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時を奏でよ、オルゴール
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【ループ】
破り捨てられた日記の欠片は明朗な物質的存在か、あるいは想いの象徴だろうか。
「誰かが破り捨ててばらまいた? いや、そもそもあの子は日記を書いていたのかな。この現象が起こったとき、オルゴールがあの子の気持ちを具現化したものかもしれない」
未央はこれまでに拾い集めたページを一揃えに眺め、思索にふける。
さも真剣なその顔を斜に眺め、エレノアは愉悦に浸っていた。
「私にはよく分かりませんけれど。そうそう、時がループしているのでしたね? その薄っぺらい紙切れが、あの子、とやらの死を思いとどまらせる鍵なのだと」
「多分ね。君もさっきそう言ってたよ」
「へえ、そうですか。私もなかなか良いことを言うじゃあありませんか」
愉しかった。目の前の彼が困惑に眉を歪めるのを見ているのは。右往左往し益体もない行為へ没頭するのを眺めているのは。この空回りよう、これこそがエレノアの見たかった顔だ。
エレノアは運命など信じない。彼が絡むと己の目論見がことごとくにずれてゆく、何者かの意図が、意思がそこに働いているとは思わない。エレノアを操作できる者など存在しない。そう断ずる。何故ならエレノアが記憶してさえいれば、いつかはそれを跳ねのけ、己のままにやり込める機会が必ず訪れるからだ。
エレノアの財布には何枚もの写真が潜んでいる。エレノアが『つまらない日』と呼ぶ屈辱や空回りを自分に味わわせた、あるいはそのきっかけを呼び込んだ人物を写真に収め、記憶しておく。その屈辱をいつか雪ぐため、跳ねのけるために蓄積してゆく、言わば攻性の記憶だ。決して忘れはしない。忘れてなどやらない。エレノアを操作できる者など存在してはならない。いつまで時がかかろうと、どれだけの労力を費やそうと、必ず運命とやらもろともにねじ伏せる。
それが、エレノアという女なのだ。
「この日記によれば、必要な登場人物があとひとりいるのではありませんか?」
「彼女が事故で殺してしまった、男の子。想い人か」
「さて、どうするのですか? あなたがその役割を演じてみるとか?」
「それであの子が納得するのなら、いくらでもやるけどさ」
「へえ……」
ずいぶんと殊勝なことを言う。エレノアは胸中に嘲笑した。
未央。犬飼 未央。彼の写真はもうずいぶんと長いこと、エレノアの財布に鎮座している。
彼と絡む日は大概が『つまらない日』となった。なぜだろう。理解できない力が働き、エレノアの目論見はことごとくに外れてしまう。まるで……そう、物語の紡ぎ手が登場人物を思うさま動かすかのように。役者は割り当てられた役柄を越えて演ずることは許されない。端役が物語をひっくり返したり、あまつさえ破壊することなど許されない。そう言い包められているかのように。
これは怒りだろうか。端役に甘んずることを強要された、理不尽に対する憤怒だろうか。
否。いいや、違うのだろう。恐らくは。全ては彼女が人間らしく在るため必要とするプロセス。そうなのだろう。誰もが己の尊厳や権利を踏みつけられて黙ってはいられまい。エレノアは自身の権利を行使しているに過ぎない。理不尽に対して声を上げるのは人として在るべき姿ではないか?
エレノアの望みとは、至極単純で基本的かつ普遍的な想いであるはずなのに。
ただ『つまらない日』を呼び込む未央という存在を、素敵な悪趣味でやり込めてやりたいだけなのに。なぜそんなささやかな願いが叶えられないというのか?
「少女はビルを登り、落下する。決められた道筋を違えるには、少女へこちらの言葉を届かせるしかない。そのためのヒントが、この紙っぺらには記されているのだと。そういうことですか」
「そういうことさ」
「であればもう、相当な情報が集まったのではありませんか? 私が時をループしている間にね、ふふふ」
彼は混乱の中にある。ああ、なんたる愉悦か。これぞ人生の歓びというものではないか。
エレノアは嗤うのだ。
身体を透かせた少女が足取り重く、階段を登ってゆく。寝子島に暮らし、事あるごとに不可思議な出来事へ首を突っ込むエレノアには亡霊も見慣れたものだが、それでも奇怪な光景には変わりない。
「なるほど、あれが亡霊ですか」
「階段を登ると屋上へ出る。そこから彼女は身を投げる。君も何度も見ているはずだけど」
「記憶にありませんね。まったく、ループとは不便なものです」
オルゴールは唄い続ける、少なくともあと1分足らずの間は。
音色はおぼろげ、さして高価な品ではない。それでも少女にとっては小遣いの数か月分をはたいて買ったものだ。既製品とはいえ少なからず感情もこもったことだろう。
少女の想い人たる少年はいささか気が弱く、引っ込み思案なきらいがあった。そんな彼を、少女は度胸試しなどと称して、半ば朽ちかけたこの雑居ビルへ誘った。ちょっとしたスリルで彼が強かな男に目覚め、自分を守ってくれるようにでもなればいいと、ごく軽い気持ちで。
未央は眉をへの字に曲げた。彼の言葉には逐一少女への同情が垣間見えるのが、エレノアには滑稽に思えて愉快だ。
「ちょっとしたデートのつもりだったのかもね。けれど……」
「悪気はなかったのでしょうね。少し驚かせるつもりで肩を叩いた拍子に、臆病な少年は飛び上がり、足を踏み外して」
ひゅうん。ごろごろごろ。ぼきっ! おどけた擬音を発してやると、彼は不快そうに眉をひそめた。
つまり。
「飛び降りる前の少女の小さな背中に、あなたが言って差し上げればいいのです。彼を殺したのは君じゃない、君のせいじゃない、とね」
「そう……かな。そうだね」
未央の表情がいくらか明るくなった。解決の糸口が見えたことで、胸が軽くなったのだろう。
なんて分かりやすい。
「さて。そろそろですか」
「ん? ああ、そろそろ彼女が屋上に着く頃だね」
「ええ。そう。そろそろです」
ひび割れたすりガラスがはめ込まれた扉は歪んでいるが、少女はそれに留められることもなくすうと屋上へ出ていった。未央が小走りに階段を駆け上がり、少しばかり苦労をして扉を開く。
事態を解消しループを閉じるには、屋上から身を投げる少女を思いとどまらせればいい。彼女がかすかな希望を見い出し、暗い闇から這い上がれるような、前向きな言葉を。
だからこそ、
「待って! 君に伝えたいことがあるんだ。君が死ぬことは無い、だって……」
エレノアは未央に先んじて、少女を折らねばならない。
「死にたいなら、死ねば?」
自己の尊厳を、この手に奪い返すために。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
推理・サスペンス
ホラー
SF・ファンタジー
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年11月26日
参加申し込みの期限
2020年12月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年12月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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