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水底の蜃気楼
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水中の波に揺れる髪は露草の色、己の顔を映して笑う瞳は桔梗の色。
(……いや)
己を見仰いでは嬉しそうに笑う、ユニと名乗った少年の白磁じみて白い頬に触れる蒼い髪を、知らず凝視する。ひとの姿をしていながらも魚のように水底に舞い踊る少年の姿かたちを、肌や髪の色を目で追う。
(浅瀬と深海の青、……朝の海と夜の海の青、)
瞬きするごとに記憶に留め、記憶の中にある今までに見たさまざまのものの色と照らし合わせてしまうのは、ものづくりをする者の癖というべきか業というべきか。
「兄ちゃん?」
見つめる少年の、髪や瞳よりも深い夜の色した瞳孔が不思議そうに丸くなる。金魚の鰭の如くゆらりゆらりと水になびく貫頭衣の裾、幾何学模様にも呪術文字にも見える柄にも目を惹かれながら、千早は眼鏡の奥の瞳を瞬かせた。
「
神代 千早
」
「コウジロ?」
「チハヤでいい」
「うん、チハヤ」
ユニは大きく頷き、小さく地面を蹴る。足元の白砂をふわりと舞い散らせ、千早の頭よりも高く跳び上がった。掌と素足に水を掻き、ゆったりとした仕草のそのくせ、素早い動きでくるくると千早の頭上に踊る。
(追いかけっこはかなり大変そうだ)
見るからにはしこいユニの動きを瞳に捉えながら、千早は思案する。ここを縄張りとするだろう彼相手では、隠れん坊もまた。
となれば、
「チハヤ、遊ぼう! 何して遊ぶ?」
「……散歩かな」
ユニ、と名を呼べば、少年は心底嬉しそうに顔じゅうで笑った。
「この辺りを案内して貰っても?」
少年のちいさな掌に押されて動いた水が、やさしい流れで以て頬に触れる。千早の言葉に頭をこくりと上下させ、ユニは千早の前に再び降り立った。
伸ばされた手に指先で触れた瞬間、千早は僅かに逡巡する。
触れた手は、ひどく冷たくて、だからその冷たさに思い出した。水中に棲む魚の肌は、人間の体温にさえ火傷を負うという。
「火傷したりは……」
「大丈夫」
迷う指先に、ちいさな指先と掌ぜんぶが触れてくる。ぎゅっと握り締めてくる冷たい掌の感覚に頷いて返し、千早は改めて手を取った。
水底に棲む少年から、水底の世界へと視線を移す。
月影の蒼の色を薄衣のごとく纏って、海の底が広がっていた。
龍の鱗のかたちして、微かな光が白砂の上に揺れている。見上げる水面は遥かに高く、普通であれば重なる水に光を喪うはずの水底は、けれど不思議な明るさを帯びていた。
「あっち? こっち? どっちへ行く?」
ちいさな白い指があちらこちらと指し示すのは、銀色の鱗を光らせ群れては泳ぐ小魚の群れや白砂の上に彩りを咲かせる紅色珊瑚の群生に、青に揺れる白銀の光の紗の向こう、四角く連なる影の群。
小さな丘の麓にできた町のようにも見える影の先、丘の天辺には墓標にも見える建造物がある。いつか書物に見た異国の神殿にも似た、石柱でぐるりと囲まれた三角屋根の建物。
(廟……?)
水底の町の更に向こうには、青々とした森が見えている。
「あっちに行ってみる?」
視線を追ったユニに手を引かれ、一歩を踏み出す。
ふわりとした浮遊感が身体に触れるも、地上を歩くように水底を進む。踏み出すたび、足元に白砂が小さく舞った。
町の入口には小さな小屋があった。
「ここには門番のおっちゃんがいたよ。本ばっかり読んでた」
白珊瑚石を積み上げた塀に挟まれた石畳の路地の果てには、青や緑のシーグラスがおはじきのように転がっていた。
「ここでともだちとよく遊んだ。飽きたらみんなで海へ走った」
ユニと歩く水底は、寝子島の海ではない別の海の世界のまぼろしであるらしかった。
白い珊瑚の町がかつて滅びた巨大な生物の骨格のようにも思えて、その滅びた町をゆっくりと歩く少年の背中がひどく孤独に見えて、千早は繋いだちいさな手にぎゅっと力をこめる。言葉の相槌を打つ代わりに己の手の熱と力を返す。
「みんなもういないけど、……おれが、ぜんぶ憶えているから」
振り返る碧い瞳はどこまでも澄んで明るい。
それに、とユニは笑った。
「ここに迎えてくれたひとたちもいるし、こうしてチハヤも来てくれた」
丘に続く白い石段を辿る。
石段の影に隠れていた橙と白の縦縞模様のクマノミたちが素早い動きで別の影に隠れて消える。
視界の端を蒼い魚が思いがけず大きな影を揺らめかせて過ったかと思えば、爪先よりも小さな海老が小さな小さな細い足をちりちりとせわしなく動かして水中を飛んでゆく。
穏やかな流れに、雪片にも似た小さな生き物たちがゆらゆらと揺蕩う。
「静かだけれど、」
仰いだ廟の柱の隙間、さっと隠れる吸盤の細い足を見つけながら、千早は口にする。視線を戻した先には、ユニのつむじ。
「だいぶ賑やかな所だね」
揺らぐ水に煽られふわふわとなびく髪に思わず手を伸ばす。絹糸にも似た髪に触れれば、ユニは振り返ってくすぐったそうに笑った。
石柱にまとわりついて遊ぶ魚たちを見つつ廟を巡り、反対側の石段を下る。
石段の半ばに至ったところで、水面からの光を緑色に透かせる藻の森に入り込んだ。背丈よりも高く生い茂っては波にゆらりゆらりと揺れる海藻をそっと分け、ユニは先へ先へと進む。
繋いだ手とは反対の手で藻に触れる。肌に触れるひんやりとした水よりもほんの少しだけ温かく、四方で揺れては頬や腕を掠める海藻の柔らかさに小さく笑う。一歩先で海藻の群生に半ば埋もれるユニも同じ感覚なのか、緑色の光の向こうで少年の笑い声がした。
伸ばした指の先で藻の感覚が不意に途切れた。海底の森を抜ける。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年09月06日
参加申し込みの期限
2020年09月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年09月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
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