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『somnium』に揺れるキーホルダー。
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志鷹 若菜
がレジでジンジャーシロップが付いたホットココアを注文したのは、温かいココアが心を落ち着かせてくれるんじゃないかと思ったからだ。何しろ今日は弟と2人で、大切な話をするべくやって来ていて――そのデリケートな内容はどうしても、彼女の心を騒がせずにはいられなかったから。
いつもと同じ店内には、だが片隅に籐の衝立が寄せられている。何だろうと微かに首を傾げた彼女の疑問を察して、伊都子さんが「今日は小物作り教室だったのよ」と微笑んだ。
なるほど、と若菜はそれに頷きを返す。今日がその教室の日だという事は知っていて、実はちょっと気になっていたのだけれど――
(今日は我慢)
ようやく話をする時間と機会と、勇気が得られたこのタイミング。今の若菜にとって何より優先すべきは彼だと、傍らの
志鷹 佑都
に視線を向ける。
そんな若菜の眼差しの先では、佑都が伊都子さんと、それから奥の厨房に居た高明さんに挨拶をした所だった。そうして「それじゃあ僕は……」と注文をする佑都の、内心にはだが微かな疑問がある。
(大切な話……いったいどんな話だろう)
思い当たらないようであり、思い当たるようでもあり。共に夜勤明けの今日、久しぶりに2人で一緒にお店へ行かないか、と姉に誘われやって来たのだけれど――果たして彼女は、何を話そうというのか。
考えながらも佑都は、取り立てて問い質したりはしなかった。座りましょう、と若菜がカフェスペースへと足を向けたのに、頷いて後をついて行く。
若菜が向かったのは、彼女がいつも過ごしている席だった。互いに向かい合って座った所で、伊都子さんが注文した飲み物を運んできてくれる。
お礼を言って受け取って、さて、と若菜は佑都に向き直った。これからの話を思って、ふぅ、と気持ちを落ち着けるために1つ、息を吐く。
彼に少しでも穏やかな気持ちで話を聞いてもらいたくて、この場所を選んだ若菜である。否、もしかしたら若菜自身もまた、少しでも穏やかに話せるのではないかと期待しているのかも知れない。
それはどちらかといえば、祈りにも似た期待。それを自覚しながら、先ずは雑談しながらココアを頂く。
それからゆっくりと、努めて優しい口調で話を始めた。
「佑都の部屋の事、なんだけど……」
「……うん?」
「あの子の写真がなくなっていたのが気になって……。無理、してるんじゃないかなって、思って……」
その優しい、だが手探りをしているようにも響く声色で紡がれた言葉を、佑都は努めて身構えず自然体で受け止めた。脳裏に、若菜が言っているのだろう『彼女』の思い出の品々が思い浮かぶ。
勿論、それらを捨てたなんて事は絶対になくて、今でも佑都の部屋に全て大切にしまってある。だが、すぐには目につかない所に仕舞い込んであるから、それで心配になったのだろうという事は察せられた。
それでも――つい眼差しを伏せてしまったのは、果たしてなぜだったのか。佑都自身にすらすぐには理解できなかったその仕草に、何かを理解したらしい若菜が、痛まし気に見つめる。
違う、と首を振った。そうしてから、遅れて自分自身の行動を理解した。
――平常心であれと、若菜相手にすら己に命ずる自身の心の在り様。その根底にある、己の弱さ。
友人の吉報を耳に、目にする度、平静を装いながらも心の奥底では周囲の変化に惑っていた。そんな自分自身の心の動きを、認めることもしたくなかった。
だから、全てを忘れさせてくれる仕事に逃げて。気付けば深い海の底で、息ができなくなっていた――それはただひたすらに、己の心が弱い故の結果に過ぎないのに。
それを、唐突に理解した。否、理解していたことを自覚した。平常心であれという、その想いこそが弱さなのだと気が付いた。
そんな弟を、若菜は痛みをこらえるように静かに見守る。――弟の心に深く刻まれているのだろう傷を、想う。
『彼女』の親友である自分だって、まだ失った傷が癒えていないのだ。『彼女』との結婚を考えていた彼の傷はきっと、自分よりもずっとずっと深いのだろう事は、想像に難くはなかった。
だから。もしかしたら本当は、このまま時の流れが彼の心を優しく癒してくれるまで、信じて見守るのが正しいのかも知れない。
でも……
「今の佑都……見ていてつらい」
ぽつ、と絞り出した言葉もまた、若菜の偽らざる本音だった。そしてきっと、若菜と同じように――否、若菜以上に天国にいる『彼女』だって、佑都の事を心配してるのに違いない。
このままだと心も体も取り返しのつかない事になりそうだと、若菜はそれが怖くて仕方がなかった。いつもいつも、あの子が居なくなってからというものこの弟は、己を追い込み痛めつけるような行動ばかりをしているように、若菜には感じられているのだ。
それはまるで、緩慢な自殺のよう。本人にその自覚がないならまだましで、もし気付いていながらその状況なら最悪だ。
