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早死にするのは善人だけ
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座って熱いおしぼりを手渡すと、吐前亀二郎は迷わず広げてごしごしと顔をふいた。
「いやあ、外、熱いから生き返りますよ、はい」
気持ちよさそうだ。ちょっとうらやましい。
内心トホホではあるものの、指名料も入ることだし前向きに考えることにして、華露蘿はにっこりほほえんだ。
「ご指名ありがとうございます」
「いやいや、たまたま来たら豊……いえ、文具屋さんがいて」
「あの、『瑠住』でお願いします」
「ああそうでした。まさかこんなところでお会いするとは思わず驚きましたよー、はい」
全然驚いたように見えなかったが、少なくとも口ぶりに嘘はなさそうだった。といってもこの人のことだ、虚実のほどはわからない。
「お飲み物は何にされます?」
「まだ寒いから、焼酎のお湯割りでお願いしますよ」
……そこは好みが合うんだよね。
お湯割りをふたつ作って湯飲みで乾杯する。
「いただきます」
「どうぞどうぞ」
どうですか景気は? なんてありがちなところからはじめて、しばらくよもやま話に花を咲かせた。こうしてリラックスしていれば吐前も人の良さそうなおじいちゃんでしかない。薄く作った焼酎でじわりぬくもってきて、昼さがりの公園でひなたぼっこしているような気持ちになってくる。
ところで、と何気なく吐前が言った。
「あのテーブル……紗央莉さんがいるところですね。派手なお客さんがいますね。ご存じですか?」
あまりにナチュラルな口調で問われたものだから、華露蘿もナチュラルに返した。
「え? ああ、最近よくお見えらしいですよ。私もヘルプで付いたことがあります」
「いいスーツですよねえ。私の安物なんか十着は買えそうですよ。あの方のお仕事、ご存じですか?」
「しゃべり方からして関西の方みたいだけど……そういえば仕事の話は聞いたことがないですね。身なり的には実業家とか? 派手だけど粗野な言動はそんなに聞かないし」
本当は顧客情報なのでごまかしておくべきなのかもしれないが、吐前の調子に釣り込まれてしまってつい、華露蘿はここまで明かしていた。といってもこれが華露蘿が松木という男について知っていることのすべてだ。
「へええ」
ぼんやりした口ぶりだが、吐前の表情はここまでとはまるでちがっていた。眉毛に隠れ気味の目が一瞬、ミラーボールみたいにまたたいたのをたしかに華露蘿は見たのである。キュッと唇も結ばれている。
あれ……刑事の顔になったよこの人。
どくんと心臓がひとつ、強い鼓動を刻んだ。
おそるおそる華露蘿は訊いた。昔の刑事ドラマみたい、なんて思いつつ。
「なんですか……余所からよからぬモノでも入ってきてるようなタレコミでもあったんですか?」
「いい勘してます。あなた刑事に向いてるかも」
吐前はにこりとした。でも目は怖いままである。
もうムクムクの老犬じゃない。獲物を狙う猟犬だ。
「って……冗談ですよ!? ここは楽しいお店ですから、スマイルスマイル」
線香の火を大急ぎで消すみたいに、あわてて華露蘿は手を振った。
すると老刑事の目は、ふたたび眉に隠れたのである。
「もちろんですよ~。いまは私、オフなんですからねえ、はい」
良かった。華露蘿は胸をなで下ろす。
「それにしても、今日はおひとりで?」
「ナメちゃん誘ってるから、もうすぐ来るよ」
「……へ?」
ナメちゃん、というのは吐前独自の呼び方だ。
間もなくボーイに案内されて、まばゆい光がやってきた。
スキンヘッドにライトが当たり光を宿しているのだ。髪の毛はゼロで眉も薄い、カミソリみたいな目つきに縦ストライプのスーツ、あきらかに『本業』の人のようだが実は警察署勤務、といってもマル暴などの物騒な部署ではなくて、事務長をつとめる
滑山
(なめらやま)なのだった。
「外寒いっすねザキさん。本当に三月なのかなあ」
と告げて滑山は華露蘿から遠い位置に座った。
「い、いらっしゃいませ」
もちろん滑山とも店で会うのは初めて、華露蘿は目を合わせないようにしながら言うも、とうに承知しているらしく滑山は動じず、
「今は瑠住さん、でしたね。すいません付き合わせて。ウイスキーのロックでお願いします。量はシングルより少なめで」
テキパキと告げておしぼりを受け取った。
……というかやっぱり、吐前さん『驚いた』っての嘘じゃん!
やっぱり曲者だよおじいちゃん刑事め。
ロックアイスを一回しし、口に含んで滑山は軽く前屈みになった。ほどけた靴紐を結び直すかのように自然に、けれどもすばやく小声でささやく。
「適当にウチらの話に合わせてください」
その言葉尻が消える頃にはもう、滑山はソファに背を預け「確定申告が大変ですわ、この時期」などと明らかに嘘の話題を振る。
「オレはもう慣れたよう。ああいうのはね、ちゃっちゃーっとやったら早いの」
などと吐前は返しているものの、これまた赤すぎるほど真っ赤な嘘だ。自営業者という設定なんだろうが、正体を知っている華露蘿からすれば、似合わないことこの上ない。
そこから話題はプロスポーツや将棋、テレビ番組など他愛もないものにばかり移っていくが吐前も滑山も交互に松木を監視しているようだ。
これって……張り込み的なやつ?
ひとり石地蔵になるわけにもいかないので華露蘿も二人に合わせて無難な笑顔と無難な相づちを提供する。
松木という客のリーゼントがこちらに向くことはなかった。
しかし華露蘿は覚えている。まだ吐前しかいなかった時点に一度だけ、松木はこちらを見たのである。
彼の視線が向かったのは吐前ではない。華露蘿だった。突き刺さるような眼だった。
指名、しようとしたのかな僕を……。
まさかとは思う。遊び慣れている風の松木からすれば、自分など面白くない部類に入るだろうから。
でも、
『瑠住ちゃんみたいな子は狙ってくるかもしれない。気をつけてね』
夕顔の言葉が思い出された。
色恋の対象、とまではいかずとも体目的で、という意味ならまだわかる。
でも夕顔の口調は、それよりずっと重いものに聞こえた。
松木という男が帰るまで、吐前と滑山はずっと華露蘿の延長指名をおこなった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
5人
参加キャラクター数
6人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年11月03日
参加申し込みの期限
2020年11月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年11月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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