【スキー＆スノボ合宿】雪山の宝探し＆温泉もあるよ♪｜リアクション

【スキー＆スノボ合宿】雪山の宝探し＆温泉もあるよ♪

★２日目　体力勝負！

　昼まで滑った皐月はすでに疲労でくたくたになっていた。
「温泉で綺麗に汗を流して昼飯だ」
　昼の温泉は誰もいなくて、のびのびと極楽気分を満喫できた。
「あとはのんびりと浴衣姿で酒を楽しんで……っておいおい、なんか天気悪くなってきてんな？」
　ちょっと気になったが、心配しても始まらない。
（まあもう滑る体力もねえから私はおとなしく酒飲んでマッサージとか受けたり喫煙室で煙草吸ったりでのんびりするぜ）

「理緒ちゃん、吹雪が！」
　理緒と一緒に滑っていた紗月が悲鳴を上げた。
　さっきまで晴れていたと思ったのに、今は吹雪で前が見えないくらいだ。
「紗月、一旦宿へ退避しよう」
「うん」
　二人は手を取り合ってッジへ向かった。

（少し強い風が寒気持ちいい……！）　
　２年の吉住志桜里は、黒地に紫ラインの入ったウェアに身を包み、猛スピードでスノボを滑らせていた。
　清楚な外見と柔和な表情で普段はたおやかに見える志桜里だが、武術で育った闘争心と気性の荒さはスポーツでは遺憾なく発揮される。
　体育科の友人たちでもついていけないスノボの足前で、単独行動で山の上まで行き滑り出していた。
　晴天だから問題ないと思っていたが油断だった。

　ボードが跳ね上げる雪の量がいやに増えてきたな……と思っていたら、いつの間にか猛吹雪になっていた。
　山の天気は変わりやすいとは言うが……
（前が見えないどころじゃない、これ完全なホワイトアウトですわ）
　ゴーグルを少し外れて顔を直撃する雪が半端なく痛いくらいだ。
　普通なら心細くなるところだが、志桜里はむしろ高揚していた。
（結構レアじゃない、こういう目に遭うの、ちょっと楽しくなってきましたわー！）
　志桜里はスマホを取り出し、地図アプリを立ち上げる。
（とにかくロッジに戻りましょう）
『猛吹雪なう』
　状況を何かあった時に場所が分かるよう位置情報付きで、ニャンスタグニャムとねこったーにアップするのも忘れなかった。
『大丈夫？　かまくらを作って風雪を避けたほうが』
　そんなレスもあったが、雪を避けて長身の体が入るかまくらを作るのにも体力やそれなりの知識はいるだろう。
　あいにく非常食の持ち合わせもない。
　何より、負けず嫌いな志桜里の好みの手段ではなかった。
（体力しかないのでとにかく、安全な所まで力ずくで戻りましょう）
『今から帰ります』
　そう入力して、志桜里は、好敵手を目の前にした時のように不敵に笑った。
「吹雪ごときで私を止められると思いまして？」
　志桜里は雄々しく、吹雪に、山に戦いを挑んだ。
　滑って、滑って、跳んで、滑る！
　うまいことジャンプ台にも当たったようだ。

「戻ってきてない生徒は３名か？」
　集合時間の過ぎたロッジの前で、浅井先生がおろおろしていた。
「一人戻ってきたようだよ」　
　でんと構えた高野先生の声に山の方を凝視すれば。
「あれは……？！」
　吹雪の中を力任せに、超スピードで何かが滑ってくる。
（黒豹、いや、熊……？）
　そこまでの迫力を感じさせる滑りで。
「すみません遅れました」
　志桜里は優雅に微笑み、生還した。

　

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