フツウ＊299　COFFEE｜リアクション

フツウ＊299　COFFEE

　寝子ヶ浜交番の向かいにある299 COFFEE（ニクキュー　コーヒー）。通称299。店長の森崎壮二が、若いアルバイトスタッフとともに様々なお客様をおもてなししています。

　開店30分前。私服姿の東雲人里がアルバイトにやってきた。夏休みは時間が取れるので朝から入っている。東雲がカウンターに目をやると橘勇と御剣刀の姿もあった。勇は制服のエプロンを身に着け本日のケーキをいつでも出せるように切り分けており、刀は玄関の掃除をはじめようとしていた。
「おはよう、東雲」
「おはよう、勇くん。朝にいるの珍しいですね」
「今日は他にバイトが入ってないからな。忙しい時間帯は最後までは入れる」
「そうなんですね」
　人見知りのある人里も一緒に働く店長やバイト仲間には慣れてきた。
　カウンターや店内の掃除は勇と店長で手が足りそうだ。人里は入口の花に水やりと、窓のガラス掃除をやることにした。刀の後を追う。
「ありがとう、東雲。一緒にやったら早く終わるな」
「はい。綺麗にしましょう」
　よく晴れた暑い日である。人里は額の汗を手の甲で拭いながら微笑んだ。刀は丁寧に箒で店の前を掃除している。玄関は店、ひいてはそこで働くみんなの顔だ。汚れたままでは格好がつかない。人里もよくぞうきんを絞り自分の顔がうつるくらいにガラスを磨いた。
「今日もお日様が元気だね。お客さんがたくさん来てくれそうだ」
　店長がレジにお金を入れながら勇に話しかける。勇はそうですねと短い相槌をうって、人里と刀のために氷の入った水をグラスに注いだ。

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