今日はニャンの日？　猫の日フィーバー！｜リアクション

今日はニャンの日？　猫の日フィーバー！

【神社にて（２）】

「珪先生、お酌しますね」
　ぱちぱちと焚き火の爆ぜる音を聞きながら、綾花さんは珪先生のおちょこにお酒を注いであげました。
「ありがとう。綾辻さんはオレンジジュースでいいかな？」
「はい、ありがとうございます」
　お返しに珪先生が紙コップに注いでくれたジュースを飲みながら、綾花さんは宝さんとシオさんの着物談義に耳を傾けます。
「ですから、やっぱりお三夜様には藤、菖蒲の柄が似合うと思うのですよ。ちょっと今は季節外れですけど」
「なるほどねぇ。あたしゃ、黒地に、桜、牡丹、椿なんてのも捨てがたいと思うが」
「春、秋、冬とそれぞれでちょうど良いじゃないですか」
　熱く語るシオさんの瞳には、実際に着物を身に着けたお三夜様の姿が写り込んでいるようで、綾花さんはそれを見て
（楽しそうでいいなぁ）
　なんて思います。
「そういえば、珪先生はお三夜さまとお供の狛猫一之助さんと二右衛門さんとは『初めまして』でしたっけ」
　そこで、綾花さんは先生に三匹を紹介することにしました。
　一緒に煮干しをあげて、フサフサの毛並みを撫でてあげると、三匹は気持ちよさそうに目を細めます。
「でも、お三夜様、ちょっと飲みすぎじゃないですか」
「ははは。いかんいかん。ちょっと飲ませすぎましたかな？」
　心配顔の綾花さんに、宝さんは楽しそうに笑いながらクイッと吟醸を飲み干します。
「ほら。酔い覚ましのツナフレークですよ。猫だけじゃなくて、人間様もどうぞどうぞ。人間にも猫にも、おいしいものを作ってくれる人たちがいるんだから感謝感謝だねぇ」
　ほろ酔い顔で、上機嫌に語る宝さんのすぐそばでは、こちらもだいぶ酔ったシオさんが狛猫の衣装についても熱く語り始めます。
「これは狛さんたちもばっちり決めなきゃです！　猫姿の時はスカーフで、衣装の負担は極力小さくして……」
　そんなシオさんの様子を横目に、神社に集まった猫達が持ち寄られた煮干しやツナをガツガツと美味しそうに食べています。
「なんだかとっても楽しいですね」
「うん。猫の日らしい良い一日だったね」
　綾花さんの言葉に、少し酔った珪先生も上機嫌でうなずきます。
　こうして、神社の楽しげな宴はたけなわを迎えていくのです。

このページにイラストを設定する