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\ オーバータイム!/
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願いを謳えば
【願いを謳えば】
無関係な他者の目から見れば、その人形と
御剣 刀
の出会いは運命であると語るだろう。
だが、それは刀にとっては全力を賭しても否とする事柄だった。
一人と一体の出会いは、満天の星の元に起きた悲劇から始まった。刀が、身体に宝石を誂えた人形――ルヴィアを手にした時、そこに渦巻くものは、ただ闇の底見えぬ絶望だった。
刀とルヴィアとの出会いを『運命』だと語れば、その絶望までもが運命とされてしまう――故に、刀はルヴィアとの出会いをこう示して語るのだ。
俺達は【偶然会って】一緒にいるんだ、と。
九夜山の麓から少し分け入った所にある白い洋館、Antique doll "製作者"の館にて、大きく拓けたテラスへの窓を視界に入れながら、刀は案内されたいつものソファーに腰掛けていた。
刀は、ルヴィアの身体調整のために、彼女を含め『宝石人形』と呼ばれるシリーズを作ったその製作者『トキサダ』に預けて、ただ待つというこの時間が、どうにも落ち着かないものだった。
刀はいつもルヴィアを連れ回している。それ故に、こうして待つ都度、何か自分に出来ることはないだろうかと思ってしまうのだ。
一度に至っては、あまりに何も出来ないのがもどかしく『ルヴィアのメンテナンスを見せてもらってもいいでしょうか?』と直球で尋ね、トキサダが非常に言いづらそうに『裸な上に五体バラバラな姿な女の子の姿がみたいだなんて!』とルヴィアから受け取った感情を代弁した時には、流石に刀も『デリカシー』という怒られて当然の概念を理解したものだ。
――それ以来、大人しく待つ。だが、やはりどうにも落ち着かない。
「御剣様、宜しければ」
そっと、この邸の執事が温かな紅茶を刀の目の前に差し出した。この邸の使用人たちの間では、ごく最近、雇い主であるトキサダの制作した宝石人形のシリーズが、神魂の影響により立て続いて動いているという、怪談にも似た事実を知って混迷と震撼が走ったばかりだ。だが、こうして見るとそれも上手くこの屋敷内で収まったのであろう事が伝わってくる。
「ここに来る前に、ルヴィアと一緒にフローティアに会ってきたんです。
他の宝石人形は、皆元気に――幸せそうにしてるでしょうか?」
きちんとこうして話を聞けたのは初めてかも知れない。
穏やかな顔をした執事は、自分の知っている範囲で宜しければと、そう前置きをして語り始めた。
過去に動いた宝石人形の一体『アメトリア』は、
一体が二体に別れる
という、極めて不可思議な事実を、邸の使用人達が受け入れられるようになったここ最近。その購入主がしきりにトキサダの元を訪れ、使用人を含め誰彼問わずに人形の美しさについて惚気を言うようになったのだという。
とはいえ、今の寝子島は不思議の坩堝。誰かが何かを切っ掛けに人形を人以上に偏愛し始めても、特に不可思議に思う人もいないだろう。
「ガネットは、変わらず変わらず眠っているんですか? ……ケンさんは壮健で?」
刀が思い起こしたのは『ガネット』と名付けられた宝石人形――動いた宝石人形は、美しい女性の身姿を伴いながら齢短い一人の男性に
恋をし、そして愛した。
人形が動くというのは、神魂という未来の見えない一時の奇跡。その後、ガネットは数日後、静かに眠ったように動かなくなった。その愛を受け止め、この屋敷内で働く事になった男性は、今はどうしているのだろう。
「ええ、彼は今もとても真摯に働いてくれています。
いつも、朝と夜にガネットの元を訪れてから、職務に励んでくださっています。佇まいも嘘のように変わりましたね。最初は失礼ながら、とても心配となる立ち姿であられたものですが――
……動く人形、というものに怖ろしさを感じていた我々を説得してくれたのはケンさんと、ガネットでした。必死に訴え、同意を求める彼らの想いは、どれだけ生きている人間と違うのか。我々は答えを出すことができなかった。
……ガネットが動かなくなった時、涙した使用人もいたほどです。今となれば、感謝しかありません」
そう語る執事の表情は温かで、そこに嘘偽りは見出せなかった。刀は安心した様子で小さく息をつく。
どれも――どの存在も、今、皆幸せなのだ。既に自分の手に届くものではない。だが、もし幸福でいてくれるならば、これに勝る幸せはない。
「お待たせしました。御剣さん」
ゆったりとした足取りと共に、刀の視界に入ると共に一礼した男から、貫禄のある声が掛かった。
宝石人形シリーズの製作者トキサダが、腕には非常に丁重に抱えられたルヴィアを連れて。
「なるほど……そのようなことが」
テラス席に用意されたテーブルを挟んで刀とトキサダが座る。そして、その横に二人の話を聞くように、もう一脚、高足の子供用と思わしき椅子に、テーブルの二人の顔がきちんと見られるようルヴィアがちょこんと座っている。
「ええ、朝飯を作って、掃除をして…それから、買い物にも行って……他にも、本当にたくさんのことを」
それは、一日の奇跡として、
ルヴィアが再度、動き出した時
のこと。
刀は胸にしまっていた出来事を、急きすぎないように、それでも溢れ出るように語り伝えた。
