Escape！｜リアクション

Escape！

一方その頃、ホテルを出てミドリを探していた真琴は早くも父である要が放った鬼からの攻撃を受けていた。
「はえーな！」
投げられた、手溜弾が爆発した。
真琴は、建物の影に隠れながら持参していたドイツ製の銃を取り出した。
（これが終わればシチリアだ）

「おい！お前が狙われんのか？」
感傷に浸っていた真琴の後ろから声がした。この寝子島は平和な街である。
そんな街で爆発が起これば、住人達はパニックになるのは間違いない。

「ここは危ないから逃げろ！」
真琴が声の主に言うが、彼は応じなかった。
「はぁ？誰に向かって言ってんだ」
「いや、お前だけど」
「俺の名前は暗道忍。―――なんで追われてる？」
逃げろと言ったのだが、動こうとしない忍に仕方なく真琴は今回の件を要約して話した。
（かなり話を端折ったけど、今は悠長に話してる余裕が無い）

鬼は、爆弾の攻撃に飽きたのか銃を取り出して二人に近づいて来ようと車を降りていたのだ。
「こっちに向かって来るつもりだな。―――おい、お前は俺の後ろに隠れてろよ？」
真琴は忍に真剣な表情でそう言うと、忍は間髪入れずに真琴の腰を蹴った。
「いって！……っ！てめ！なにすんだ！」
「この甘ちゃん野郎が！殺し屋辞めたいならシチリアに行ってどうすんだ！」
「え、そこ？てか、まさかの説教？！ちょ！落ち着けって！まじであいつらに殺されるぞ？」
鬼達が、銃撃を開始しそうなことを横目で見ていた真琴は焦っていた。
（なんで俺キレられてんの？）

「うるせぇ！今のお前はただの中途半端野郎だ。頭の中ハッピーセットか？」
「はぁ？！なんで見ず知らずのお前にそんなこと言われないといけねぇんだよ！」
「ほんとに馬鹿なのか？家を捨てたいなら、まず自立しろや！」
「そんなことお前に言われなくてもするっつーの！お前は俺の母親かよ？！」

何故か、喧嘩が勃発してしまった忍と真琴。
口論を続けている二人に車を降りてきた鬼の三人組はこれ幸いとばかりに彼等の隙を突いて銃撃を一斉に放ってきた。

「やべっ！」
「くそっ！」
二人は頭を腕で守りながら、路地裏に避難した。

「おい、甘ちゃん野郎。よく見ておけ」
忍が真琴に命令する。

「あぁ？」
「ここで、おとなしくしていろ」
忍は、向かってくる鬼達の前に堂々と出た。

「おい！正気か？」
（こいつ頭いかれてんじゃねぇの？！）

三回分の銃声が聞こえたあと、鬼である三人組は足を撃たれてその場に倒れた。
（三人の右足に一発ずつ入れたのか？）

「礼はいらねぇよ」
真琴はすかざず忍へ向かって中指を立てた。

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