【スキー＆スノボ合宿】雪山の宝探し＆温泉もあるよ♪｜リアクション

【スキー＆スノボ合宿】雪山の宝探し＆温泉もあるよ♪

★２日目　吹雪の中の二人

　２年の八神修は、密かに安堵していた。
（昨日の滑りで筋肉痛……にはならなかった）
　夜になって出てくる可能性もあるが、そうなると今日の分と区別がつかないことだろう。
「あおいも疲れは残ってない？」
　隣にいる七夜あおいに話しかける。
「うん、大丈夫だよ」
　笑顔のあおいは、まったく疲れを感じさせない。
　一緒にリフトに乗りながら、修はあおいに話しかける。
「そのウェア可愛いな。あおいにすごく似合ってる」
「そう？　ありがとう。修君も似合うよ」
「あおいにそう言ってもらえると嬉しいな」
　山の上に着いてリフトから降りた修はスマホを取り出す。
「何を撮るの？」
「素敵な被写体に出会えたらと思ってね。まずはあおいを撮っていいかな？　あおいの綺麗なフォームを記録しておきたい」
　あおいは笑う。
「そんな大したものじゃないけど、どうぞ」
　楽しく雑談したりあおいの動画や写真を撮ったりしながら、修たちは気持ち良くスキーを楽しんだ。
「そういえば宝探しがあるんだよね。ヒント、どこだろう？」　
　あおいが周囲を見回す。
「お宝の手掛かりがあるかな？　それとも、兎に会ったりしないかな」
　修もあたりを見回す。
「あ、鳥がいるね」
　あおいの指すほうを見れば、山の方から飛んでくる鳥の姿。
「トンビかな。いちおう撮っておこうか……おや」
　スマホを構えた修だが。
「何かあった？」
「いや、空模様がどうも怪しいなと思ってね」
　さっきまでの青空が一転、鉛色の空が迫っていた。

　その数分後、二人は吹雪に襲われていた。
「急に天候が！？　あおい、大丈夫か？」
「修くん！」
　逸れないよう声をかけあいながら、修は考えを巡らせた。
（天気が悪くなることが多い場所なら、避難小屋があるかもしれない）　
「あおい、小屋あれば逃げ込もう」
（無ければ全力で降りるしかないが……）
　吹雪で視界が遮られる中、木々の合間に赤っぽいものが見えた気がした。
「あおい、こっちだ！」
　どうにか小屋にたどり着いたが、鍵がかかっている。
「どうしよう、修君」
　不安そうなあおいを励ます。
「大丈夫だ、裏に回ってみよう」
（なるべく器物破損はしたくないが、そんなことを言ってる場合じゃないな）
　横に回ると、大きめの窓があった。
　もちろん鍵はかかっているが、修は窓に手を当て、ろっこん『分解』を使って窓をバラし、侵入に成功した。
「もう大丈夫だ」
　暖房を探すと、石油ストーブがあった。
「よかった、火がついた。すぐに暖かくなるぞ」
　どちらからともなく修とあおいは身を寄せ合う。
「機材や敷物を燃やさずに済んでよかったよ。一寸ドキドキする冒険って感じだな」
　あおいが不安にならないよう、修は明るい調子で言った。
「すごいね、修くん……」
「めったにない機会だからね。暗くなるより逆に楽しもうと思って。怖い？」
「ちょっと怖かったけど、修君がいるから平気」
「ああ、大丈夫だ」
　週はあおいの手を握り、笑顔を見せた。
（俺とだから怖くないと思ってくれるなら、男冥利に尽きるな）
　胸の中が暖かくなるようで、もう寒さは感じなかった。

　いつの間にか嵐は去っていた。
「そろそろ帰ろうか」
「あれ？　修君、これなんだろう？」
　小屋の脇に、ビニールに包まれたお菓子があった。
　嬉しい驚きと共に確認すると、お宝の印のシールが貼られている。
「お宝だ。よく見つけたな、あおい。ほら、冒険だったろ？」
　ふふ、と二人は顔を見合わせ笑い合った。
　頭上に星が輝いていた。

このページにイラストを設定する