Escape！｜リアクション

Escape！

囮役の莉鳥と分かれた、ミドリと蛇那伊は人目を避けながら走っていた。先程襲ってきた鬼が応援を呼んでいない筈がない。
（どこから出てきてもおかしくはないわ）
「見っけ！」
「この街って意外に広いわね」
「静かな街なのに……。早く殺して終わりにしましょう」

ミドリ達の前から男女の鬼がやって来る。
「うっとおしいわね！ほんと殺すわよ！」
「ちょ、ミドリ落ち着いて」
苛々するミドリを蛇那伊が必死に宥めるが、彼女の怒りは頂点に達していた。
今度こそ、取り出した銃口を殺し屋に向けた時に銃声がした。

「な、なに？！」
「誰よ？」
「……真琴か？」

鬼達は隠れながら自分達の後方を窺うと、真琴と忍が銃を構えて立っている。

「やっと見つけた。ミドリ・ヒラ！」
「あれがイカれた女か？」

真琴がミドリ達に声を掛けると「なに？誰？今取り込み中なの」と銃を下ろさずに言った。
「俺達はお前に加勢する。―――詳しい話はこいつ等を殺してからでいいか？」

ミドリは返事の代わりに銃を放った。それを合図に、真琴がまず男の鬼の眉間目掛けて撃つと、忍は女の鬼の心臓を狙って発砲する。ミドリの援護を受けて。蛇那伊はその隙にもう一人の小柄な男の鬼に近づいて頸を捻る。

「やるじゃない！」
「気安く、話掛けるな」
ミドリが忍に笑顔を向けるが、彼はふいっと顔を背けた。
「おい、そいつはヒステリーが度を過ぎたママみたいな男だから気をつけろ？」
「あ？なんだと？」
相変わらず、忍と真琴の言い争いは続いているらしい。
（ずいぶん、仲が良いわね）

その後、真琴は改めて詳細を説明するとミドリは婚約者に対して怒りだし、忍は嫌な顔をしていた。蛇那伊だけが冷静に「酷い父親ね」と真琴に同情したのだった。

「で？これからどうするんだ？」
「てめ、なに仕切ってんだよ！」
「喧嘩はやめなさいよ。こんな時に」
「蛇那伊の言う通りね。あなた達、一応私を守ってくれるんでしょ？」
ミドリが忍達を咎めると、忍は舌打ちして真琴は「悪かったよ」と気まずそうに口にした。

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