トキサダは、それに感銘を受けた様子で何度もルヴィアに視線を合わせながら、刀に目を向けてを繰り返して聞いていた。
そして深く息をつき刀が語り終えたところで、トキサダが満足げに頷いた。
「なるほど……ルヴィアが、ずっと嬉しそうにしているのは、そんなことがあったからなのですね」
「ええ、それでテレビの置く場所について意見を聞いたときに思ったんです。
『ルヴィア用の椅子とか机とか家具が沢山あるといいんじゃないか』って」
ふと、その言葉にトキサダが少し意外という思いと驚きを隠さず、刀の意図を確認すべく次の言葉を待つ。
「確かに動いたのは奇跡かもしれません。でも、二度あったなら、もう一回だってあるかも知れない。その時に、ルヴィアには喜んで欲しいんです」
思わず言葉に力を込めていた刀は、一度己を落ち着かせる為に一呼吸置き、それでも固い意志を持って言葉を続けた。
「それに、あの時――知ったんです『今までが全部、全部無駄じゃなかった』って。
きちんと他にも服に興味があって、小物にも興味があって――それなら、それを揃えてあげるのも、俺がルヴィアにしてあげられることの一つだと思うんです」
その刀の決意を確かに受け取り、トキサダは頷いた。
「なるほど……。ただ、ルヴィアの身長としては、ベビーチェアなどの幼少のお子さん向けのものでも問題ありませんし、衣類はインナーなどの一部を除けば普通に市販のもので十分に事足りる事でもあります……が――」
言葉を止めてトキサダがルヴィアの方を見やる。つられて刀も目を向ければ、錯覚かも知れないが、体感としては確かにルヴィアから『それはイヤ』というオーラが伝わってきている所だった――
「……本当は、相談して決めたいんだけどな。きっと楽しいけど、今はちょっと難しいな」
「ならば、懇意にしているドール服やオーダーメイドの家具を扱っている知人に相談してみましょう。安くはないものとなってしまう可能性もありますが……」
「構いません。お金はもちろん払います。
自分ができない事をやってもらうんですから対価は当然ですし」
「それでしたら、今払える分を超えた際には出世払いで如何でしょうか。……ルヴィアにここまで安らぎを与えてくれたお礼として。その位は払わせてください」
――ルヴィアは我が子のようなものですから。そう提案したトキサダの表情は、密かな嬉しさが伝わってくるものだった。
「そう言えば、新しい宝石人形の制作予定はあるんですか?」
改めてルヴィアを交えたティータイム。紅茶に口を付ければ僅かなマスカット風の薫りがすっと口の中を抜けていく。
「実は、新しい人形造形は、イメージの素体となる石を購入所有者が安心して所持できるようなルートで探しているのですが……それが中々難しくて。
見つかり次第、とは考えているのですが……」
刀の質問は、どうやらトキサダの目下の悩みであったらしい。悩ましい顔と共に、相手がお茶を口にする間、ふと刀は目にしたルヴィアの大きさについて、違和感を感じた。
「――今まで出会った宝石人形たちの中でルヴィアだけ小さいのは時期の関係ですか? ルヴィアの話では、自分は本当に最初の頃に作られた人形だって言ってましたけど」
「ああ……はい、ルヴィアは初期――実際には二作目のビスクドールになります。
等身大のビスクドールというのは、まず一般的にも現実的な大きさではありません。最初からその大きさを目指した、一作目は……未だに完全な形ではないのです。
その為、まず当時の技量の可能な限りとして作成したのがルヴィアになります」
「一作目――」
刀が、その言葉に心を引かれるように気に留めた。
……どうしてトキサダは、そのシリーズを作ろうと思ったのだろうか。その第一作目。そこには多分切っ掛けがあるはずだ。
「どうしてトキサダさんは、宝石人形を作ろうと思ったんですか?」
それは、今まで宝石人形に関わってきた刀にとっては、至極当然の疑問であった。
しかし、それにトキサダは少しの間を置いて、質問と同時に閉じた瞳を開き伏せた。
「――そうですね……もう何年、何十年も前の話になります」
――数十年もの前。トキサダは、人形を愛する一人の女性に恋をしたこと。
ドールに囲まれ、まるで自身も人形と見間違うかのように、幽世の如くその時間を静かに暮らす彼女と懇意になったこと。
しかし、彼女は余命幾許も無く、自分の人形たちをトキサダに託すとそのままこの世の人ではなくなったこと――
「当時、私は……彼女の死を、受け入れることが出来ませんでした。
彼女に微笑み掛けてもらえるような人形が作れたら……いつからかそう思い、既に人形の製作者としての道を歩んでいた私は、当時、彼女の貌を写し取った、無謀とも言われる等身大の人形を作ろうとしました。
それが『ダイアナ』――最初の宝石人形です」
静かに淡々と、だが事実はそうではない話の内容に、刀は沈黙と共に言葉を圧した。
「ですが、どうしても完成させようとすると、何故か上手く行かないパーツができる。ダイアナはそれを繰り返し、未だに完成されることの無いまま、今に至ります。
……だから、でしょうか。今でも私には製作したダイアナの心だけは、分からないのです。
ですが、いつか話をしたい。いつか会話が出来れば――今でも、パーツを作り直しながら……そう思ってしまうのです」
言葉の影に秘められた思いに、刀は次の言葉を迷う。それを見たトキサダは、それまでの思いを流し隠すように笑顔を見せた。
