【新年度】スプリングキャンパス！　わくわく大学生♪｜リアクション

【新年度】スプリングキャンパス！　わくわく大学生♪

☆新たな出会い

　早坂恩は、木天蓼大学経済学部に入学した。
　将来の夢は公務員だ。
（身体が弱くて高校は1年留年したけど、かつて同級生だった顔見知りが大学2年生にいるのが心強いわね）
　今日は初めての講義を聞きに行った。
　すると、見覚えのある顔が並んでいた。1年上の友達や同学年だった先輩たちだ。
「ひさしぶりー！　覚えてる？　早坂恩よ」
　新入生たちが緊張している中、恩は明るく先輩たちに挨拶したりお話したり。
　男性の格好なのにおねぇ口調できゃぴきゃぴと話す恩に、新入生たちは戸惑った表情をしているが、いつものことなので気にしない。
　男性女性関係なく、楽しく仲良くなる恩であった。
　その中に、ライトブラウンのパーマで眼鏡の青年の姿もあった。
「はじめまして、私は早坂恩っていうの。よろしくね♪」
　気軽に話しかける恩に、帆太も笑顔で答える。
「俺は笹川帆太、ミューチューバー！　よろしく♪」
「パンタくん？」
　目を丸くした恩に、得意げに答える帆太。
「そう、両親がパンダ好きでこの名前をつけたんだ！　ミューチューブもこの名前でやってるから動画見てよ」
　その時先生が入ってきて、講義が始まりと共に会話は終わる。

　講義が終わると、帆太は風のように去っていった。
「さて講義が無事に終わったし、サークル勧誘を色々見て回りましょ♪」
　恩も外へ向かった。

　木天蓼大学社会学部４年生の城山水樹は、雑誌の専属モデルとして東京と寝子島を往復の日々を送っている。
　春休みも結局、モデルとしての仕事が入っていたのであまり休めた感じがしなかった。
　それでも、４年生になって最初の授業を受けに大学へ来た。
（と言っても、４年生になるとさすがにほとんど授業がないのよね。週に１度のゼミと、他に２つほどの講義）
　理由はもちろん就活だ。
　平日も面接などがあるので授業をとることができないため、どの学部でも大体３年生で卒業に必要な単位は取り終えている。
　なので大学へ来ても同級生はあまり見かけなかったりする。
　モデル兼業の水樹も、要領がよかったので何とか３年で単位は取り終えていた。
（学生生活と両立しつつのモデル業、決して楽じゃないけど。どうせなら最後までやり通したいじゃない）

　そんなことを思いながらキャンパスを歩くと、新入生相手のサークル勧誘でごった返していた。
（入学式から間もないだけあって、本当に賑やかね。私も大学入ったときにはいろんなサークルの勧誘にあったりして断るのが大変だったな）
　新入生の頃を思い出し懐かしんでいると、視線を感じ、水樹はそちらを向いた。
　モデルとして視線を集めることの多い水樹は、視線の主が男か女かは大体わかる。
（男ね）
　予想通り、スマホでこちらを撮影している新入生男子を見つけた。
　一瞬でチェックする。足は長く、顔も悪くない。
（見た目はモデルっぽいのに、なんか残念な感じ）
「こらこら、美人のお姉さんはタダでは撮らせないよ？」
　そんな軽口を叩くと、新入生は笑った。
「失礼しました。事務所を通さなきゃならないんですね」
「あら、私を知ってるの？」
「えっ、もしかしてほんとに芸能人の方ですか？　ラッキー！」
　冗談で言っていたらしい。
「芸能人ってわけじゃないけど、雑誌とかのモデルとして事務所には所属してるから」　
「すげえ、本物のモデルだー！　やっぱりなー、こんな綺麗な人が素人のわけないですよね！　僕は経済学部１年、笹川帆太です」
「私は社会学部４年の城山水樹」
「あの、よかったら付き合っていただけませんか？　ああ、撮影にですよ。ギャラはお茶代くらいしか出せないんですみませんが、ここで出会ったのも何かのご縁ですし」
「……そうね、ちょっとなら」
　大はしゃぎする帆太に苦笑しつつ、水樹は撮影に付き合うことにした。

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