自然とフツウを奪還せよ！｜リアクション

自然とフツウを奪還せよ！

　神野美野梨はある幾つかの研究物をバッグに詰め、拠点を飛び出した。

「うにゃあ〜ん？」
「っ！」
　拠点を飛び出した美野梨の目の前に、巨大な足が下ろされる。地響きと共に発せられる鳴き声。美野梨が見上げると、そこには巨大で愛くるしい猫が美野梨を見下ろしていた。猫はずしんずしんと美野梨へと近寄り、美野梨を弄ぶように、拠点の入り口への道を足で塞いでしまう。

「な、仲良くしましょ！　うにゃあー！」
　美野梨はバッグの中から塊を取り出し、掌へ塊を乗せ、目を瞑りながら腕を前に突き出す。その塊は美野梨の開発したスーパーフードだった。食べた者の精神を落ち着かせ、大人しくする効能があり、とても美味しい。そんなフードを目の前にした猫は黙って見ているはずもなく、目をきらりと光らせ美野梨へと近付くと、美野梨の掌の上のスーパーフードをガツガツと食べ始めた。

(うにゃにゃー！　めっちゃ美味しいにゃー！)

　猫の鳴き声が声になって聞こえ始めてくる。美野梨が猫の鳴き声を発したことで、ろっこん『友の語らい』が発動し、猫と念話ができるようになったのだ。美野梨は襲われずにすみほっと一息をつく。

(寝子島を救うために、みんなの力を貸して！)
(了解にゃー！　ぼくも寝子島救っちゃうにゃー！　はにゃ？)
　刹那、美野梨の掌の上の塊を、黒い影が奪い去って行く。突如発生した突風を、美野梨は腕で庇い浴びながら、影を視線で追い振り返る。するとその先で、巨大なカラスが塊を咥え、塊を一口に飲み込んだ。

(良かろう。私も手伝ってやる。して、何をすればいい)
(あ、ありがとう。そうね……悪の科学者からミサイル発射ボタンを奪うのが手っ取り早そうだわ。こんな作戦はどうかしら？)
(うにゃにゃ？　名案だにゃー！　ぼく達に任せるにゃー！)
(なるほど心得た。しからば悪の元へ向かうとしよう)
　美野梨は心強い？　巨大猫とカラスを味方につけ、作戦を共有し皆で頷くと、悪の科学者の元へと向かって行った。

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