剣を手に現れたるはビキニアーマーっぽい井出達の女戦士だ。
「これなら動きやすそうね」
　碧南が手に握った大剣の感触を確かめていると頭を抱えているRei（滝原レオン）の姿が目に入った。

　――うえぇぇぇぇ！？　よりによって重戦士かよぉぉぉ！

　うっかり中身のレオンが出そうになったReiだが、ここはぐっ、と堪える。
（うぐぐ、なったもんは仕方ない……！）
　敏捷性は低くなるが防御は（対バッドステータスという面からみても）高めな『ウンディーネの鎧』を纏い、手には攻撃力高めの『戦女神の戦斧』を握る。
「あら、貴女も？　素敵な防具ね」
「あああありがと……、ががが、頑張りますっ！」
　Reiは緊張気味に答える。
　ちなみに二人ともぱっ、と見た感じでは水着姿に見える。もっと詳しく言えば碧南は先ほども言った通りビキニアーマー姿と言ってもいいかもしれない。

↑こんな姿をイメージして下さい。↑

「そっちの３人も重戦士かの？」
　とReiたちに声をかけたのは、穏やかな雰囲気で歩み寄る黒兎都。彼女もまた重戦士なのだそうだ。ちなみに防具は胸鎧と手足部分だけの動き重視としている。ぱっ、と見た感じではボーイッシュにみえなくもない。
（さてー、今回はマモルソラくん、ショタよショタ。……や、冗談を言ってる余裕があるような相手ではないのよね）
　２人に声をかけつつ気にする今回のレイドボスは、なかなか強いとも聞く。油断できないな、と内心で気を引き締めつつスキル調整は忘れない。
「やはり軽装になりますね」
「ん。舞台が舞台だからねぇ。しかみ敵も素早いかも？」
　Reiが都の装備に対し感想をもらせば、都もまたちらり、とマモルソラをみて考察を巡らせる。……が、ここで真逆ともいえる猛牛を模した鎧を纏った重戦士が登場する。
「かなり防御に振り切りましたね……」
「今回初ジョブだけど頑張っていくわ！　たしかに海中で利かもしれないけど、その分ガードには回れると思うのっ」

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