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- 00月00日生 00歳
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喫茶「セピア」営業日誌：「猫の日」展覧会
注文も一段落し、厨房から顔を覗かせた鎮目 悠弥は盛況な猫の日展覧会に目を細めた。
猫が多い寝子島だから盛況なのか、猫の日というのがこんなにも儲か……いや、夢を与える空間を提供できたことに、店長として嬉しく思っている。
「ユーヤ！ 見てみて、似合うでしょー」
依菜里の楽しそうな声に、開催して良かったと頬を緩めようと思ったのだが――猫柄のティアードスカートに、手首には猫のくるみボタンのヘアゴム、それからぬいぐるみも帽子を被ってめかし込んでいるし、その向こう側の首元には猫のカメオブローチがつけられており、朝とは違った全身猫づくしのコーディネートになっている。
「一体それはどうしたんだ……」
先ほどスカートに関しては報告を受けていたが、思っていたよりも大事になっている気がする。
「こっちはお散歩してたらもらってー、こっちはシールのウリアゲで買ったんだよ！ それからね」
依菜里が随分といろんな参加者に良くしてもらったようで、ドリンクのサービスでも振る舞わないといけないかと思案する。
「ユーヤ、聞いてる？ あのお姉さんスゴイんだよ！」
手を引かれて向かった先には、静かに自分の展示を見つめる三宅 葉月がいた。
依菜里に声をかけられるとにこりと微笑み、悠弥へも会釈をするが積極的に呼び込みをするでもなく、ただ静かに微笑んでいた。凜とした横顔が印象的な、作り物のように整った顔の少女。
展示内容も、クレッセントムーンと猫をかけあわせた樹脂製のカメオや、金属製の猫のしおりとオシャレな小物が多く、猫をモチーフとした絵ハガキのセットやいくつかの絵画は様々な画材を使用して描かれている。
「素敵な作品を展示してくれてありがとうございます。先ほどは依菜里もお世話になったようで」
「大切にしてくれるって約束してくれたから……ね？」
「うんっ！ ダイジにダイジにつかうよ！ ありがとう」
二人の間で約束が取り交わされたなら、後から保護者が出てくるのも気分を害するだろう。悠弥はもう一度感謝の意を込めて頭を下げると、葉月は静かに首を横へ振った。
「あんなに喜んでくれて、私も嬉しいわ――」
今日展示したものは、寝子島で過ごした3年間の間にコツコツと作った物だ。そのどれもに想い出があり、こうして眺めるだけで当時のことを振り返る切っ掛けにもなる。
今年の秋には海外留学のため日本を離れる葉月にとって、今回の出展は受験の息抜きでもあり、集大成を見てもらう良い機会でもあり……口にすることはないけれど、作品を譲ることで寝子島で過ごした想い出を共有できるような気がしたのかもしれない。
葉月はゆっくりと会場内へ視線をやると、猫が大好きな人たちが話を弾ませている。
「ねー、あそこのぬいぐるみ見た？」
「見た見た、ふわふわでとっても可愛かったよね」
「売り物か聞けば良かったなぁ」
「おかあさんみてみて！ パンケーキがねこさんだよ、おうちでもできる？」
「そうね、耳を三角形にして、これはチョコシロップかしら……お手伝いしてくれる？」
「するー！」
「そのニャンコがま口、後ろも見てみな。尻尾がついてかわいいだろ？」
「可愛いけど、可愛すぎるかな……男が持つには……」
「何言ってんだい！ そういうウジウジした態度が一番らしくないんじゃないかい？」
「そ、そうかもしれない。オレは猫が好きなんだ！ くださいっ！」
「まいど～♪」
「恵御納っ、キーホルダーの値段聞かれてるけど」
「わああ、待って待って！ 猫さんのカレンダーありがとう、春がたのしみだよ」
「やーっと休憩だぁ～、オムニャイス1つく～ださい」
「はい、オムニャイスですね」
「あっ、うちの花遊みたいな柄にできますか？」
「……善処します」
とても騒がしい島で、不思議なこともあって。でも。
（3年間……充実していた、かな？）
「あの……絵はがき、みせてもらってもいいですか？」
「はい、ゆっくり見ていってください」
今日は想定外に忙しい日になりそうだと、葉月は控えめに微笑んだ。
