【新年度】スプリングキャンパス！　わくわく大学生♪｜リアクション

【新年度】スプリングキャンパス！　わくわく大学生♪

　スーツ姿の深縹露草は、身が引き締まる思いで入学式に出席した。
「ついに私も木天蓼大学生……心躍りますね、ふふ」
　周囲を見回せば同じく新１年生となった学生たちの姿がある。
（この方々とともに過ごすキャンパスライフが楽しみです、ふふ。私も馴染めるよう頑張らねば……！）
　露草は他の１年生より３歳ほど年上である。
　受験するかどうかギリギリまで悩み、ようやく下した決断。
　大学学費を貯める為バイトや勉強に勤しんでいたが、足りない分を両親から援助してもらった露草は、人並み以上に向学心に燃えていたのだ。

　入学式が終えて外へ出た露草を待ち受けていたのは、幟や看板を掲げた在校生たちの人波だった。
「こ、これがサークル勧誘の洗礼と言うものデースか……！」
　サークルについては考えていることがあった。
（美術系かイラスト系を希望したいですが……じっくり選びたいデース）
　４年間関わるのであれば、よく考えて決めたい、と露草は思う。
　両親がアメリカ人で、身長189cmの露草にはさすがに絡むものもいないが。
「離してください……」
　しかし周囲を見ると、気の弱そうな眼鏡の青年が強引な勧誘に捕まっていた。
（絡まれている方がいますね。相手の許可なく、腕や体を掴むなど論外！）
　露草は青年に絡んでいる先輩学生に近寄る。
「失礼。強引な勧誘は新入生の方や大学・学生各位の迷惑になりますよ？」
「何、あんたも新入生？　一緒にテニスサークルに入ろうよ！」
「結構デース」
「そんなこと言わずに見学してきなよ」
　諦めず矛先を露草に向けるあまりのしつこさに。
　一瞬勧誘をする先輩を睨んでしまった。
「サークル名とお顔は覚えておきましょう」
（強引勧誘サークルのことは後で大学のほうにも報告しておきましょう）
　と思う露草である。
「……わかったよ、気が向いたら来てよ」
　ようやく強引な先輩は諦めてくれた。

「……ふぅ、怖かったデース！　大丈夫デースか！？」
「あ、ありがとうございます……」
　絡まれていた青年は、さっきと違う露草の外人口調に驚いた顔をした。
「どういたしまして。……おっとすみません、諸事情でこういう口調が出る事もあるのです」
　爽やかにそう答え、露草はその場を後にする。

　そういえば履修登録などの説明や資料配布があることを思い出し、露草は気持ちを切り替えることにする。
「これからのキャンパスライフが楽しみですね。おっと、両親にも報告しなければ……！」
　後で本土の両親に無事入学式を終えたことを電話しよう、と思うのだった。

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