【新年度】スプリングキャンパス！　わくわく大学生♪｜リアクション

【新年度】スプリングキャンパス！　わくわく大学生♪

☆京都の地にて

　寝子島から遠く離れた京都の地。
　北里雅樹は、京都大学入学後やたら忙しい日々を送っていた。
　新入生向けのオリエンテーション、全学部共通・学部ごとのガイダンスやら学力テスト、健康診断、履修登録などで予定が埋まった。
　それが済んだら今度は新入生歓迎会と、これまた忙しい。
（お陰でバイト探す時間もない……サークル勧誘、どうするかな）
　高校時代は、木天蓼大学教授の父親との不仲が高じて猫鳴館暮らしを余儀なくされた──それでバイト三昧だったから部活をやっていなかった。
「何か面白そうなものがあればやってみるのも悪くないかもしれない。それに──」
　うまくいけばサークルで彼女とかできるかもしれない、と雅樹は思う。
「でもあんまりサークルやバイトにのめり込みすぎてもな」
　大学での理学部の専攻は数理解析を選んだ。
　将来的にはデータサイエンティストを目指しているので、しっかり研究に取り組みたいと考えている。

　そんなことを考えつつ、いくつかのサークル見学、というか新歓イベントに顔を出してみた。
「体育会とは別に、体育系サークルがあるのか」
　サークル一覧を見れば、テニスサークルが４つもある。
（これは新入生の取り合いになるのも無理ないな）
　どうせなら可愛い子がいるサークルがいいかな、などと思い、集まっている新入生女子を眺めていると。
　どこか既視感のあるショートヘアの女子を見つけて、ハッとした。
（椎井……？　じゃ、ないよな）
　雰囲気が元カノ──椎井莉鳥に似ていた。
（顔は違うけど、なんとなく……髪型も、背もこのくらいだったかな）
　ついじろじろ見てしまった。
　気づいた彼女に、「何？」みたいな顔をされる。
「失礼」
　と言ってその場を離れようとしたが……
「ちょっと待って」
　腕を捕まれてしまった。
「私のこと見てたでしょ？　何か用でもあるの？　ナンパできそうな相手を探してた？」
「いや、その……」
（イントネーションが関西だな。こっちの出身なのか）
　説明するしかない雰囲気になり、雅樹は覚悟を決めて話をすることにした。
「知り合いに似てたんでつい気になって見てしまった。ごめん」
「知り合い？」
「……幼馴染の腐れ縁。もしかして君も陸上部だったりする？」
　元カノとも言いづらく、陸上部の件は適当に聞いてみたのだが。
　一瞬ハッとした顔になった後、彼女は答えた。
「今は……陸部やないわ」
　そっぽを向いたその横顔が、やけに気になった。

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