２月の☆ハッピーバースデー｜リアクション

２月の☆ハッピーバースデー

●手作りクッキー

　とある日の放課後。
　八神修はクッキーの箱を持って、新聞部の顧問である黒崎俊介先生のもとを訪れた。

「黒崎先生。いま時間よろしいですか」
「ああ、八神君か。数学の質問かい？」
「今日は違いますよ」

　鞄に問題集がたくさん入っているが、今日は触れないでおこう。

「お誕生日おめでとうございます」

　修はそう言いながら、クッキーの箱を差し出す

「いつもありがとうございます。ティータイムにぜひどうぞ」
「ありがとう。そうだ、八神君も一緒にどうかな？」
「いえ、貴重な時間を……」
「遠慮はいらないよ。いい茶葉が手に入ってね、１人で楽しむには勿体ないと思ってたんだ」

　柔和な口調で俊介先生は話す。　修も先生の誘いを無理に断るのも良くないと思い、その誘いを受けることにした。俊介先生は席を立って、どこからかティーセットを持ってきた。
　陶磁器のティーセットは上品な雰囲気を持っていて、淡い色で描かれた曲線が品格を形作る。先ほど話していた茶葉を取り出して、注ぐ用意をする。淹れる前から、上品な香りが鼻腔をくすぐる。

「素敵な香りですね。どこで買ったんですか？」
「本土の店だよ。店主が最近仕入れたらしくてね」

　そう話しながら、俊介先生が丁寧にカップに注ぐ。まず修の前に置き、続けて自分の前に置いた。

「この箱、開けてもいいかい？」
「もちろんです」

　一言断ってから俊介先生はクッキーの箱を開けた。なかには２種類のクッキーが入っていた。

「これはもしかして、手作りかな？」
「はい」
「すごいね」

　修は促されて、クッキーの味を説明する。
　クッキーはレーズンとチーズの２種類で砂糖はレシピの四分の一にして、甘さを控えめに。そしてレーズンは酒を強めに調整した。ラム酒では甘すぎるので今回はブランデーを使っている。
　チーズは胡椒入りで、クッキーらしい甘さはない。プレゼントするのが俊介先生なので、酒に合いそうな味付けを目指した。

「先生へのプレゼントなので、大人の男性向けの味付けにしてみました」
「ありがとう。美味しそうだ」

　クッキーについて一通り話すと、俊介先生は感心したように頷く。それを口に運ぶと、さらに深く頷いた。

「とても美味しいよ」
「ありがとうございます」
「八神君は料理やお菓子をよく作るのかな？」
「はい。料理が大好きな友人がいまして、自分でも色々作ってるんです。その人をもっと理解したくて……」
「七夜さんかい？」

　思わず修の動きが一瞬固まる。

「先生……鋭いというか、攻撃力高すぎでしょう」
「すまない。でも視線の先を見てたら、きっとそうだろうなと思ってね」
「そんなに分かりやすいですか」
「そう思うよ。少なくとも僕はね」
「流石ですね……」

　照れつつも、俊介先生の観察眼に脱帽する修。
　それから紅茶の話から思い出話まで、色々なことを話した。そしてティータイムの終わり際、俊介先生は修を真っすぐ見た。

「素敵な誕生日プレゼントをありがとう」
「喜んでもらえて嬉しいです」

　２人は穏やかにほほ笑んだ。

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あとがき

担当マスター：星織遥
ファンレターはマスターページから！

この度は、シナリオへのご参加ありがとうございました！

誕生日を迎えた皆さん、おめでとうございます。
色々な過ごし方があるんだなと思いながら
執筆させていただきました。

改めて、この度はありがとうございました！

（運営部より）
２月生まれのキャラクターの年齢加算は、らっかみ！タイムが「３月」に移行する際に行われます。しばらくお待ちくださいませ。

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