【スキー＆スノボ合宿】雪山の宝探し＆温泉もあるよ♪｜リアクション

【スキー＆スノボ合宿】雪山の宝探し＆温泉もあるよ♪

☆１日目　紗月と理緒

　三年生にとっては、高校最後のスキー合宿。
　佐和崎紗月は恋人の初瀬川理緒と一緒に参加していた。
　ザザザッ！
　上級者の理緒は、ゲレンデで見事なターンをこなす。
　躍動する姿に見とれ、
「かっこいい……」
　とため息が出た。
（私はスキーは何とか転ばずに済む程度だし、スノボに至っては未経験……）
　別の意味でもため息が出そうになる。
（でも、理緒ちゃんと一緒にスキーやスノボができたら……）
　絶対楽しいはず、と思うので、講習には頑張って参加しようと決めていた。
「紗月ー、それじゃ後でね」
　と手を振りリフトに向かう理緒を眩しく見送り、紗月は初級者講習に向かった。

「上手いな、初瀬川！」
　上級者コースを滑り出した理緒は、感心した様子の高野有紀先生に声をかけられた。　
「ありがとうございます。スキーもスノボも２年ぶりで、結構ぶっつけ本番だったんですけど」
　褒められて嬉しくなって、理緒は派手に雪を巻き上げてターンしたり、あるいは空中でダイナミックに舞ってみたりした。
（久しぶりでも全然腕が落ちてなくて安心した）
　もう大学受験は合格済なので、プレッシャーからも解放されている。
（めっちゃ気持ちいい！）
　調子よく滑りリフトへ向かうと、初級コースを受講している紗月の姿が見えた。
（紗月はどうにかスキーは滑れる、という感じだけど、スノボは多分無理そう）
　見ているそばから紗月が転び、理緒は声を上げそうになるのを抑えた。
　転んでも一生懸命起き上がる姿にはらはらしながら、
「がんばれ」
　と理緒が小さくつぶやくと、聞こえたかのように紗月と視線が合った。
　頑張れ、の気持ちを込めて笑いかけると、紗月が小さく頷いているようだった。

（理緒ちゃん）
　紗月は理緒の姿を見ながら、去年の合宿のことを思い出していた。
（去年は理緒ちゃんはグラドルの仕事で来れなかったんだよね。だから一人で寂しく滑ってた）
　でも今年は理緒がいる。自由時間になれば一緒に過ごすことができるだろう。
「よし、今日の講習は終了だ。自由時間は宝探ししていいが、気をつけるんだぞ」
　浅井幸太先生の言葉に、ほっと息を吐くと。
　紗月は、理緒のところへ一直線に向かっていった。

　同じく自由時間にあった理緒と無事合流する。
「どうだった？」
　理緒に聞かれ、
「難しかったけど、頑張ったよ。受験のプレッシャーから解放されたから気も楽だし」　
　と答える。
「そうだね。それじゃ、一緒に宝探ししようか」　
　理緒は笑顔で言った。
（頑張って理緒ちゃんについていこう）
　そう思っていたけれど、理緒は紗月の方に合わせてゆっくり滑ってくれた。
（講習の時よりずっと気持ちいい）
「宝のヒントってどこにあるんだろ？」
　二人であちこち探しまわるうちに、紗月は何度か転んだけれど、全然苦にならなかった。
「あ、あれって小さなかまくらみたい？」
　転んで立ち上がろうとした紗月が、ちっちゃなかまくらを見つけた。
　理緒が覗いてみると、ビニールに入ったヒントが入っていた。　
「『宝はにんじんをくわえた雪ウサギが持ってるよ！』だって！」
「雪ウサギ……どこかな？」　
　あたりを見まわすと、樹の脇にオレンジ色のなにかが見えた。
「行ってみよう！」
「うん！」
　二人は息を合わせて滑り出した。
「いた！　雪ウサギ！」
　作り物のにんじんをくわえている雪ウサギを崩すと、何か出てきた。
「うさぎのキーホルダー？」
「かわいい」
　お揃いの雪ウサギのキーホルダーが２つ入っていた。
　理緒と紗月は微笑み合って、２人で分け合った。

「紗月、大丈夫？」
「うん。疲れたけど楽しかった。……いいお湯だね、一日の疲れを洗い流せそう」
　気遣う理緒に心配をかけまいと、紗月は笑顔で答える。
　講習と夕食を終えて、二人は星を眺めながら露天風呂でのんびり体を伸ばしていた。
「足、筋肉痛じゃない？」
「正直まだスキーで滑ってるような感覚があるけれど、少なくても気持ちは疲れてないよ」
　受験を乗り切った二人へのご褒美のように、温泉は体をリラックスさせてくれた。
　

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