ウィンター☆ 部活動のお時間です！～文化部編～｜リアクション

ウィンター☆ 部活動のお時間です！～文化部編～

☆軽音部

　１月下旬の休日。
　鎌倉に住む楡宮遠海は、今日もねこでんに揺られて、シーサイドタウン駅で降りて寝子高へ向かいました。
　極度の方向音痴の遠海ですが、さすがに通学路は覚えています。
「寒い……」
　背にはショルダーキーボードの収まったケースを背負い、寒空の下凍える手をこすり合わせながら、通いなれた道を進みました。
　幸い道は凍っていないようです。キーボードを持ったまま転倒したりしたら目も当てられません。
　自分のケガより、キーボードの音が狂うことのほうが心配なのです。
　なんとか学校にたどり着き、部室棟の軽音部にたどり着いた遠海は、暖かい部屋でようやく一息つきました。

「ハーイ」
　すでに何人か来ていた部員と挨拶をかわします。
　凍えた指もようやく暖まってきて、遠海はケースからショルダーキーボードを取り出しました。
　まずはチューニング。それから手遊びに適当な曲を弾いてみたりします。
　猫ふんじゃったのメロディを弾くと、調子は上々でした。
「おはよう」
　しばらくしてメンバーがそろい、さっそくミーティングが始まりました。
　議題は次回の曲目について。
　卒業生を送る会に向け演奏曲を決めよう、という話で、それぞれ色々な案を出し合ったのですが。
（あまりいいのが出てこない……まあこんな日もあるよね）
　そのうちに話は脱線に次ぐ脱線となりました。
「シトラス・ガムダンは言いました……」
　しまいには遠海が指をヒゲのように鼻の下に当て、校長先生のシトラス・ガムダン話の物真似を始めました
「似てる！」
　それなりに受けましたが、さすがに駄弁ってばかりもいられないので、ミーティングは終了となりました。

　遠海が何の気なしにショルダーキーボードを適当に弾くと、皆楽器を取り出して、そのまま即興でライブ開始となりました。
（やっぱりこうでなくちゃ、だよね）
　元インディーズバンドのキーボーディストの母親から音楽の才能を受け継いでいる遠海、演奏レベルはかなり高いものでした。

　そんなわけで残り時間は即興だったり、有名なバンドの曲をカバーしたりして一日を過ごしたのでした。

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