ありがとうの伝えかた｜リアクション

ありがとうの伝えかた

「ただいま。夕、こん、珠ー？　なあ、外に智瑜の自転車あったけど──」
　座敷の襖が開くと同時、示し合わせた通り、智瑜とこんと夕は隠れ場所から飛び出してクラッカーを鳴らす。ぱん、ぱぱん！　音と共に派手に舞い散る紙吹雪に合わせ、
「お誕生日おめでとう！」
　声を揃えてみんなで言えば、戸口に立った日暮は大きく瞠った目のまま、声をあげて心底楽しそうに笑った。
「そうか、そうやった、誕生日やなあ、──うん、おおきに。おおきになあ」
「バイトお疲れさまです。さあ、こっちにどうぞ！」
　ひゃあ、と目を丸くするばかりの日暮をご馳走の前に座らせ、智瑜は祖父母からのプレゼントであるところのお酒を示して見せる。
「うわ、ええの？」
　日暮が寒空の下を歩いてきた身体を熱燗で温めている間に、智瑜と夕は台所からケーキを運び込む。部屋の電気を消してハッピーバースデーの歌を歌うのはこんのお役目。先に日暮から聞いていた歳の分だけ、長い蝋燭二本と短い蝋燭七本分をケーキに立てて火をつけるのは智瑜のお役目。
「豪華やなあ、美味そうやなあ」
「みんなでつくった！」
　胸を張るこんにろうそくをさあ吹き消せ今吹き消せと急かされ、慣れぬ様子で日暮がゆらゆらと明るい色を揺らすろうそくを吹き消す。
　電気をつけ直した後は、ケーキを囲んでみんなで撮影会。
「あっ、こんちゃんのスマホでも撮りましょう！」
　こんが座敷の床の間に飾っていた携帯電話を取ってきて、真剣な顔で操作する。インカメラの画面内にみんなが映りこむように顔をぎゅうっと寄せ合い、
「いちたすいちは？」
　こんの掛け声に合わせ、
「にっ！」
　みんなで声を揃えてパチリ、記念の一枚。智瑜のスマホでももう一枚。
　ケーキの後はお待ちかね、みんなからのプレゼントを渡す時間。
　こんが大切に抱えてきたプレゼントの包みをこちらも大切そうに受け取り、
珠の肉球スタンプつきの『誕生日おめでとう！』と書かれたカードを嬉しそうに細めた目で見つめ、日暮は自分を囲む家族と友人を見遣る。そうして、笑う。
(サプライズの誕生パーティは成功？)
　プレゼントの包みを開く日暮の笑顔を見ながら、智瑜はわくわくと胸を躍らせる。きっと同じようにわくわくしている夕とこんと目を合わせて笑いあう。
(ううん、)
　両手を胸の前に掲げれば、夕とこんが歓声を上げて手を合わせてきた。
(大成功です！)
　ぱちん！　ハイタッチの音とみんなの笑い声が弾けて響く。

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あとがき

担当マスター：阿瀬春
ファンレターはマスターページから！

お待たせいたしました。プライベートシナリオのお届けにあがりました。
サプライズパーティ、おかげさまでとても楽しく書かせていただきました！

智瑜さんのおかげで、日暮も夕もこんも珠も、みんなみんな、とても楽しい誕生日を過ごせました。本当にありがとうございます！

初めてのプライベートシナリオ、お楽しみいただけましたら幸いです。それから、またお会いできましたらうれしいです。
このたびは、プライベートシナリオを書かせてくださいましてありがとうございました！

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