「――私は、人の心を幸せにしたいんです。かつて、彼女のやさしい微笑みを生み出してくれた、彼女の人形たちのように。
たとえ、今の自分が泥をかぶっても、未来においてそれが叶うなら。
私は決してそれを諦めない、と」
話題の区切りとして、言葉に薄らと染められた固い決意と共に、伝えられた内容は過去に刀がトキサダに問い掛けた質問の答えそのものでもあった――
「トキサダさん、少し相談したいことがあるんですが……」
それからしばらく。
刀がそう告げて、少し困った様子でルヴィアを見やる。トキサダは、それだけで『ルヴィアには聞かせづらい話』なのだと察し執事を呼ぶと、一時ルヴィアに離席を願った。
ルヴィアの不満が伝わってくるのか、トキサダは明瞭な苦笑を浮かべながら執事に預けられて去るルヴィアの姿を見送っていく。
そして、改めて向き直るトキサダの目を見つめて、刀ははっきりと口にした。
――もしも、トキサダに何かあったとき、ルヴィアの手入れはどうすればいいか?
そして、人である以上少なくともいつか必ず訪れる――自分、刀に何かあったときルヴィアはどうすればよいだろうか、と。
「約束をしたんです、ずっと傍に居ると。……もう独りで探しに出るようなことは起きないと」
刀の言葉に、トキサダは静かに頷いた。
「そうですね……死別も、孤独も……それは個人として人形と共にいる以上、避けて通れるものではないでしょう。
だからこそ……ありがとうございます。ルヴィアは、本当に良い方の所に迎え入れられました」
感慨深く、目を僅かに揺らめかせながらそう告げたトキサダは、その想いに応えるべく、思案の末に『こちらの有事には、技量を含め信を置いている若い人形師に話を通しておくので、そちらに頼って欲しい』と。また『刀が、決めた期日以上ルヴィアのメンテナンスに訪れなかった場合は、有事を想定してまず様子を見に行くこと』を、当面の約束としてくれた。
また、ルヴィアにとってより良い案があれば、いつでも伝えてほしいと。そう告げたトキサダの温かい言葉を背に、刀はルヴィアを伴って、日も暮れた邸を後にした。
「今日も綺麗な星空だな」
旧市街の商店街から少し離れた、刀の住まいへの歩道をゆっくり歩く。
空の星は澄んだ闇色の中に透け届く光のように美しく。
このような夜にはまた、ルヴィアが動いてくれるのではないかと微かに願うが、今日はその様子が感じられずに、やはり少し残念に感じてしまう。
『ねぇ、刀。約束よ、約束して頂戴』
静かすぎる空間に、ルヴィアの、もう一度動いてくれた時の言葉が聞こえてくるようだった。
悲しそうで、泣きそうで『人間はいつか。必ず心変わりを起こすのだ』と、その絶望を捨てきれなくて。
それでも、尚『目の前の存在だけは、そうではないと信じる』ことを、願ってくれた声。
約束を違えたくない、だからその為なら俺はなんだってする――
一度違え、そして生まれた新たな約束。刀にとって、それは守る為にずっと抱え願い続け、今まで実行に移し続けてきた決意だった。
故に刀は、どこまでも、どこまでもその努力を怠らない。この心ある限り、それを必ず貫き通してみせる。
その信念があるかぎり、刀はルヴィアの願った幸福に永遠すらをも紡いでみせるのだと。
「……大丈夫だ、絶対に約束する。その為なら、俺は何でもやるから」
己の呟きを、確認するように胸に収めた。
約束の果て、この最善の先に、ルヴィアの幸せを叶えてみせる。
ルヴィアと約束をしたその瞬間から――刀は、自分が向かう『世界』に、それを確かに誓ったのだのだから。
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
冬眠
ファンレターはマスターページから!
こんにちは、この度MSをとめさせていただきました冬眠と申します。
今回は御剣刀様、ご指名の程をいただきまして誠に有難うございました。
この度、お預かり致しました内容が『宝石人形』についてであることで、いつも緊張しきりではございますが、それ以上に緊張しながら執筆させていただきました次第です。
仔細につきましては、せっかくのプライベートシナリオでございますことから、個別にてお届けをさせていただければと思われます。
少しでも、お心に残るものとなりましたら、この上ない幸いでございます。
それでは、この度は誠に有難うございました。
またご縁ご機会がございましたら、どう何卒か宜しくお願い致します。
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担当ゲームマスター
冬眠
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プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
オールジャンル
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月20日
参加申し込みの期限
2020年10月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月27日 11時00分
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