【修了式】今年度、最後の一日どう過ごす？｜リアクション

【修了式】今年度、最後の一日どう過ごす？

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　その頃、理事長室で。
　泣きそうな、悔しそうな表情で「はい、はい」と繰り返す夏朝を、露草が心配そうに見つめていた。
　夏朝の通話が切れる。
「……親族の方は、何と？」
　恐る恐るといった様子で訊いた露草に、夏朝は携帯を握りしめながら答えた。
「……理事長。引退するつもりで、旅に出たんだって」
　しばらく間があってから、絞り出すように夏朝は親族の話を説明する。
「……引退？」
「理由も聞いたよ」
　自分にできることを探して、世界の教育現場を見てまわるため。そして、自分を見つめなおすため。
　親族の話では、「人生の一回休み」だとか、そんなことを言っていたらしい。
　拉致や誘拐の類のなら、犯人を叩きのめせば理事長は戻ってきてくれたかもしれない。
　けれどこれは、理事長本人の意志だ。
　だから本人が納得するまで、理事長は帰ってこない。
「それで……桜栄家の親族の人に声かけてまわって、……新しい理事長を探してた、って」
　候補が見つかったかどうかはわからない。理事長が変わって、寝子高がどうなるのかもわからない。
　ただ一つ、はっきりしているのは。

　これまでの寝子高とは違う、きっと新しい寝子高が始まるのだろうということだけだ。

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あとがき

担当マスター：風雅宿
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高校の修了式の頃、教室の黒板の上にプラモデルがたくさん並んでたなあ……ということを書きながら思い出していました。
風雅です。

来年度までは今しばらくかかるでしょうけれど、ひとまず寝子高の今年度はこれにて終了となります。
皆様にとって楽しい修了式となったのであれば幸い――と、果たして申して良いのかどうか。

寝子島の来年度に何が待ち受けているのか、それは風雅もわかりませんが。
一つ確かなのは、寝子高にも変化の年が訪れるということ。

変わっていく寝子高で、寝子島で、またお会いしましょう。
それでは。

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