＜愛光島日記＞アイコウジマ・ノクターン｜リアクション

＜愛光島日記＞アイコウジマ・ノクターン

　――カウント１：Mio

――朝から最悪だ……。

　蒼凪ミオは盛大にため息をつきながら街を歩いていた。彼女がそう思うのは日直であることを忘れてしまったが為に明日も日直をすることになっただけではない。更に数学の授業中に居眠りをして注意され、昼休みの時は食堂が混んでおりお目当ての定食は売り切れてしまった。
（結局カレーしか食べられなっかし、その上部活でも調子がでなかったなー）
　水泳部での練習時、タイムが壊滅的だったのだ。それはそれでヘコんでしまうのも致し方ないだろう。乙女心は繊細なのだ。
　そんな彼女を見ていられなかったのだろう。
「ミオちゃん、元気だしなよ。こういう時は気分転換するに限るよ」
　と、部活帰りに水泳部の仲間がゲームセンターに誘ってくれたのだ。
（うーん、そんな気分じゃないんだけど……断るのも気が引けるし）
　ミオは少し考えたが、「うん」とうなずいた。

　制服姿で夕暮れの街を歩いていたら、モノトーンの軍勢とすれ違った気がした。仲間たちが先へと進む中、ミオだけが振り返り生気のない目に息をのむ。
（あの人たちは何だったんだろう）
　ミオは、それを思い出すとちょっと背筋がひやりとしたように思えた。
「ねぇ、ミオちゃん。さっきからどうしたの？」
「……ううん、ちょっと寒気しちゃって」
　ゲームセンターに誘ってくれた仲間の声に、ミオは心配をかけまいと笑う。すると、別の仲間がミオを手招きした。
「このゲームやってみない？　最近話題なんだ」
　そう言ってミオが招かれるままに向かったのは、ロボットを操縦するゲームだった。

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