もしこのまま佑都が無茶をし続けて、倒れ、そのまま目覚めなかったら。
「そんな事になったら、私……」
最後の方は声が震えて、うまく言葉にならなかった。わななく唇が役割を果たせなくなった代わりに、見開いた両の瞳から堪え切れなくなった涙が、ぽろ、と零れ落ちる。
佑都がそれに、はっと息を呑んだ。愕然と姉を見つめる佑都の視線の先で、幾つも、幾つもの涙が次から次へ、ぽろぽろと零れ落ちていく。
その、涙に濡れた瞳で佑都を真っ直ぐ見つめ、若菜はずっと心に在った想いを告げた。
「……もっと、自分を大切にして欲しいの」
ずっと心配で、でも佑都を傷つけたくなくて、どうしても言えなかった言葉。言いたくて言いたくて、けれども傷だらけの心を抱えた弟にこれ以上、鞭を打つのではないかと恐ろしかった。
その言葉を、ようやく告げた若菜の両眼から、やっと言えた安堵と言ってしまった後悔の涙が、止め処なく溢れ出る。そのまま両手で顔を覆って、若菜は肩を震わせた。
「ごめんね……」
そう、呟きを絞り出して泣く若菜の静かな嗚咽が、ひどく大きく響いた気がした。もちろんそれは佑都の錯覚なのだろう――または、自分の中にある姉への罪悪感が、そう聞こえさせているのか。
肩を震わせ、静かに嗚咽を漏らして泣く姉の姿に佑都は、掛ける言葉が見つからないままぐっと小さく手を握った。胸の中を占めたのは、彼女への申し訳なさ。
共に暮らす中で佑都の心の変化を感じ取りながら、相手を想うあまり上手く言葉にできず、ずっと心を痛めていたのだろう。繊細で感受性の強い彼女の事だ、こうして言葉にするまでにどれほど悩み、迷い、苦しんだのだろう――それはどんなにか辛かっただろう。
ふ、と小さな溜息を吐いた。握り締めた手を緩く開いて、ポケットからハンカチを取り出す。
その気配に、若菜が両手から顔を上げ、佑都を見た。涙でぐしゃぐしゃになった姉の顔なんて、何年ぶりに見たのだろう――そんな風に思い、そうさせているのが自分なのだという事実にまた、小さな溜息。
手にしたハンカチで、そんな若菜の涙を優しく拭った。――とっくにばれていたなんて、と自嘲も混じった3度目の溜息を吐きかけて、ぐっと飲み込む。
微笑んだ。
「伝えてくれてありがとう、若菜。……心配かけてごめんな」
「ゆう、と……」
「……年末に電話で父さんにも言われたよ。心と体を大切にしろって」
その言葉に、お父さんが……と若菜が泣き濡れた瞳を見開いた。ああ、と頷いてその時の事を話して聞かせると、うん、と頷いた彼女の瞳からまた、新たな涙が零れる。
ゆっくりでいいんだよ、ようやく伝えられる言葉を若菜は大切に紡いだ。
「お父さんも、お母さんも、私も……みんな貴方を愛してるから……」
「……ありがとう」
貴方と同じ傷を抱えながらこれからも共に歩んでいきたいのだと、泣いた若菜に泣かれた佑都は、静かな微笑でそう言った。それは佑都の、素直な気持ちだ。
自分は本当に、優しい家族と友に囲まれているのだと思った。それがとても有り難くて、在り難くて、――少しだけ、心苦しくて。
その理由も佑都には、勿論ちゃんと理解っていた。理解っていて、だからこそ心苦しく、申し訳ない。――申し訳なく、在り難い。
冷たく輝く月を見上げて佑都は、微かな息を吐く。いつだか見上げた月の光が、見つけられたら良いのにと願った。
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あとがき
担当マスター:
蓮華・水無月
ファンレターはマスターページから!
いつもお世話になっております、または初めまして、蓮華・水無月と申します。
この度はご参加頂きまして、本当にありがとうございました。
『somnium』での小物作成な物語、いかがでしたでしょうか。
皆さまのイメージされたキーホルダーなどの小物作成の様子が、少しでもリアルに感じて頂けたらと、頑張って執筆させて頂きました。
世の中には他にも、オーブンで焼ける陶器などもあるそうで、小物作成の世界は奥深いですね。
伊都子さんの小物教室はまた、何かしらリリース出来れば嬉しいなと思っております。
お届けさせて頂きましたリアクションが、皆様に僅かなりとも楽しんで頂ける物であれば、心から嬉しく思います。
またのご縁がございましたら、どうぞ宜しくお願いいたします(深々と
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
蓮華・水無月
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
7人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年08月12日
参加申し込みの期限
2020年08月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年08月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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