猫が多い寝子島だから盛況なのか、猫の日というのがこんなにも儲か……いや、夢を与える空間を提供できたことに、店長として嬉しく思っている。
「ユーヤ！ 見てみて、似合うでしょー」
依菜里の楽しそうな声に、開催して良かったと頬を緩めようと思ったのだが――猫柄のティアードスカートに、手首には猫のくるみボタンのヘアゴム、それからぬいぐるみも帽子を被ってめかし込んでいるし、その向こう側の首元には猫のカメオブローチがつけられており、朝とは違った全身猫づくしのコーディネートになっている。
「一体それはどうしたんだ……」
先ほどスカートに関しては報告を受けていたが、思っていたよりも大事になっている気がする。
「こっちはお散歩してたらもらってー、こっちはシールのウリアゲで買ったんだよ！ それからね」
依菜里が随分といろんな参加者に良くしてもらったようで、ドリンクのサービスでも振る舞わないといけないかと思案する。
「ユーヤ、聞いてる？ あのお姉さんスゴイんだよ！」
手を引かれて向かった先には、静かに自分の展示を見つめる三宅 葉月がいた。
依菜里に声をかけられるとにこりと微笑み、悠弥へも会釈をするが積極的に呼び込みをするでもなく、ただ静かに微笑んでいた。凜とした横顔が印象的な、作り物のように整った顔の少女。
展示内容も、クレッセントムーンと猫をかけあわせた樹脂製のカメオや、金属製の猫のしおりとオシャレな小物が多く、猫をモチーフとした絵ハガキのセットやいくつかの絵画は様々な画材を使用して描かれている。
「素敵な作品を展示してくれてありがとうございます。先ほどは依菜里もお世話になったようで」
「大切にしてくれるって約束してくれたから……ね？」
「うんっ！ ダイジにダイジにつかうよ！ ありがとう」
二人の間で約束が取り交わされたなら、後から保護者が出てくるのも気分を害するだろう。悠弥はもう一度感謝の意を込めて頭を下げると、葉月は静かに首を横へ振った。
「あんなに喜んでくれて、私も嬉しいわ――」
今日展示したものは、寝子島で過ごした3年間の間にコツコツと作った物だ。そのどれもに想い出があり、こうして眺めるだけで当時のことを振り返る切っ掛けにもなる。
今年の秋には海外留学のため日本を離れる葉月にとって、今回の出展は受験の息抜きでもあり、集大成を見てもらう良い機会でもあり……口にすることはないけれど、作品を譲ることで寝子島で過ごした想い出を共有できるような気がしたのかもしれない。
葉月はゆっくりと会場内へ視線をやると、猫が大好きな人たちが話を弾ませている。
「ねー、あそこのぬいぐるみ見た？」
「見た見た、ふわふわでとっても可愛かったよね」
「売り物か聞けば良かったなぁ」
「おかあさんみてみて！ パンケーキがねこさんだよ、おうちでもできる？」
「そうね、耳を三角形にして、これはチョコシロップかしら……お手伝いしてくれる？」
「するー！」
「そのニャンコがま口、後ろも見てみな。尻尾がついてかわいいだろ？」
「可愛いけど、可愛すぎるかな……男が持つには……」
「何言ってんだい！ そういうウジウジした態度が一番らしくないんじゃないかい？」
「そ、そうかもしれない。オレは猫が好きなんだ！ くださいっ！」
「まいど～♪」
「恵御納っ、キーホルダーの値段聞かれてるけど」
「わああ、待って待って！ 猫さんのカレンダーありがとう、春がたのしみだよ」
「やーっと休憩だぁ～、オムニャイス1つく～ださい」
「はい、オムニャイスですね」
「あっ、うちの花遊みたいな柄にできますか？」
「……善処します」
とても騒がしい島で、不思議なこともあって。でも。
（3年間……充実していた、かな？）
「あの……絵はがき、みせてもらってもいいですか？」
「はい、ゆっくり見ていってください」
今日は想定外に忙しい日になりそうだと、葉月は控えめに微笑んだ。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2020年09月18日
- 参加申し込みの期限
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- 2020年09月25日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2020年09月25日 11時00分
