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水底の蜃気楼
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(青、蒼、碧、藍、)
水中を揺蕩うその色を、何と呼ぼう。
あおの色を目で追いながら、思い出したのはここではない場所。
うだる猫鳴館で、せめてもの涼を求めてパソコンの動画サイトで巡り見た映像。蒼く碧い水の中、灰蒼のイルカが自由自在に泳ぎ回ったり、バブルリングを作り出してその中に身を躍らせては遊ぶ画。
イルカの姿を脳裏に思い浮かべつつ、膝の上の少年を見遣る。同じように水の天を見上げていたらしいユニは、目が合うとにこりと笑った。
誰かと目が合うこと自体が嬉しいらしい少年をせめて何かしらで楽しませてやりたくなった。浮かぶのはイルカたちのバブルリングではあるけれど、
(あれは確か、勢いが必要)
上手くできるかどうか迷い迷い、顎を天に向ける。口に貯めた息が丸くなるよう息を吐き出す。ふわ、と煙のように浮かび上がった空気の輪は、けれどイルカたちが作るような綺麗な円ではなくひどく歪な輪。銀色の光を纏った空気の輪は、水面にも届かず途中で形を崩してばらばらに解けた。
泡になって水中を漂う己の息に思わず苦笑する。
「やっぱりそんなに上手くいかないか」
「わあ、今の何? 輪っかだ! 口から輪っか!」
零した言葉に重ね気味に食いついてきた挙句、口に何か仕込んでいるのかと両手を伸ばして頬をぺたぺた触って来るユニに、苦笑いのはずの頬が知らず緩んだ。
「バブルリングといって、」
「バブルリング! かっこいい!」
「空気を吐き出す時にコツがある」
水底に生きるユニであれば、コツのひとつである『水面を向く』ことをせずとも輪を作ることができるかもしれない。
イルカたちがとても上手に遊ぶことも教えつつ、幾度か実演してみせれば、膝の上、最初は泡の塊や歪な輪を作るばかりだったユニはみるみるうちに綺麗な輪をいくつも水中に作り出せるようになった。
新しい遊びを覚えたこどもが、ふわ、ふわ、といくつもいくつも水中に生み出す銀色の輪を仰いで、千早は思い浮かぶままに言葉を紡ぐ。
たとえば時々訪れる植物園の隅の小さな温室カフェの話。海の生き物をたくさん飼育展示している水族館の話。寝子島中で見かける猫という生き物の話。
「チハヤ、あれ知ってる?」
「……?」
「海岸のあっちの方向に見える大きな大きな輪っかと、地面の上をカタンカタンって走っていく長四角」
「シーサイドタウンの大観覧車とねこでんかな」
暇が過ぎると海岸にまで上がっていろんなものを見ては不思議に思うユニの問いかけに答えているうち、ふと会話が途切れた。
ふわ、ユニの唇から生まれた銀輪があおい天へ昇って行く。仰いでいて、瞼に被さって来る睡魔に気がついた。
足元の鱗が微かに鳴る音に合わせるように、ユニが鼻歌を歌っている。
「おれを助けてくれたひとが歌ってくれたんだ」
そう言ってそっと笑って続ける、どこかで聞いたことのある旋律に、千早は一オクターブ低い音を重ねてみた。
歌いながら思い出す。
(そういえばこの子守唄、)
合唱祭の課題曲だったこの歌を、すごく練習させられた覚えがある。
思い出すまま、ぽつぽつと音程を変えてみる。ユニゾンからアンサンブルへと変化させれば、我ながら拙いはずの合唱にユニはどこまでも楽しそうに声を重ね続けてきた。
膝の上から聞こえてくる子守歌に、知らず瞼が落ちてゆく。
瞼の暗闇に水底のあおが覆われたとき、耳に冷たくちいさな掌が触れた。ユニの掌が耳を塞いでいるのだと思い至って、
(……これは)
耳朶を打つさまざまの音を聞いた。少しずつ音量を上げながら聴こえてくる、魚の鰭が水を掻く音、遥かな遠くで歌う鯨やイルカの笑い声、砂の中から蛸や魚が現れる音、貝たちが水を吐き出し水中を泳ぐ音──
(コーラスか)
海の生き物たちが奏でる音の合唱に音楽を感じ、千早は大きく胸を上下させて息をする。海の中が静かだなんて、とんでもなかった。
この海は、
(沢山の命の音で満ちている)
波の音に混ざって、ユニの笑い声を聞いた気がした。
閉ざした瞼を上げれば、熱帯夜の暑気がじとりと肌にまとわりついた。
指先に触れていた小さくて冷たい指の感覚を思いながら起き上がる。蚊取線香の煙が揺らぐばかりの机の上にあったのは、白霧を吐き出すハマグリに似たナニカではなく、掌サイズの白い巻貝。
水底に見た大蛟のミニチュアにも見える貝殻を耳に当てれば、もしかすると、ユニが聴いている寝子島の海の音が聞こえるかもしれない──
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
夢のようで夢ではないかもしれない水底のお話、お届けにあがりました。
このたびはプライベートシナリオのご発注、ありがとうございました!
おかげさまでとても楽しく描かせていただきました。
水底のひんやりした感じや海の様子、お楽しみいただけましたら幸いです。
またいつか、お会いできましたら嬉しいです。
ありがとうございました!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年09月06日
参加申し込みの期限
2020年09月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年09月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
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