【新年度】スプリングキャンパス！　わくわく大学生♪｜リアクション

【新年度】スプリングキャンパス！　わくわく大学生♪

　教育学部２年の河島澪は、サークル勧誘側として新入生を物色していたが、目的は他の学生とは違っていた。
　世界征服に使える仲間を探していたのである。
　過激な組織に属しているわけでもなく、服は黒ずくめだが顔を隠しているわけでもない澪だが、中性的な妖しい美しさを持ち合わせているのが普通の学生とは違っていた。
（どいつも今どきの若者って感じで、これというのがいないな）　　
　さっきから何人かに声をかけて、さすがにいきなり世界征服の話ではなく映画研究部の話をしながら相手の性格や特技を探っていた。
（ん、あれは……）
　澪は、金髪のパーマ、見かけはまあまあだがなんとなくいけてない、人の流れに向けスマホを構えている青年に気づく。
　その後ろには帰ろうか迷っている様子の美女（水樹）がいる。
「何を撮ってるんだい？　失礼、もしかして映画作りに興味があるのかと思ってね」
　澪は、青年に声をかけた。
「面白そうなものを探してます。僕はミューチューバーの笹川帆太、撮らせてもらっていいですか？」
　そう言いながら帆太はスマホを澪に向けた。
「パンダ？　面白い芸名だな」
「って思うでしょ？　これが本名なんですよ。両親が大のパンダ好きで」
　ドヤ顔で語る帆太。
「ミューチューバーか……短い動画を撮って名が売れるなら悪くないが、見かけより大変なんだろ？　資金とかはバイトで稼いでるのか？」
　少し興味を持った様子で澪が聞く。
「わかってくれますか！　あちこちでちょっとした仕事を手伝わせてもらって日銭を稼いでる感じです。がっつりバイトしちゃうと撮影時間がなくなっちゃうんですよね」　
「まあ、知り合いを増やすにはいい手段かもしれないな。私は映画研究部の河島だ。君もミューチューバーなのかな？」
　澪は水樹にずいっと顔を近づける。
「いえ、私は撮影に付き合ってるだけで……」
　ちょっとたじろぐ水樹に自信満々で迫る澪を、帆太は目を輝かせて撮影する。
「美形同士の絡みいいね！　チャンネル登録数が増えそう」
「映画研究部に興味があったらぜひ声をかけて欲しい。美しい君とならいい映画が撮れそうだ」
　映画研究部のチラシに連絡先を書いて水樹に差し出す澪。
　それを脇から手を伸ばした帆太がゲットした。
「サンキュー、何かあったら連絡させてもらいます」
「待っているよ」
　澪は妖しい微笑みを向けるのだった。

「文化系は色々とあるわね、興味はいっぱいあるけどどれもこれも一つの事に集中するタイプなのね……いっぱいかけ持ちは難しいかしら」
　楽しそうなサークルはついつい覗きに行ってしまう恩は、まだサークルを決めかねていた。
　人だかりを逃れ一息つくと、樹の下に静かな空間を見つけた。
　先輩らしき学生はいるが客引きをする様子もなく、のんびりとくつろいでいるようだ。
「あら、不思議なサークルがあったわ。ここは？」
　手書きのポップには『散策サークル』とある。
「ええと、散策？」
　首を傾げる恩に、先輩が説明してくれた。
「なるほど、寝子島の色んな所に散策に行ったり街歩きをするサークルなのね。これなら寝子島の事を色々見たり、色々と体験できそうかしら」
　強引でないのんびりした雰囲気も気に入って、恩は言った。
「いいわねぇ、ねこじま散歩。ここにしようかしら。競歩や登山じゃなく散策だものね」
　そしてサークルの入会届の用紙を受け取ったのである。

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あとがき

担当マスター：天村花海
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ご参加ありがとうございました。
新入生の方はご入学おめでとうございます。
大学生活のスタート、無事に切れましたでしょうか。
先輩の皆さま方も、これまで大学を舞台にしたシナリオがあまりなかったので動きにくかったかもしれませんが、どんどん自己主張して青春を楽しんでいただけたらと思います。

それでは、またご縁がありましたらご参加お待ちしております。

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