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時代錯誤と言われればそうかもしれない。しかしながら寒河江 和光の実家はそれはとても旧いのだ。連綿と連なってきた営みは、この現代においても案外形を変えずに息づいていたりする。
和光にも、許嫁と定められた女性がいる。
葉月 朱真
。親同士がそうと決めた間柄だが、彼女とは幼なじみでもあり、気心の知れた仲だ。
とはいえやはり、旧態依然としたシステムに易々と迎合できない程度には、和光も彼女も現代人ではあったのだ。
ちり、と鯉口を切る。一拍の呼吸を置き、四肢に気迫を漲らせ、抜き放つ。
「……ふッ」
並ぶ巻藁が揃って頭を落とし、和光はゆったりとした所作で波紋きらめく刃を鞘へと戻す。
ふう、とひと息ついて神経を弛緩させたが、和光の心は緊張を保ったままだ。
息を吸って、吐いた。
「そろそろ、行くか」
あえて口に出したのは、つつがなく決意を実行に移すため。
朱真に会うのは、もうずいぶんと久しぶりのことだ。
葉月家別邸は記憶の中よりいくぶん輝いて見えた。我ながら単純なものだ、と和光は苦笑いする。彼女が他ならぬ自分を待っていると思うと、何気ない景色が鮮明に思えてくるから不思議だ。
朱真とは正月にも会うはずだったが、残念ながら予定は崩れてしまった。今回は、機会をあらためての新年のあいさつも兼ねていた。
門をくぐると、その朱真の微笑が出迎えてくれた。
「いらっしゃい、和光さん」
「久しぶりだね、朱真さん。今回は無事に会えて嬉しいよ」
「うん、正月はすまなかったね。さあ入って」
久方ぶりに目にする許嫁の笑みは、ひときわに艶やかに見えた。
同時に、ちくり。許嫁、という言葉やふたりの間に横たわる関係性を思い、和光の胸はかすかな痛みを覚えずにいられない。
「和光さんは、このところどうしていたんだ? 医学部ともなれば、やはり勉学や研究が忙しそうだけれど」
「そうだね。少し多忙ではあったかな。おかげでこうして貴方に会いに来るのにも遅くなってしまった」
「はは。どうか気にしないでくれ」
「朱真さんのほうは、どうだい? 学校生活は楽しんでいるかい」
「うん。学友とね、のんびりやっているよ」
「そうか、良かった。朱真さんは生真面目が過ぎるからね、少し心配していたんだ」
「それをあなたが言うかな。ふふ」
「ははは、そうだね。ところで、理工学部の情報工学科というのは、どんなことを勉強するんだい?」
「ああ、それはね……」
時を置いても、こうして顔を合わせれば言葉はするり、滑り出す。
とりとめない会話。何気ない仕草。結ばれた視線、絶えない笑顔。彼女と想いを共有できることの喜び。和光はそれらに浸った。
「話があって……来たんだ。今日は」
「……うん」
ややあって切り出すと、朱真もいくらか予想はしていたのだろう。彼女の表情には惑いの色が浮かぶ。
和光は意を決する。
「私は、貴方を大切に想っている。魅力的な女性だと思っている。もちろん、許嫁のことを抜きにしても」
「うん。それは……ありがとう」
「私は貴方と、正式にお付き合いをしたい。そう思っているんだ」
真っすぐに彼女を見つめた。そうして言い切った。
彼女はまぶたを伏せた。
彼女に迷いがあることは分かっている。分かっているのだ。なぜなら、和光自身がそうであったから。
幼なじみ。許嫁。和光は朱真に恋慕している、それは間違いなく。
互いに見知らぬ同士、偶然に出会ったふたりであったなら、こんなにも悩みに暮れることはなかったかもしれない。
しかし許嫁であるという、半ば押し付けられたこの約束が、皮肉にもふたりの距離が近づくことを阻んでいるのだ。
ふたりを結び付けているこの想いは、果たして正しい感情であろうか? 許嫁という関係性がために生まれた、錯覚の産物ではなかろうか?
つまらない思い込みかもしれない。正当な許嫁同士であるのは間違いないのだし、気にすることもないのかもしれない。少なくとも他者が見ればそう言うだろう。
しかし、理屈では測れないのが人間なのだ。誰もがそうと割り切れるなら、この世に恋物語など生まれはしない。
「和光さん……」
しばしの後、朱真はやわらかく口を開いた。瞳は申し訳なさそうに細められていた。
「和光さんとは、子どもの頃から知っている仲だ。あなたが悪い人間でないことも知っている。ただ……」
「ただ?」
「もうしばらくは、友人として交流させてもらえないだろうか」
言葉だけなら、確かに拒絶に等しい。
しかし朱真の表情は謝罪の色がにじみながらも、晴れやかだった。
「もちろん、決して、あなたを嫌っているわけではない。それは分かってほしい。ただ今は住んでいる場所が離れているし、お互い忙しい身だし……」
「ああ」
「あなたと歩むのは、きっと……幸せなことだと思う。でも、今は」
和光は安堵した。幸福をも感じる。
朱真がこんなにも自分とのことを考えてくれている。それが嬉しかった。
「ああ。分かったよ。朱真さん」
恐縮しがちな彼女へ、和光もまた微笑んだ。
「ゆっくりでいい。私たちなりの早さで、進んでいけばいいさ」
「……うん。そうだね」
冬が終わり、春が来れば、何かが変わるかもしれない。
そうでなければ、もう一度また春の巡りを待てばいい。
若いふたりに、時の流れはきっと味方をしてくれることだろう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
山中にいな
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年08月21日
参加申し込みの期限
2020年08月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年08月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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